シュナン・ブランのスペシャリストである彼のワインは、すべてが驚きに満ちています。
辛口のセックから甘口のモワルー、スパークリングワインまで。
しかしそれは、いろいろなワインをつくろうとしているのではありません。
その土地とヴィンテージの味を表現する。生粋のテロワリストがユエです。
《ドメーヌについて》
ドメーヌ・ユエの設立は1928年。ヴィクトール・ユエとその息子ガストンによって30haのシュナン・ブランの畑が拓かれました。
現在の醸造長ジャン・ポール・ベルトメ氏は、この地にてワインをつくって35年以上。シュナン・ブランを知り尽くしていると言えます。
《畑について》
「ル・モン」「ル・オー・リュー」「ル・クロ・ド・ブール」
3つの畑は全て大まかに分類するなら粘土石灰質ですが、それぞれ細かな組成が異なります。
そしてその土壌の違いがしっかりとユエのワインに表れている。
この地で先駆けて導入したビオディナミ栽培が関係しているのでしょう。
「クロ・デ・ブール」はヴーヴレで昔から銘醸畑とされてきました。表土の粘土は10cm程度と非常に薄く、その下には10m以上にわたって石灰岩盤が広がります。ブドウの樹はその割れ目になんとか根を伸ばして生育しているのです。
ユエの所有する中でも最も痩せた畑で、それがワインに類稀なフィネスをもたらしているといいます。
《ブドウがワインを決める》
辛口から甘口までつくるユエですが、作りたいワインによって醸造法を変えている訳ではないといいます。
その年のブドウの熟度により、果汁糖度が150~400g/Lとばらつきがある。
それを自然酵母のみで醸造するから、途中で発酵が止まることもあり、甘口になるのだというのです。
彼のワインには、ブドウが収穫されるまでの1年が詰まっていると言えるでしょう。
《このワインについて》
甘口のモワルー、10年以上熟成したもの。当店では便宜上甘口としていますが、豊かな酸がスケールの大きな味わいをつくっており、やや辛口くらいに感じるでしょう。
Vouvray Le Mont Moelleux Domaine Huet