《ナパ・カベ、ボルドーと比較して》
カベルネ・ソーヴィニヨン好きの方が6000円出すなら、ナパ・ヴァレーで探す方が多いんじゃないでしょうか。きっと濃密で豊かな香りと力強さが「高いワインを飲んでいる」という満足感につながっているのでしょう。
同価格帯のナパ・カベと比べて、カノンコップがつくるこのワインも力強さは負けていません。ただし方向性が違います。このワインは果実の風味のち密さとタンニンの豊かさが特徴で、甘い樽香はあまり主張しません。カベルネ主体のワインとしてボルドーワインのような上品な酸味を備えます。
しかしボルドーに比べるとアルコール度数が0.5~1.0%ほど高く、ボディ感が豊かです。熟成ポテンシャルの高さが素晴らしく、同じ価格帯では決して見劣りしません。
《生産者について》
ステレンボッシュのシモンスバーグ山脈のふもとに100haの畑を構えるカノンコップ。1910年設立となかなか歴史の長い大御所的な生産者です。名前とエチケットの由来たる大砲は、昔ケープ湾に船が入港したのを知らせるために使用していたものだといいます。
1990年代から多くの国際的なコンクールで受賞を重ね、南アフリカワインを世界に知らしめたパイオニア的な存在。ティム・アトキンMWは自身のワイナリー格付けで1級に選び続けています。
《製法の特徴》
カノンコップの畑の50%にはピノタージュが植えられており最重要品種。ブッシュヴァイン(ワイヤーや支柱を用いず低く剪定する手法)で栽培します。特徴的なのが発酵中のパンチングダウン。発酵の進行中、果帽(果皮などの塊)が浮いてきます。そうすると果皮と果汁が分離されてあまり抽出が進みません。櫂(かい)でその果帽をワインの中に押して沈めるのがパンチングダウン(ピジャージュ)です。
カノンコップではコンクリートタンクでの発酵中、そのパンチングダウンを2時間に1回、24時間体制で行うそうです。その結果しっかりと色が濃く、力強いタンニンを持ち、樽熟成の風味との相性がよいボルドー的な赤ワインに仕上がるのです。
《テイスティングノート》
カシスやブルーベリーなどの濃い色のベリー香に、タバコや鉛筆の芯、ハーブ、チョコレートなど非常に複雑なアロマを持ちます。豊かなボディがありながらフレッシュな酸味を持ち、適切な熟度でブドウを収穫していることがわかります。ワイン生産者としての理想を追求したようなクラシックな味わいです。
Kanonkop Cabernet Sauvignon