今度の週末、うちでご飯食べようよ
友人夫婦のお宅に誘われたとき、センスのある手土産を持っていくのが大人のたしなみ。
もし友人が好きなら、ワインをもっていかない手はないでしょう。
でも何もっていったらいい?彼・彼女の好みわからないよ?聞いたかもしれないけど、自分はワイン詳しくないから忘れちゃった。
今回はそんな場面で役に立つ、手土産ワイン、お持たせワインのご紹介です!
手土産ワインは攻めなくていい
手土産に持っていくワインは、どんな風に選べばいいでしょうか。
私は「誰が飲んでも不味いと言わない」「普段飲まないもの」がベストだと考えます。
価格は3000~5000円くらいが目安になると思いますが、そこはお互いの年齢や収入、ワイン歴などで調節してください。
順を追って理由をご説明します。
誰が飲んでも美味しいワインなんてない
まず、「誰が飲んでも美味しいワインなんてない」、という認識を持ってください。
ワインの感じ方は、飲み手の経験に大きく左右されるからです。
値段の高いワインは、高いなりの理由があって、多くの人が美味しいというのでしょう。
だからといって、100人中100人じゃない。あなたの友人の口に合うかはわかりません。
その理由は、ワインは経験によって感じ方が大きく異なる飲み物だから。
そもそも、ワインに限らず嗜好品ってそういうものじゃないでしょうか。好きだからワインを飲んでいるんです。「好き」は多くの場合、飽きるものです。そして新たな「好き」が見つかるもの。
ワインの好みは変わるものなので、絶対的な「高品質」はあっても、絶対的な「美味しい」なんてないんです。
「誰が飲んでも不味いと言わない」
そもそも、食べ物・飲み物の感想は「美味しい・不味い」の両極端ではないはずです。
「美味しいってほどではないが、まずまず」
「好きではないが丁寧に作っているのはわかる」
「特に何も感じない」
そういう「誰が飲んでも不味いと言わない」ライン。
最低でもそのラインをクリアすればいい、あわよくば「このワイン美味しい!」と喜んでもらえる。
そういう守りの姿勢で無難なワインを選べばいいのです。
なぜなら、この場の主役はワインではなく友人との会話だから。
そして共に過ごす時間こそが主役。
ワインは主張しすぎない脇役でいいのです。
「このワイン、僕の口には合わないから」
そういってビールなどの別のお酒を飲み始めることがなければ十分ではないでしょうか。
どんなワインが不味いとは言われない?
そう考えていくと、ワインの味わいのタイプとしては初心者におすすめするように選べばOK。
避ける味わいのタイプはこんなもの。
- 渋すぎるもの
- 酸っぱすぎるもの
- ベタっと重たすぎるもの
- よく分からない複雑な風味
「よく分からない香りがするもの」とは、熟成したワインに感じる複雑な風味です。
腐葉土、枯葉、なめし皮といった熟成香。ワイン大好きな人なら大喜びでしょうが、ワイン初心者もそうかというと・・・どうでしょうね。「変なにおい」と言う人がいても不思議じゃありません。
赤ワインの強いタンニン、歯茎がギュッと引っ張られるような刺激は、強いと嫌われる傾向にあります。
特に普段はあまりワインを飲まない人にとっては、慣れない感覚なので苦手に感じやすい。
同様に高すぎる酸味も避けた方がいいです。
ワインは他の飲み物と比べて、非常に酸味の高い飲み物です。ちょっと甘味がある中での高い酸味は問題ないのですが、辛口ワインでキリッキリの酸味は、好き嫌いが分かれるでしょう。
「普段飲まないもの」
嫌われない味わいを選べばいいからといって、個性のないものがいい、というわけではありません。
友人を招いて食事を、月に何回もやっている方はごく少数でしょう。
大学生でもない限り、同僚でもない友人と毎日顔を合わせられるほど社会人は時間に余裕はありません。
だからこそ、ちょっとした非日常感がほしい。
普段飲んでいるワインとは、違うものが飲みたい。
いつでも飲めるようなものじゃイヤ。
だからと言って、ワイン好きがみな飲みたがるような高級ワインを提案するつもりはありません。
私なら持ってきてもらったワインが3万円もしたら恐縮してしまいますし、料理が釣り合いません。
それは「自分では選ばないようなワイン」ということです。
「自分では選ばないようなワイン」
ワイン好きであればあるほど、普段飲むワインは好みのものに偏ってきます。
そりゃあソムリエ勉強中でもない限り、好みじゃないワインをお金を出して飲むひとは稀でしょう。
気付けば家のワインセラーがピノ・ノワールばかりになっていた、なんてのはもうあるあるです。
だからこそ人が選んでくれたワインが新鮮でうれしいもの。
ワインの種類は膨大です。
相手の好みはわからなくとも、ちょっぴり定番を外れたものを選べば、相手にとって初めてのワインを持っていくことは難しくありません。
だから価格はそんなに上げず、自分ではあえて選ばないようなちょっとだけ珍しいものをチョイスするのがおすすめです。「レア」という意味ではなく「マイナー」という意味の「珍しい」です。
ただ、マイナー過ぎても味わいにビックリしたりよくわからなかったりするかも。
ほどよくマイナーなワインを選びましょう。
ちょっとマイナーなワイン
そんな適度にマイナーなワイン、どんなものがあるのでしょうか?
- ブドウ品種はメジャーだけど、産地がちょっと珍しい。
- その地域の有名な生産者が、ちょっと珍しいブドウ品種を栽培している。
- ブレンドが少し変わっている。
- 地域も品種も割とメジャーなのに、味わいのタイプが典型的ではない。
「エチケットが奇抜」なんてのもいいのですが、その場で一緒に飲むなら私は味わい重視でいきます。
友人宅での食事会を想定する
今回は友人夫婦のお宅におよばれという状況を想定します。
訪問するのは自分ともう一人。こちらも配偶者をともなってということもあるでしょうし、別の友人という場合もあるでしょう。
いずれにせよ規模は4人程度という場合が多いのではないでしょうか。
であればお持たせワインは1本で十分。
先方もいくらかお酒を用意しているでしょうから。
もしもう一人の友人もお酒を持ってきて飲み切れなくなったとしても、置き土産にできるのがお酒のいいところ。
という訳で4人で分かち合う手土産におすすめワインをご紹介します。
手土産におすすめワイン
上記のポイントをまとめます。
・3000円~5000円くらい
・渋味、酸味、重たさ、熟成香が強すぎないもの
・ほどよくマイナーで自分では選ばないようなもの
これらを踏まえて選んでおります。
小難しくない爽やかスパークリング♪
特別な時に飲むスパークリングワインとしてはシャンパンが定番ですが、ここはあえてリースリングのスパークリングワインをチョイス。
シャンパンの複雑なイースト香ではなく、柑橘系果実や白い花のピュアな香りが爽やかに漂い、包み込むようなやさしい口当たり。料理の邪魔をしないのはもちろんですが、ワイン単体でも延々と飲めるので、早めに到着して料理の出来上がりを待つ間に飲み始める、というシチュエーションにもピッタリです。
あえて欠点を挙げるなら、スイスイ飲めすぎること。「ちょっと!わたしの分がないじゃないの!」と奥さんに怒られないようにご注意を。
スパークリングワインは冷えていないと美味しくないし、抜栓時に吹きこぼれる心配があります。
持参するときは冷やして持っていけるよう計らいましょう。
この保冷材の入ったボトルスリーブは緩衝材代わりにもなりおすすめ。私も愛用しています。
スパークリングワインや白ワインのみならず、夏場は赤ワインにも巻いて持っていきましょう。
どんな料理が用意されてても安心♪
カリフォルニアのシャルドネといえば、オーク樽熟成によってバニラのような甘い風味をしっかり感じるものが典型。
そういうものを「飲みごたえがあって好き!」と感じる方も非常に多い一方で、「ありきたりな味でどれも一緒に感じてつまらない」という方もいます。
その樽の風味を極限まで抑えて、熟したフルーツの香りを全面に出したシャルドネがこちら。
名前の通り、広く料理に合うようにと作られたワインです。
カリフォリニアではちょっとだけ珍しいタイプといえるでしょう。
「このワイン、日本酒っぽくない!?」会話が弾む!
続いて白ワインのおすすめがこのナカムラ・セラーズのソーヴィニヨン・ブラン。
ソーヴィニヨン・ブランは酸味が高く、下手すると「酸っぱい」と感じられやすい品種です。ただ、それは主産地であるロワールやニュージーランドが比較的涼しい気候だから。
このワインはもう少し温暖なカリフォルニア産なためか、酸味は比較的まろやかです。
珍しいのがゲヴュルツトラミネールという香りが甘く華やかなブドウをほんの少しブレンドしていること。
これによって品種の特徴的な香りに複雑さが加わっています。私は少し日本酒の香りに似ていると感じました。実際に大吟醸をモデルにつくっているといいます。
なめらか質感のロゼが食卓を彩る!
食卓を彩るロゼワインは、特別な時間を視覚的にも盛り上げてくれます。
ロゼワインは安くてもそこそこ美味しいものが非常に多いため、3000円以上に手を出さない人も多いかも?だからこそ、友人との食卓に連れて行ってあげてください。
もちろんこのワインには、わざわざ選んで持っていく価値があります。
思わず笑顔になるような明るい香りももちろんこのワインの魅力なのですが、特によくできているのが口当たり。とってもなめらかでシロップのようにスムースに流れます。酸味も突出しすぎず、嫌われにくい味わいでしょう。
「うわ!美味しいっ!」ってワインじゃないです。意識せずにスルスル飲んでて、いつの間にかグラスが空になっている。そんな心地よいロゼワインなのです。
特別な日なんだから、豪華な味のワイン飲みたい!
赤ワインのブドウ品種としてピノ・ノワールはとても人気です。ただ「ピノ・ノワールならなんでもいい」という方は少ない印象。美味しいワインもたくさんある一方で、口に合わない「ハズレ」といいたくなるものもたくさんあるのが実情です。
手土産にもっていくなら、感動するような美味しさを狙うのは無謀。予算が足りません。だから嫌われにくく、ほどほどに高級感のあるものがいい。
熟した風味はあるけど甘すぎない。酸味は穏やか。口当たりの厚みもほどほど。香りは複雑性があってちょっと高いワインっぽい。
そんな”嫌われにくい”中途半端さを備えたワインです。
手土産ワインで友人との時間をエンジョイ!
繰り返しになりますが、ワインはわき役でいいんです。
「このワイン美味しいね~!どんなワインなの?」って話題にするところを目標に持ってこなくていい。
会話が弾んで弾んで、そうしているうちにいつの間にかボトルが空になっている。「あれ?どんな味のワインだったっけ?楽しすぎて忘れちゃった」それでいいんです。
だからといってどんなワインでもいいわけじゃない。
不味いワイン、口に合わないワインなら、口を湿らせるたびに眉間にしわが寄る。そんなワインならないほうがいい。
みんなに嫌われないちょっと珍しいワインを持って、友人とのかけがえのない時間をめい一杯エンジョイしてください。