濃厚な磯の風味ととろりとした口当たりが魅力のウニ。ワインでもっと美味しくなります。
何でもあうわけではありません。ワインもウニも厳選する必要があります。
5種類のワインとウニの相性を検証した結果、日本酒に比べてもいい結果を示しました。
ウニそのものをもっと楽しむ方法として、効果的なワインをご紹介します。
ワインとあわせる際はウニにもこだわりを
今回は後ほどご紹介する5種類のワインで検証しました。同様の美味しさを感じていただくためには、ウニの質にもこだわっていただく必要があります。
ウニならなんでもいいというわけではないのです。
ウニの種類
ウニは日本全国の沿岸でとれます。その旬は産地により若干の違いはあるものの、おおむね5月下旬から8月上旬。初夏~夏が旬なのです。
近海で獲れるウニにはいくつかの種類があります。中でも主流なのが、ムラサキウニとバフンウニです。
バフンウニの方が身の色合いが濃厚な黄色で、味も濃厚。より高級品です。
ムラサキウニの方がさっぱりとした味わいだそうです。
今回の検証に用いたウニがどちらかは記載がありませんでしたが、おそらくムラサキウニだと考えられます。
ミョウバンの使用の有無
一般的なウニは、身が崩れるのを防ぐためにミョウバンを含んだ塩水につけて加工されます。
ミョウバンは食品添加物として認められているものであり、健康面でミョウバンの使用の有無を気にする必要はありません。
ただし味にはわずかな苦みとして表れる可能性があります。
そしてワインとの相性がミョウバンの有無で変わると聞いた事もあります。
ただ、ミョウバンを使っていない塩水ウニは、あまり流通していません。
なので今回はミョウバンを使っているウニで検証しました。
ウニは鮮度が命
魚介類は全般に鮮度が大切。もちろんウニもです。
鮮度が悪くなると生臭い風味が出てきます。その生臭さがワインによって増幅されてしまうと、ハッキリと「不味い」ペアリングとなってしまいます。
ウニの鮮度によってワインとの相性が変化する場合があることはご了承ください。
今回はCOCOSのやや近くにある「大庭水産」さんで購入しました。
主に大阪市内などの飲食店に業務卸を行っている魚屋さんで、一般人も購入できますが主な相手はプロ。さすがに鮮度の高いものを扱っています。
今回購入したウニはこのサイズで約4,500円でした。ウニって高級品!
その分、ウニをそのまま食べても生臭さはあまり気にならず、ほんのり甘く濃厚な味わいでした。
検証方法
今回はウニをそのまま何もつけずに食べた場合と、ワサビ醤油で食べた場合で検証しました。ただしワサビは味が目立たないほど少量しかつけていません。
醤油はちょっといいものを用いています。
ウニを口に含んで数回咀嚼し、口の中のウニと同量か少し多いくらいのワインを口に含む。
口の中で混ぜ合わせたときの風味や一体感と、飲み込んだ後の余韻に注目して感想をまとめました。
ウニにあいそうなワイン5本
一般的にはウニは「ワインにあいそうにない」難しい食材という認識でしょう。
なのであわせるワインは慎重に選びました。
2023年とれたて!フレッシュ感あふれるシャルドネ100%の泡
ウンドラーガ アルボリス
こちらはすみません。ちゃんと選んだわけではありません。2023年の新酒として入荷したてで飲んでみたかったため晩酌用に購入。ついでに開けてみたものです。
KATAYAMA
注ぎたては泡だちがかなり盛んなものの、5分もせずに穏やかになる。これは2次発酵期間が短いから仕方ないか。。。 青りんごや和梨のシンプルでフレッシュな香り。軽快で明るい果実感を持ち、舌先に少し甘味を残しながら消えていく。余韻は短いが、この価格を考えれば妥当。 あまり一人で開けるべきスパークリングワインではないかも。
「海鮮と相性がいいワイン」といえばチャコリで決まり!
当ブログにてことある度に登場するチャコリ。なんといっても様々な料理・食材との相性がいいんです。海沿いの観光都市周辺でつくられるワインだけあって、海鮮との相性は抜群。青魚のお刺身なども美味しくしてくれるので、ウニでも大丈夫だろうと選びました。
基本的に早く消費されるチャコリとしては、2018年VTはやや古いもの。でもわずかに泡が残っていました。
刺さっていたコルクのメーカー、よくわかりませんが、いい仕事をした圧搾コルクです。
KATAYAMA
潮風、レモン、白い花のような控えめなアロマ。口当たりはスムースで、レースのように軽快。酸味は尖っておらず丸みを帯びた印象。 余韻には苦みに似た海のミネラル感がしっかり残る。やはりチャコリはお腹が減ってくるワインだ!
山の万能選手 グリューナー・ヴェルトリーナー
ワインと料理の相性を考えるにあたり、「似たもの同士をあわせる」という考えかたがあります。でも「ウニみたいなワイン」なんて想像できません。
なので「苦手とする料理や食材が少ないワイン」として、グリューナー・ヴェルトリーナーを選んでみました。
チャコリが海の万能選手だとすれば、グリューナー・ヴェルトリーナーは山の万能選手という印象。
オーストリアが主要産地であり、他にもあまり沿岸で栽培されることはありません。それもあってか鉱物系のミネラル感は感じても、塩味や海を思わせるミネラル感はあまり感じません。
KATAYAMA
洋ナシや赤リンゴ、白い花、白コショウのアロマ。まったり厚みのある口当たりでシロップのようななめらかさ。 あまり酸味は高くなく、熟したフルーツ感があります。ヘーグルはヴァッハウの生産者の中では酸味高めなのですが、この年は温暖だったのでしょうか。 ドライでチョークのように乾いた印象の余韻が、中程度の長さで続きます。
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後日飲みなおしたところ、温度によって酸味の印象がかなり変わりました。 9℃~12℃くらいで急激に変化し、それ以上の温度だとかなりまろやかな印象に。 単体で飲むときは、好みに応じて温度を変化させてみるといいでしょう。
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後日飲みなおしたところ、温度によって酸味の印象がかなり変わりました。 9℃~12℃くらいで急激に変化し、それ以上の温度だとかなりまろやかな印象に。 単体で飲むときは、好みに応じて温度を変化させてみるといいでしょう。
「シャンパーニュ」ブランドを体現するふくよかさ
万能ワインといえば、シャンパンも幅広い料理にあうとされています。フランス料理のアミューズの定番は生ガキ。それをシャンパンで楽しんでいる方は多いでしょう。カキの生臭さが大丈夫なら、ウニもいけるんじゃないかと。
シャンパンといっても色々あります。魚介との相性を考えて、シャルドネ100%でスッキリ細身、ミネラル感のあるものを狙いました。
グラスの中における泡の持続性。知識として「瓶内2次発酵の長いシャンパンはゆっくり」というものはあっても、実際に並べると本当に差があります。
KATAYAMA
ビスケットやブリオッシュなどの甘い香り。その奥に火を通したリンゴのアロマ。スターアニスのようなスパイス感もあります。 口に含めばふくよかでボリュームのある果実感。正直ウニとの相性ではもっとキリっとした印象を狙っていたのですが、少し見誤りました。 鉱物的なミネラル感とともに、余韻は素晴らしく伸びます。何度飲んでも「メチャ安い」と感じさせてくれます。
冒険心をくすぐられるる手ごろな熟成ブルゴーニュ
これは友人からの情報で「ウニにはブルゴーニュのピノ・ノワールがいい」と。
ウニはともかく旨味感が強いので、少し熟成感が出てきているくらいがいいと考えました。ウニに強い果実味の赤ワインは反発しあうイメージから、暑くないヴィンテージのものだとベターでしょう。
そうなるとワインの金額がえらいことになってしまいがちですが、ちょうどいいものがありました。
KATAYAMA
腐葉土や乾いた土、皮革、バラの押し花のようなアロマ。フルーツ感は感じず、熟成の効果が表れていますが、そこまでの複雑さはありません。 口に含めばシルキーでスムースな口当たりなのに、しっかりとタンニンが口全体を刺激します。16年経ってこれなら、出来立てのころはちょっとタンニンのバランスが悪かったでしょう。酸味は美しくきれいな熟成を遂げており、悪いヒネ感などは全く感じません。
おそらく想定よりも若い印象を受けるでしょう。ずっと瓶熟成されていたわけではなく、きっとある程度はステンレスタンクの中だったのでしょう。そんな妙な若々しさがありますが、涼しいヴィンテージの特徴をうまく表現しています。これが5,000円以下なのはありがたい限りです。
5種のワイン+日本酒で相性を検証する
上記のワインがウニをどう美味しくしてくれるのか。
「魚介料理にはワインより日本酒でしょ」というご意見の方もいらっしゃるだろうと思い、家にあった日本酒でも試してみました。
ウニだけで食べる
ワインとの相性を検証する前に、ウニだけで食べてみます。
さすが新鮮であろうウニ。ほのかな甘みのあとに濃厚な旨味が広がり、飲み込んだ後もその風味が長く口の中に残ります。その余韻の長さがちょっとくどいように感じるかもしれません。また、ウニそのままでは余韻は少しだけ生臭く感じるかも。
醤油をつけて食べれば醤油の旨味が続いて生臭さは減りますが、醤油の味が勝ちすぎて少しウニがもったいなくも感じます。
ウンドラーガとの相性は〇
まずはシャルドネ100%のウンドラーガで検証。
結果としては悪くない。十分「あっている」と言ってもいいでしょう。
「お互いが高めあう」というほどではありません。ただ余韻はさっぱりリセットさせてくれるので、すぐに次の1口を食べたくなります。
ワイン単体では感じる舌先の甘味も気になりません。
ウニ単体、醤油をつけたときともに、悪くない結果といっていいでしょう。シャルドネ100%でつくるスパークリングワインの懐の広さを実感する結果となりました。
チャコリとの相性は◎or△
まずは醤油をつけないウニ単体との相性。ウニを口の中で溶かすようにしてそこにワインを含めば、ウニの濃厚な風味がより強調されて鼻を抜けていきます。
これは恐らく賛否あります。ウニの風味が好きな人にとっては、より味わい深く感じるでしょう。一方で「苦手ではない」くらいの人にとっては、マイナスに感じてしまうかも。
ウニの風味が大好きというのでなければ、醤油をつけた方がいいでしょう。ウニ・醤油と一緒にワインを口に含むことで、それらの風味が混然一体となり、旨味感が強調されます。飲み込んだ後にもウニの風味がもどってきます。
少なくともワインの満足度は、単体のときよりウニを合わせたときの方がずっと高いです。
グリューナー・ヴェルトリーナーとの相性は△
グリューナー・ヴェルトリーナーとあわせたときの風味は、特にウニそのままのときが悪いです。
ウニの旨味感がワインと一緒に先に飲み込まれてしまい、磯の風味などあまり好ましくないものが余韻に残る印象です。
ただし絶望的に不味いかというとそこまでではなく、相性に集中していなければ気にならない人もいるかもしれません。
醤油をつけた方が相性はベターです。この場合は生臭さが抑えられ、旨味感が強いです。ちょっとこの醤油が優秀すぎるかもしれません。
ただ、あまり後半にウニの風味が盛り上がらないので、素材の良さを消してしまっている印象はあります。
ブラン・ド・ブランのシャンパンとの相性は〇~◎
ウニそのままとあわせたときは、余韻にウニの美味しいところだけをしっかり残してくれる印象。これは好き嫌いの分かれるところです。
ただ、ワインを口に含んだ時に泡感がかなり強く、ウニの風味を覆い隠してしまいます。ワインだけで口に含んだ時より、一気に炭酸が出てくるんです。
醤油を少しつけたときがベスト!これはうまい。
ワインを口に含んだ炭酸の泡とともに、ウニの甘い香りとシャンパンの甘い香りが鼻を抜けます。そして舌の上には2つの旨味が相乗効果で長く残ります。その印象は余韻にかけても決して生臭くならず、シャンパン単体の時よりさらに長く続きます。
口に残るウニの風味は、チャコリとあわせた時よりもさらに、美味しいところだけが残る印象です。
熟成ブルゴーニュとの相性は〇
最も伸るか反るかだと思って試したこの相性。思いのほか悪くない!
ウニそのままをワインと同時に口に含んだ感触は、一体感がしっかりあってネガティブな要素なし。余韻も生臭さはありません。
ただしこちらの相性については醤油を拒絶しました。醤油をつけることで少しワインの酸味が尖って感じます。
「相性が悪い」というほどではありませんが、ウニそのままの方がより楽しめるでしょう。
日本酒との相性は△
家にあった日本酒で試してみたところ、意外な結果でした。純米の生酒です。
生臭くなることはありませんでしたが、日本酒の味わいが強すぎました。ウニの風味を覆い隠してしまいます。
豊潤で味わいの骨格があるタイプの日本酒だったので、バランスがよくありませんでした。お互いに単体で食べ飲んだ方がベターでしょう。
これは醤油をつける・つけないに関わらずでした。
攻めのチャコリと守りのブラン・ド・ブラン
今回の検証で、しっかりワインを選べばウニとの相性は悪くないということがわかりました。
ただしおそらくは、ウニの質が高く鮮度がいいことが最低条件です。
風味の相乗効果として最も素晴らしかったのは、醤油をつけて食べチャコリとあわせたときです。お互いの旨味感が相乗効果を発揮し、より高次元な食事になるでしょう。
ただしウニの風味が増幅されるので、苦手とする人はいるかもしれません。
ブラン・ド・ブランのシャンパンと、醤油をつけて食べるウニも素晴らしい。ワイン単体のときよりも明らかに余韻につづく旨味感が増します。
旨味だけが残される感じなので、より万人受けするといえるでしょう。
ウニとあわせるなら上等な醤油を
今回の検証を通して、醤油が非常にいい仕事をしていました。
百貨店で買ったちょっとお高い醤油でして、旨味感が強いです。スーパーの大手メーカーの醤油と比べたとき、ワインとの相性に差がでる可能性があります。
それも検証したいところではありましたが、ウニを食べきってしまいました。
いずれにせよもし上質なウニを用意できたなら、醤油にもこだわってちょっとお高いものを用意していただきたいです。お高いといっても、3倍になるわけじゃありません。
ワインとウニはあう・・・組み合わせもある
今回のウニとワインに関しては、吐き出したくなるような悪い組み合わせはありませんでした。
一つはウニにあいそうなワインばかりをチョイスしたから。もう一つはウニが鮮度のいい上質なものだったからだと考えられます。
ワイン全体で言えば、生の魚介は苦手としがちです。組み合わせによってはすこぶる生臭くなるものもあるでしょう。
しかし相性のいい組み合わせで味わえば、ワインもウニもワンランク上アップしたかのように感じることができます。
今回はウニ単体で検証しましたが、料理の食材の一つとして使うならもっと組み合わせの幅は広がります。
いろいろな飲み物がある中で、ワインは特に相性の良し悪しがハッキリ分かれます。時にそれは、個人の嗜好をも伸び超えて感じさせてくれます。
ワインと料理の相性の面白さ。あなたも自宅で感じてみませんか?