ワインの楽しみ方ガイド

キャンプにおすすめのワインとワイングラス より美味しく楽しむテクニックとは

2024年9月5日

 
キャンプのようなアウトドアでワインを楽しむには、選び方と味わい方にコツがあります。
ワイングラスと温度、それから香りに頼らないワイン選びが、美味しさを高めるポイントです。
完ぺきではなくとも、コツを掴めば家での味わいにある程度近づけることができるでしょう。
非日常空間でのプラシーボ効果とあわされば、キャンプワインはまたとない思い出となるはずです。
 

キャンプワインにおすすめのワイングッズ

 
ワインはその飲み方で大きく風味を変えます。アウトドアにおいて特に重要なのが、適したワイングラスと飲み頃温度です。
レストランや自宅の整った環境には及ばずとも、それに近づけるための便利グッズをご紹介します。
 
 

トライタン 割れない樹脂製ワイングラス

 
キャンプなどのアウトドアに最適な、プラスチック製でかなり割れにくいワイングラスです。
 
 
1脚につきワイン1本分のスペースで、ワインと一緒に発送可能です。
 
 

ワインを冷やして温度をキープするボトルスリーブ

 
保冷剤を2枚重ねてボトルに巻けるようにしたグッズです。
あらかじめ冷凍庫で冷やして、ボトルを通して使います。直径10cmくらいまでは対応可能なので、スパークリングワインなどの太いボトルもOK。750mlや1000mlサイズなら、特殊な形状のボトル以外はだいたい使えます。
 
 
丸一日冷たさをキープできたりはしないので、クーラーボックスとあわせて使うといいでしょう。
 
 

キャンプにおすすめのワイン

 
キャンプ先に持参して楽しむワインは、一番はあなた自身が好きなもの
ただし中には「自宅でならずっと美味しく味わえたのに。アウトドアという環境には向いていなくて、もったいない」というワインもあります。
 
キャンプに適したワインのポイントは、やや濃いめの味わいで温度による風味の変化が小さいものを選ぶことです。
先におすすめの銘柄をご紹介し、後ほどその理由をご説明します。
 
 

1本だけをゆっくりと飲みたい方へ

 
少人数で1本だけをゆっくりと楽しむなら、次の3本がおすすめです。
 
 
カベルネ・フラン+マルベックというあまり見かけない組み合わせのブレンド。果実味豊かでありながらタンニンはやや穏やかでスムース。カベルネ・ソーヴィニヨンにくらべてやや重心の高い味わいです。
冷やし目でも渋味が強すぎることはないでしょうし、時間とともにもっとやわらかい印象へとシフトしていくでしょう。
 
 
 
通常のソアーヴェならよく冷やしてキリっと楽しむもの。それに対してこの「ダニエリ」は、陰干しブドウをつかうことでコクを増しています。アルコール度数としては決して高くありません。しかしそのボリューム感により、温度がやや高めでも美味しい
広い温度帯で楽しめるので、1本をゆっくりと飲むのに向いているでしょう。
 
 
 
炭酸ガスは温度が上がるほど抜けやすいです。なのでスパークリングワイン自体が、アウトドアで時間をかけて飲むのには向いていないかもしれません。数名いたら問題ない。
それでもあえてスパークリングを飲みたいなら、温度が上がって泡が抜けてきても美味しいものを。黒ブドウ主体でほどよいコクのあるこの「ブリュットL」なら、スタートの冷えた状態とまた違ったまったり感を味わえるでしょう。
 
 

数本用意するからバランスを考えて

 
3人以上で分けて飲むなら1本じゃ足りない。何本も用意するのに同じワインじゃつまらない。同じような味でもつまらない。
それぞれ個性がハッキリと表れて、順番に飲む楽しみがあるものがいいでしょう
ご紹介するように泡⇒白⇒ロゼ⇒赤の順番で飲むのが基本。良く冷えていた方が美味しい順です。でも酔っぱらって味がわかりにくくなる前に、好きなものから飲むのもアリ!
 
 
設営や夕食の準備に取り掛かる明るいうちからもう我慢できない!日差しのもとで飲みたい明るい雰囲気の爽やかスパークリングがこちら。ついついペースの早くなる乾杯の1本に最適です。
 
 
 
ヨーロッパのリースリングは割と飲みごろ温度が広いものが多く、冷たくても温度高めでもそれぞれ美味しい。比較的ふっくらとした味わいのこの1本なら、アウトドアでもずっと美味しさつづくはず!
 
 
 
ニュージーランドでもロワールでもない、あえてのカリフォルニア産しっかり系ソーヴィニヨン・ブラン。選んだ理由はワイン単体での満足感。爽やかな香りが風で感じづらくとも、充実した果実味の美味しさは変わりません。
 
 
 
ロゼワインの中でもややリッチでしっかり目の味わい。熟したフルーツ感にあふれます。食事にあうのはもちろんとして、食後に単体で飲んでも満足度は高いでしょう
 
 
 
幅広い人に楽しんでもらえるように。今すぐ飲んで美味しいために。来は割と渋味の強いブドウを、タンニン穏やかに仕上げたこのワイン。これならクーラーボックスから出してすぐ開けてもそう悪くないはず。もちろん適温に近づくほど美味しく、口当たりなめらかになるでしょう。
 
 
 
何人もでシェアするから一人あたりの量が少なくても、このワインのガツンとした味わいなら満足!夕食の終盤で酔いがまわってきたころに開けてもしっかり楽しめるでしょう。
 
 
 
濃厚な割には渋味も少なく、スムースに舌を包む感触。単に甘くべったりじゃない味わいはワイン好きも唸らせるだけでなく、普段はワインを飲まない方にも美味しさを訴えます。「なんでキャンプでわざわざワイン飲むの?ビールでいいでしょ」という連れを黙らせるべく!
 
 
 

キャンプワインの美味しさを上げるコツ

 
キャンプのようなアウトドア環境で飲むワインが、家で飲むワインより美味しいことはあり得ません。
それはアウトドアにはワインにとって不利な条件があるからです。
 
ただしワインの状態がベストかどうかと、「美味しく感じるか」はまた別問題。キャンプという特別なシチュエーションによるプラシーボ効果があります。
不利な条件の影響をなるべく少なくすることが大事。トータルで満足すればいいのです。
 
その上でクリアすべきハードルは、ワイングラスと温度です。
 
 

ワイングラスの意義

 
ワインはなぜワイングラスで飲むのか。大きく風味が向上するからです。
 
ワイングラスはその容量に対して、注ぐワインの量は少な目です。普通は1/3以下。それは液面から上の空間に香りを閉じ込めてより楽しめるようにするためです。
その形状には様々なタイプがあり、それぞれ適したワインや感じ方が違います。
 

 
その上でガラスが薄いものの方が口当たり良くワインを味わえると言われます。実際に私もそう感じています。
 
ワイングラスの基本についてはこちらで詳しく▼

 
 

ワイングラスの選択肢

 
外でのワインを何で飲むか。それぞれメリットとデメリットがあります。
 
容器 メリット デメリット
いつも使っているワイングラス 〇追加投資がない〇口当たりがいい ×割れると損失×危険
プラスチックカップ 〇費用が安い〇使い捨てにできて手軽 ×風味で大きく劣る×雰囲気がない
樹脂製の割れないグラス 〇安全〇費用が高くはない ×口当たりは少し悪い×何百回は使えない
 
多くのワイングラスはステム(脚)がついており重心が高いです。
アウトドアのテーブルが不安定だったり、強い風が吹いたりすると、倒れてこぼれたり割れてしまったりするリスクがあります。
ステムレス(脚なし)のグラスなら倒れる心配は少なくなりますが、それでも飲んでいるとき・運搬時に割れることは多いです。
 
「割れてもいいや」と割り切って、半ば使い捨てにする手もあります。ただ、お子様連れだったりファミリー向けのキャンプ場に行く場合などは、破片でけがをすることが危惧されます。
 
 
かといってジュースとおなじプラカップでは、香りや口当たりは明らかに劣ります。それに「妥協している」というのを見た目からも感じるのは、キャンプでワインを飲む満足度を大いに下げてしまうでしょう。
 
両者のいいとこどりを狙ったのが、割れにくい樹脂製のワイングラスです。これがアウトドアで飲むワインの満足度を大いに上げてくれるはずです。
 
 

トライタンを比較検討する

 
先ほどご紹介したトライタンのワイングラスは、飽和ポリエステル樹脂でできております。
「割れない」と言い切ることはできませんが、放り投げた程度では大丈夫です。経年劣化するかよほどの強い力を加えないかぎり心配はありません。
 
プラスチック製のワイングラスは他にもいろいろあります。しかし容量の小さなものが多い。このグラスのように400mlと大容量でしっかり香りを楽しめるものは少ないのです。
 
ただしリムの厚さ、口に当たる部分は割と厚めです。プラスチックグラスとしては標準的でも、ガラス製のグラスと比べるなら少し気になることは否めません。
 
繰り返し使えるとはいえ、ある程度価格は高めな印象。樹脂なのでガラスに比べると色素が沈着しやすく、通常のワイングラスほどは長く使えないでしょう。でも100回程度ならまず問題ありません。
 
 

ワインに温度は超大事

 
ワインは温度によってその風味を大きく変えます。
温度が高すぎればアルコール感が強くなり、酸味が弱くなってダレた印象になります
逆に冷たすぎると、香りが閉じてしまい赤ワインの渋味は強く感じます
 
温度によるワインの風味変化について▼
 
風味のバランスがちょうどいい「飲み頃温度」に近い温度で飲むのが大事なのです。でもそれが難しいのです。
 
 

特に赤ワインの温度管理が難しい

 
赤ワインの飲み頃温度は、大雑把には15℃前後です。自宅にワインセラーをお持ちの方は、それくらいに設定して出してすぐ美味しいようにしておられることでしょう。
 
室温・外気温よりは低く、冷蔵庫よりは高いこの温度。温度が上がりやすいアウトドアでこれくらいの温度にキープするのはなかなか難しいです。
 
 
そのためのグッズの一つが、ル・クルーゼのアイススリーブです。ボトルに巻きやすい保冷剤で、冷たさを長時間キープしてくれます。
季節や時間帯など環境で大きく異なりますが、3時間くらいは効果があるんじゃないでしょうか。
 
これとエアーパッキンを併用するといいです。エアーパッキンの断熱効果で冷たさがよりキープできます。100円ショップなどで袋状になっているものを手に入れるといいでしょう。
白ワインやスパークリングワインを飲む際には巻きっぱなし。赤ワインを飲む際は、温度が上がりすぎたと感じたときに調整するために適宜用いるといいでしょう。
 
 
白ワインやスパークリングワインの飲み頃温度は7~12℃くらい。なるべく冷やすようにしておけば、飲んでいるうちに温度が上がってちょうどよくなります。
 
 

キャンプにおすすめワインを選ぶ考え方

 
持って行ったワインをより美味しく飲む工夫も大事ですが、そもそもアウトドアに向いたワインをチョイスすることも同じくらい重要です。
 
先述の美味しく飲むコツは、完璧にはできません。ワイングラスもベストではないし、飲み頃温度からすぐズレてしまいます。
その悪影響が大きく現れるワインとあまり感じないワインがあります。不利な環境でも変化の小さいワインを選ぶべきなのです。
 
 

アウトドアでもったいないワインとは

 
アウトドアで飲むのに致命的に向いていないワインから挙げてみましょう。私は次の3つと考えます。
 
  • 古酒
  • 高級ワイン
  • 香りが魅力的なワイン
 
温度管理に気を遣う、抜栓後の劣化が早い古酒を、さらに条件の悪いアウトドアで飲むべきではありません。
ぜひとも上質なワイングラスで飲みたい高級ワインもそうでしょう。繊細な味付けの手の込んだ料理と楽しみたいものです。
この2つについては、「まあそうだよね」でしょう。
 
アウトドアでは香りが感じにくいです。
ワイングラスがあっても、風があれば香りは感じにくく、周りからバーベキューなどの強い匂いが流れてくることもあります。
その中で繊細な香りまで嗅ぎ取ることができるのは、漫画の中のテイスターのみです。
 
 
良いワインはどれも魅力的な香りを持ちます。ただしそのワインにとっての魅力の比重は様々。香りの良さを特筆すべきワインもあれば、どっしりなめらかな口当たりが魅力のワインもあります。
選ぶ際に香りが決め手とはならないワインの方がベターでしょう。
 
 

温度変化にタフなワイン

 
飲む温度で大きく風味を変えるワインもあります。一方で温度が変わっても違いを感じにくいワインもあります。
 

温度変化にタフなワイン

アルコールが高すぎるワインよりは、適度なワイン。
酸味が高く軽やかなワインよりは、ある程度濃厚なワイン。
赤ワインの渋味が強いと冷えているときに飲みづらいので、渋味は弱いか適度なワイン。
  
こういったものが温度変化に対してタフなワインと言えるでしょう。
 
 
まとめると「香りより味わいに魅力があり、やや濃いめなワイン」というのがアウトドアに向いているワインの条件です。
 
 

1本か複数本か

 
人数によってワインのスタイルを変えるのもいい
1人で飲む、あるいは2人で飲むけれど他のお酒も飲む場合なら、1本だけということが多いでしょう。
2人でもお酒に強い方、あるいはもっと大人数のときは、ワインは2本3本と必要なはず。
 
1本だけで満足したいか、2種類3種類と飲んでの満足を目指すかでも、ワイン選びは変わります。
 
 
赤白、泡白赤、泡白ロゼなど様々なタイプを楽しみたい。あるいは赤ワインだけだが味わいに変化をつけたい。
それを複数人で楽しむなら、一人の飲む量は少なくなります。ならばある程度個性が際立つものが、記憶と思い出に残るでしょう
 
一方で一人・二人で1本をゆっくりと飲むなら、飽きないことが大切。濃すぎるものは避けて、風味の穏やかさと飲み心地の良さを優先すべきでしょう。一口目ではなく4杯目の満足を狙うべきです。
 
冒頭のおすすめワインはこのように選びました。
 
 

スクリューキャップはメリットは保管にメリットが

 
キャンプをするときにコツを調べてまでわざわざワインを持っていこうと考える。きっとそんな方は普段からいろいろワインを飲んでおられることでしょう。
スクリューキャップの「道具なしで開けれる」というのは、大してメリットにならないと考えます。ソムリエナイフ1本持っていけば済む話ですから。
 
一方でこんな要望のある方にはメリットになります。
  • 飲み切れなくて持って帰るかも
  • 1人でキャンプするから2日に分けて飲む
  • ゆっくり飲むからクーラーボックスに入れておきたい
スクリューキャップのワインはきっちりと再栓できるので、寝かして保管しても安心です。
 
 

考え方はあくまで参考に

 
ここまで「キャンプにおすすめするワインのタイプがある理由」をご紹介しました。客観的に見れば、このとおり向き不向きがあります。
 
しかし「キャンプにこのワインを持ってきてよかったな~」という満足は、極めて主観的なものです。
だから少々の不利など気にせず、あなたが好きなワインを飲むというのも一つの手です。その際は私のおすすめなど忘れてください。
 
おすすめするからには根拠を示しますが、頭でっかちにはなりませぬように。
 
 

二度とないシチュエーションで記憶に刻まれる

 
美味しかった記憶が強く残っている、あなたにとっての思い出のワイン。単に美味しかったということだけでなく、いつ頃にだれとどこで飲んだのかもずっと覚えているのではないでしょうか。
 
キャンプが好きな方は、きっといろいろな自然に触れるのもお好きなのでは?毎回のように違う場所を訪れる。同じ場所でも季節を変えて、姿の違う自然を楽しむ。
食べるものが違えば、飲むものが違えば、キャンプを楽しむ景色はまた違ったものとなるはず
 
 
ワインが好きだからキャンプでも楽しみたいと持参したボトル。
「思ったほどでもなかったな~」となるか「これわざわざ用意した甲斐があった!」となるか。工夫次第で後者の確率は上がります。
その日その場所でのキャンプは一度きり。その一度きりに一度きりのワインを添えてみてはいかがでしょうか。
 
 

今回ご紹介したワイン&ワイングッズ

 





※投稿に記載しているワインのヴィンテージ・価格は執筆時のものです。現在販売しているものと異なる場合があります。
購入の際は必ず商品ページにてご確認ください。




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