ワインの選び方

シャブリに似たワインをどう探す?安く飲める代替ワインのおすすめ6選

2024年8月10日

シャブリに似たワインをどう探す?安く飲める代替ワインのおすすめ6選
 
辛口白ワインの代名詞として人気のシャブリは、ここ4年ほどで大幅値上がりしてしまいました。
改めてその人気の理由を解析すれば、似た特徴を持つ代替シャブリを見つけることができます。
単に味わいが似ている劣化コピーではなく、違いを含めて楽しめばワインの世界が広がるでしょう。
シャブリと共通する魅力を持ったおすすめ白ワインを、気軽に飲める3000円以下でご紹介します。
 

シャブリと似た魅力を持つ3000円以下の白ワイン6選

 
今回ご紹介するのは、シャブリとその風味が似ている、銘柄を伏せて飲めば間違えるようなワインというわけではありません。
同じような味の方向性で同じように美味しく、なおかつ価格が安いワインというのは、そうそう存在しないからです。
その理由も後ほどご紹介します。
 
今回ご紹介しているのは、シャブリの魅力を分解したうえで共通項を多く持つ白ワインです。
自分はなぜシャブリが好きなのか。それを考えたうえで選んでいただけると、きっと満足していただけるでしょう。
 
※これらのワインはこの記事の執筆時(2024年8月)の価格をもとに選んでおります。ワインの値上がりが激しい昨今、価格改定で3000円を超えるものも出てくるでしょう。ご注意ください。
 
 

全く違う産地・品種でシャブリを目指す

スッキリ辛口
ミネラル感
シンプルさ
海鮮と◎
 
このワインに関しては「味わいもシャブリに似ている」と言っていいでしょう。生産者がシャブリ好きで、その味わいを意識して目指している部分もあるからです。
温暖な産地で緯度も低いので、フルーツ感はシャブリより明確に現れます。でも酸味の高さは負けてない。
違いとしてはミネラル感の印象でしょうか。シャブリの石ころのようなミネラル感に対し、この「クク」は海風をイメージさせるミネラル感を持つように感じます。
そんな風味を持つのですから、魚介料理との相性はもちろん抜群です。
 
 

飲み飽きしない「いつものワイン」候補

スッキリ辛口
シンプルさ
海鮮と◎
夕食に万能
 
ギリシャの土着品種である「アシルティコ」も、キレのいい辛口白ワインんとして人気があります。ただしこのワインは、アシルティコの名産地であるサントリーニ島のものではありません。だからミネラル感はそれほど感じず割とシンプルな風味
代わりにお手頃な価格です。サントリーニ島のものの半分程度。エチケットのイラストのとおり、味わいも値段もカジュアル。
「今晩のワインどれにしよう?うーん、これでいーや」とつい手を伸ばしたくなる。1、2本冷蔵庫に冷えていると安心するワインです。
 
 

名前からして「辛口しかつくらんぞ!」の意志

スッキリ辛口
ミネラル感
シンプルさ
海鮮と◎
夕食に万能
 
ジルヴァーナーというドイツの土着品種について、私はよく「地味なリースリング」と紹介します。比べたときに香りはリースリングほど明確なフルーツが表れず、酸味もやや穏やか。ただし地域にもよりますがミネラル感はしっかり出ます。シャブリにより近い、鉱物や石系のミネラル感のように感じます。
生産者の名前である「トロッケネ」というのは、ドイツ語で辛口を意味する「トロッケン」から来ています。きっちりドライな味わいは間違いない!
内陸部のワインですが、魚介との相性もいいです。特にカツオ出汁との相性がいい。
 
以前ブログでおでんとの相性を検証しましたが、具材というより出汁によくあいました。出汁で割って飲んで美味しいくらいです!
 
 

使い勝手の良さは勝るとも劣らない!

スッキリ辛口
ミネラル感
シンプルさ
海鮮と◎
夕食に万能
 
スペイン/バスク地方の特産ワインである「チャコリ」もまた、「どんな料理にでもあう」と言われる万能選手
きちんと検証していけばチャコリにあわない料理もあるのですが、確かに他のワインに比べて少ないです。
 
柑橘やリンゴのような控えめで爽やかな香りと高めの酸味、細身でスマートな味わいが特徴です。
こちらも海に面した地域のワインだけあり、潮風を想わせる塩味のようなミネラル感が特徴です。スッキリ辛口なのは間違いないですが、シャブリと比べたとき酸味の質がやや荒々しく感じるでしょう。
 
チャコリについてはこちらで詳しく▼
 

石灰質土壌に共通点あり

スッキリ辛口
ミネラル感
シンプルさ
 
フランスのスイス国境近くにあるサヴォワ地方は本当に小さな産地。全体で2,200haしかないため、日本であまり見かけるものではありません。
「アビーム」というのは地区の名前であり、「ジャケール」という土着品種がメインです。
 
雄大なアルプス山脈の麓に位置するため日照時間が短いのでしょうか。他の品種についてもあまり明確なフルーツのアロマを感じません。さらにシャブリとも共通点のある石灰質土壌。ミネラルの感じ方も少し似ています。
ただしこのワインのフードペアリングについては未検証。あまり魚介のイメージは湧かなかったため項目から外しております。
 
 

品種の系統が親子関係なれば・・・

スッキリ辛口
ミネラル感
夕食に万能
 
シャルドネはピノ・ノワールやピノ・ブランを含むピノと「グエ・ブラン」という品種の交配で生まれたと言われます。いわば親子関係にあり、風味が似ていて当然です。
 
ドイツにおいてシャルドネはあまり安いものがありません。しかし「ヴァイサーブルグンダー」という名前で土着品種として扱われるピノ・ブランなら、手頃なワインもたくさん見つかります。そしてシャブリよりさらに冷涼な地域もあるため、酸の出方は抜群!
シャルドネに比べて花のような華やかな香りが広がるのが品種の魅力ですが、ベースとしてはそれほど個性が強くありません。シャルドネのニュートラルさを引き継いでいます。
 
ピノ・ブランで美味しい銘柄は多いなか、特に取り挙げたいのがこのマーカス・モリトール。別の輸入元の営業さんが「安いのになんでこんなに美味しいの!?」と嫉妬するほどです。
 
 

手頃なシャブリもあります

 
当店では1種類だけ、3000円以下のリーズナブルなシャブリを扱っております。
 
 
「シャブリ」というブランドネームによる安心感はやはり強力です。
少々の風味の良さよりも、その伝わりやすさが優先される場合もあるでしょう。例えば飲食店での売りやすさは、他のワインで代替することはできません。
 
それでも「もうこのワインでいいじゃん」とならないのは・・・・。
「価格には理由がある」と言いますか、はい。察してください。
 
 

改めて考える「シャブリ」の魅力とは

 
「シャブリ」には4つのグレードがありますが、ここで考えるのは「シャブリ」「プティ・シャブリ」の手頃なクラスです。
プルミエ・クリュ、グラン・クリュも値上がりしてますが、元から高価で特別な日のワインでした。値上がりの影響はそう大きくありません。
 
 
2020年の輸入量データで、「シャブリ」「プティ・シャブリ」を合わせるとブルゴーニュワイン全体の4分の1ほどになるそうです。それほど人気でたくさん売れているシャブリ。その魅力を確認しましょう。
 
 

そもそも「シャブリ」とは

 
シャブリとはフランス/ブルゴーニュ地方の北端に位置する生産地区の名前。およびそこでつくられるワインを指します。
広い意味での「シャブリ」はその地域でつくられるワイン全体、つまりグラン・クリュの高級品も含まれます。狭い意味では「Chablis」とだけラベル表記される、村名格のワインです。
 
 
シャブリはシャルドネ100%でつくられる辛口の白ワインです。上級品はオーク樽熟成でつくられることが多いですが、「Chablis」およびプティ・シャブリはステンレスタンク醸造でつくらることが大半。オーク樽の風味はないか、あっても極わずかで、ブドウ由来の風味がストレートに感じられます。
 
その味わいは次の貢で魅力として紹介します。
 
シャブリについてより詳しくはこちらの記事で▼
 
 

シャブリの魅力とは

 
シャブリを長年好んで飲み続けている人は、何を気に入っておられるのか。
私はこう考えます。
 

シャブリの魅力

  • 知名度と安心感
  • 控えめで爽やかな香り
  • キリっとドライでスッキリとした味わい《スッキリ辛口》
  • 塩味を感じさせるようなミネラル感《ミネラル感》
  • 特徴香や苦みなど余計な風味がない《シンプルさ》
  • 牡蠣などの海鮮とよくあう《海鮮と◎》
  • 夕食のおかずにあわないものが少ない《夕食に万能》
  • 普段飲みできる手頃な価格(だった)
  
上記のような特徴を持つ白ワインが、2020年くらいまでは2000円台でいろいろ飲めました
しかし近年はスタンダードクラスのシャブリが平気で5000円前後のスタートです。4000円を切れば「リーズナブルなシャブリ」です。
この値上がりの1番大きな理由は為替。それから世界的な物価高。加えて日本人の平均所得がなかなか上がらず、「普段飲み」の金額基準がなかなか上がらないことです。「高い」と叫んでもどうしようもありません。
 
 
高級品は別として、シャブリはそれほど香り豊かなタイプではありません。
控えめな香りだから食事の邪魔をしないから夕食のメニューに寄らず選べるし、飽きにくい。それをこの記事では《シンプルさ》と表しました。この理由で候補から外したワインは、例えば柑橘やハーブの香りが強いソーヴィニヨン・ブランです。
一方であまり「香りが理由でシャブリが好き」というのは考えにくいです。
 
ただし先述のとおり、知名度とそれによる安心感は代わりがききません。
 
《スッキリ辛口》《ミネラル感》《シンプルさ》《海鮮と◎》《夕食に万能》
この5つの特徴がカギとなると考え、先述のワイン紹介にて記載しました。
 
 

シャブリに似た手頃なシャルドネが少ない理由

 
ワインの風味はまずブドウ品種と産地で決まります。加えて醸造法の影響も多いです。
シャルドネは世界中で栽培されています。その中にスタンダードのシャブリと同じステンレスタンク発酵・熟成のワインは山ほどあります。
 
産地の条件、気候だったり雨の量や土壌などが似た産地があれば、ある程度シャブリに似たシャルドネはつくれるかもしれません。しかしそれがなかなか見つからないのです。
 
 

高緯度、その割に温暖

 
シャブリの中心地で北緯47度81分。北海道の稚内よりもさらに北に位置します。これはワイン産地としてはかなり高緯度です。
緯度が高ければ日照が弱くなり、気候は冷涼になります。
 
ヨーロッパの沿岸には北大西洋海流という暖流が流れています。このため緯度の割には暖かく、ブドウがよく熟すのです。
東ヨーロッパやロシアの方面に高緯度の陸地はありますが、ワイン産地にはなっていません。内陸部は昼と夜、夏と冬の寒暖差が大きすぎて、ブドウ栽培に向かないからです。
 
 
シャブリと同緯度にはアメリカのワシントン州があります。ワシントン州はカスケード山脈より西と東で気候が全く違います。
西は雨が多く冷涼であまりブドウ畑はありません。東は逆に完全に乾燥しており温暖で、カベルネ・ソーヴィニヨンなどの産地です。
 
南半球にはそもそも高緯度帯にほとんど陸地がありません。
 
 

キンメリジャン・石灰質土壌が少ない

 
シャブリを特徴づけるものとしては、小さな牡蠣の化石を多く含むキンメリジャン土壌が挙げられます。「キンメリジャン」とは土壌が形成された時期の名前。貝殻石灰質土壌の一種です。
 
 
キンメリジャンはロワール地方のサンセール地区などにも分布しますが、ソーヴィニヨン・ブランの産地です。
貝殻石灰質土壌は他の場所にもあります。ドイツのファルツ地方やフランケン地方などです。しかし近年までシャルドネには寒すぎました。
石灰質土壌もそこまで珍しくはありません。ボルドーのサン・テミリオンやスペインのヘレスなどが有名です。ただし気候は大きく違います。
 
シャルドネに適した冷涼な気候で、なおかつ石灰質土壌の産地が少ないのです。
 
 

似た条件の産地だとワインが高い

 
冷涼な石灰質土壌の産地がないわけではありません。でもそこのワインはたいてい高価です
 
例えばシャンパーニュ地方も石灰質土壌で冷涼なシャルドネの産地です。シャルドネの白ワインも少量ながらつくられています。
でもそれは残念ながらシャンパンの価格です。シャンパンにすれば高く売れるのですから当然です。家飲みシャブリの代替にはなり得ません。
 
ドイツにおいてはシャルドネの栽培が増えています。これまで気候としてシャルドネには寒すぎたのですが、地球温暖化が進んで安定して熟すようになってきました。
ただし生産者は「お金のとれるワイン」として栽培を始める傾向があります。今さらシャルドネで安いワインを大量につくろうとは思わない。手間をかけて少量育てて高級品をつくるのです。シャブリに似たスタイルには仕上げません。樽熟成をして高い値段に納得してもらいやすいスタイルを選ぶでしょう。
 
ドイツのファルツ地方、ベッカーがつくるシャルドネのスタンダードクラスは価格的に惜しいところ。じわじわと値段が上がってきてしまいました。
 
 
かつてのシャブリのようなキリっとドライな味わいで、なおかつ安いシャルドネを見つけるのが難しいのには、こういった事情があります。
 
 

違う品種に可能性を見出す

 
日照も強く温暖な産地で育てるシャルドネ。それを早く収穫することで酸味を保って「シャブリみたい」というのは、なかなか無理があります。酸味だけあわせても、他の違いが余計に目立つのです。
 
それならば全く違う品種で似たところを見つけた方がいい。
温暖な地域で選ばれてきた品種の方が、案外高い酸味を保ちやすいこともあります。海に近い産地の白ワインには、ミネラル感を感じるものも多くあります。
 
 
ブドウ品種が違うのだから、香りの方向性が違うのは当たり前。
一見似てなさそうなワインの中に、先述の共通する魅力を見つける。違いに注目するのではなく、共通する良いところに注目する
その方が晩酌としての満足度は高いでしょう。
 
 

「いつのワインでいいや」から一歩踏み出す楽しさを

 
「ワインの魅力は多様性」とよく言われますし、私もそう考えています。
他のお酒・飲み物に比べて、ブドウのみからつくるワインがなぜこうも多種多様なのか。それはブドウの品種や産地、醸造法、グレードを風味に反映するから。きちんと土地の個性を表現したものは、他の地域のワインではマネできないからです。
 
 
なのでシャブリと同じ風味のワインは他でつくれません
高くなったとしてもシャブリの味が好きで仕方がない人は、妥協案を探すより飲む量をセーブするか収入を上げる方法を考えた方が生産的でしょう。
 
一方でもしなんとなく好きで習慣的にシャブリを選んでいたなら。
この機会に「いつものワイン」から一歩踏み出してもいいかもしれません。「シャブリのどこが好きなのか」自分に問いかけてみましょう
 
好きな理由をもとにそれが共通する他のワインを探してみる。それはきっとあなたにとっての「ワインの世界」を広げてくれます。。
単に口にあう好きな味というだけでない。「面白く楽しみを得られるお酒」としてワインを好きなるきっかけになることを願っています。
 

今回ご紹介したワイン

 
 





※投稿に記載しているワインのヴィンテージ・価格は執筆時のものです。現在販売しているものと異なる場合があります。
購入の際は必ず商品ページにてご確認ください。




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