イタリアワインとスペインワインのいいとこどり!
旨安ワインの産地として人気が高いこの2か国が好きなら、サルデーニャ島に注目です!
閉鎖的だった歴史を持つこの島は、2つの国と似ているけどちょっと違う。
日本新入荷「アッツェイ」のワインを通して、サルデーニャ島をご紹介します。
晩酌に便利なイタリア&スペインワイン
夕食に飲むワイン、1000円台の普段使いならどの国が好きですか?
ニューワールドならチリや南アフリカ。ヨーロッパならイタリアやスペインのものをたくさん見かけます。ニューワールドのワインは「シャルドネ」「カベルネ・ソーヴィニヨン」のような品種の分かりやすさで人気。
一方でヨーロッパはワインづくりの歴史が長いので、「この地域ならこんなワイン」というのが確立しています。だから順番にいろいろ飲んでいく楽しさがある!
そんな方に教えたい、「スペイン原産のブドウをイタリアワインのノウハウで造っている」面白い地域があります。イタリアのサルデーニャ島です。
今回は「安旨ならイタリアもスペインも好き!」という方にオススメする、サルデーニャ島の新ブランド、「アッツェイ」をご紹介します。
サルディーニャ島ってどんなとこ?
サルデーニャ島は地中海ではシチリア島に次いで二番目に大きな島で、そのほぼ真ん中に位置します。
気候は「まさに地中海!」で、夏は温暖かつ雨がほとんど降らないため、現在は高級リゾート地としてセレブ御用達の大人気の島ですが、昔は別の意味で大人気の島でした。
真ん中に位置するということは、地中海の覇権を握るための要所となり得ます。つまり、地中海を支配しようとする周辺各国から常に目を付けられていた島だったのです。
シチリアよりも独特な個性を持つ島
実は同じような島が地中海にはもう一つあります。そう、シチリア島です。
しかしサルデーニャ島は、同じ目を付けられていた境遇であるはずのシチリア島と比べると、ワインの世界でも単語として耳にする頻度が明らかに少ないです。これは両島が外の人々に対して取ってきた“スタンスの違い“が原因です。
シチリアはその立場を利用して、周辺地域との活発な交易によって発展し、いろいろな文化を取り込む立ち回りをしていきました。
それに対しサルデーニャは逆に閉鎖的で外部との交流をあまり行わない道を選びました。サルディーニャ島は、シチリア以上に海で隔絶された本土から遠い島です。他国からの文化の流入や、逆に他国への発信が少なく、島外の人にはほとんどなじみのない独自の文化を醸成していきました。
現在でもサルデーニャは工業よりも農業が中心の産業であり、機械化もあまり進んでいないエリアです。
サルディーニャワインは”イタリアっぽく”ない?
その影響はワイン造りにも現れています。
サルデーニャで栽培されるブドウの起源は諸説ありますが、多くは中世期のスペイン支配の時代に、カタルーニャ地方の移民により渡ってきたブドウ品種という見方が有力です。サルデーニャから他の地域へ伝わっていく機会が少ないため、イタリア本土では見られない品種も多いんです。
よくイタリアワインは「北部」「中部」「南部」のように分けられますが、あまりどのグループとも共通点がありません。
「イタリアワイン」というよりもむしろ「(スペインの名残がある)サルデーニャワイン」として認識するべきでしょう。
実は肉食な食文化
サルデーニャ島は沿岸部を山に囲まれがち。数少ない海抜の低いエリアも、かつてはサルデーニャを狙う外界の人々から略奪にあう脅威がありました。サルデーニャの人々の大半は島の中心付近で牧畜を営む生活をしていたそうです。
特に羊が有名で、160万人いる島民より羊の方が多いとされるほど。
もちろんシチリアのように海産物も豊富ですが、むしろ羊肉や羊の乳で造るペコリーノチーズを使った料理がメジャー。ワインの消費量を見ても実は赤ワインの方が多いです。
サルデーニャの土着品種
土着品種の宝庫であるイタリアは、そのエリアでしか育てていないような品種が多数あります。海で断絶され、外界との交流を減らしてきたサルデーニャももちろん例外ではありません。
ここでは、サルデーニャの土着品種の特徴とともに、その品種を使って造るアッツェイのワインをご紹介します。
土着品種 ヴェルメンティーノ
爽やかな味わいが特徴の白ブドウ品種で、スペイン南部のアンダルシア地方が原産と言われます。
サルデーニャ北東部で育てたこの品種のワインは「ヴェルメンティーノ・ディ・ガッルーラ」と呼ばれます。
南イタリアの白ワインで初めてのDOCG昇格を果たし、そこから現在に至るまでサルデーニャ唯一のDOCGとなっているため、イタリアでは「ヴェルメンティーノと言えばサルデーニャ」が広く知れ渡っています。
ちょうど海を挟んだ対岸に位置する本土のリグーリア州やトスカーナ州の沿岸エリアでも、ヴェルメンティーノは僅かですが栽培されています。それらと比較するなら、サルデーニャはスペインによく似た、温暖で水が少なく風が強い気候です。イタリア本土のものよりもアルコール度数が高く、骨格がしっかりとしたワインになるのが特徴です。
豆知識「DOCG」
フランスで「シャブリ」といえば、地区の名前でもありシャルドネを使ったワインの名前でもあります。このような「地域」+「ブドウ品種」+「ワイン」がセットになった「ブランド名称」が、イタリアには何百とあります。「キャンティ」や「バローロ」が有名です。
他地域のワインが勝手に使わないよう名称が守られたワインが「DOC」。さらにその中でも地域を代表する高品質ワインと認められたものが、イタリア全土で80近くある「DOCG」を名乗れるのです。
アッツェイのヴェルメンティーノは、南部各地に点在する畑からブドウを集めます。畑毎の環境の違いがワインの複雑さになる。そう考えるのです。
効率よりもブドウの質優先! 爽やかさがウリの品種ですが、このワインには驚くほど味わいの要素が詰まっています。グラスからハーブや白桃、グレープフルーツのアロマがグラスからあふれ出し、潮風の塩味のような風味も感じます。キレイな酸味に心地よい苦味。様々な表情を見せてくれるでしょう。
土着品種 モニカ
栽培しているエリアはほぼサルデーニャ島のみ、特に南部で栽培される土着品種です。
歴史的な起源をたどるとスペインに行き着くとされますが、現在はスペインで似たような品種も栽培されておらず、具体的な証拠はまだ見つかっていません。実質的にサルデーニャでしか味わえない品種です。
放っておくとわんさかブドウをつけます。だからワインの価格は通常は安い。穏やかな酸とタンニンにチャーミングなフルーティな果実の風味があるため、地元ではデイリーワインとして人気が高いです。
アッツェイの持ち味は“フルーツ感”の出し方。そのためにブドウを低温に保ち、醸造中も酸素になるべく触れないようにしています。その異常なまでの慎重さにより、モニカの持つポテンシャルが最大限に発揮されています。
口に含めばチェリーやプラムの“フルーツ感”があふれ出します。
まるで丸かじりしているかのよう。 名前も聞いたことないマニアックな品種ながらタンニンも強くなく、多くの人に楽しんでいただけるでしょう。
土着品種 カンノナウ
サルデーニャで最もメジャーな品種がこの「カンノナウ」。
実はフランスの「グルナッシュ」とは遺伝子的に同じです。スペインでは「ガルナッチャ」と呼ばれ、スペイン支配の時代にモニカなどと一緒に持ち込まれたと考えられています。
フランスではローヌの「シャトーヌフ・デュ・パプ」に代表される良質なワインも生み出す、非常に有名な黒ブドウの品種です。
グルナッシュは暖かい地域を好むブドウで、その分乾燥に強く水が少なくても枯れにくいのが特徴。だからサルディーニャの温暖な環境にピッタリだったのです。
フルーティなモニカと比べタンニンがしっかりしており、酸やスパイシーな風味も豊富な、ボリュームある品種です。
スパイシーで力強い「カンノナウ」でも、アッツェイの“フルーツ感”の追求は健在。
カンノナウはタンニンや風味・酸味などの要素がもりだくさん。「濃い」ワインになりすぎる危険もあります。
アッツェイでは抽出の強弱にものすごく気を遣っています。 アッツェイのカンノナウもスミレのような華やかな香りや「グルナッシュ」らしいよく熟した黒系の果実、カシスやブラックチェリーなどの果実味を持っています。アルコール感が高すぎないようコントロールされており、日常の様々な食事に合わせても「ワインが濃すぎる」ってことはありません。
このワインをつくるアッツェイについて
ワインの産地が観光地だと、ワインの値段が上がりがちです。
たくさんの観光客が来てワインを飲んでくれるので、ワインの生産量より買い付け量が多い、なんてこともザラにあるんです。
フランスのプロヴァンス、スペインのバスク、イタリアのナポリ近郊などがその例です。
正直、国際市場で戦えない「地元消費用」クオリティーでも売れていきます。そのなかで"わざわざ"輸出するワインには、低価格低品質のものはありません。選りすぐったちょっと高くても美味しいものだけが日本に届くのです。
アッツェイがまさにその典型。良質な畑選びにこだわったり、“フルーツ感“を追求する徹底的なワイン造り。明らかに地元消費用ではない、世界中の多くの人たちに受け入れられるようなワインを目指しています。そのための手間暇は惜しみません。
それなのに"観光地価格"じゃないのがうれしいところ。
閉鎖的なサルデーニャ島でアッツェイがこのようなワイン造りをしているのには理由があります。
高い品質から世界中で広く飲まれている南イタリア最大のワイナリーグループ、「ファルネーゼ」にアッツェイが属しているからです。
ファルネーゼとは?
ファルネーゼは、南イタリアを中心として7州に醸造所を構えるワイナリーグループです。
そのモットーは「消費者」「契約農家」「生産者」が笑顔になる「三方良し」のワイン造り。設立してからたったの30年でイタリアワイン評価誌にて過去9度の最優秀生産者に選ばれるほどのTOP生産者となりました。
彼らは縁あって他州の既存ワイナリーの株を所有したり、潰れた農協を買い取ったりすることで、ワイナリー事業を拡大していきました。
ファルネーゼは、南イタリアのほぼ全州でワイン造りをしていますが、そんな彼らでも網羅できなかったのがサルデーニャのワインです。サルディーニャの独立した特別な文化やユニークなワインは唯一無二で非常に魅力的です。他のワイナリーとは異なり、積極的にサルデーニャに働きかけたのが「アッツェイ」というプロジェクトでした。
閉鎖的で言語もまるで異なるサルデーニャへの進出は普通であれば非常に困難ですが、ファルネーゼにはそんな常識を覆す仕組みがありました。
サルデーニャ人を口説いたファルネーゼ流のブドウ買い付け
多くの生産地で、購入したブドウで造るワインより、自社畑のブドウで造るワインの方が高い評価を得ます。ブドウの栽培面のこだわりを消費者に伝えやすいからでしょう。
しかし、ファルネーゼは契約農家からブドウを買い付けることを優先します。
なぜなら契約している畑に関して言えば、ファルネーゼよりもその畑を先祖代々受け継いできた栽培農家の方がはるかにスペシャリストだからです。各所に点在する栽培環境が優れた良い畑の良質なブドウを、毎年多くの契約農家から安定的に供給してもらっています。
それが可能なのは、ブドウの量で買い取る値段を変えるのではなく「区画」ごとに一定の値段で買い取る契約を行うからです。良いブドウが得られる代わりに収量が少なくなる高樹齢の畑にこそ価値を与える仕組みにしました。
それでも自社畑を管理するより安く済むといいます。一定の収入を得られる栽培農家、良いブドウから造られるワインを手頃に飲める消費者、そしてワインを造るファルネーゼそれぞれにメリットがあります。 “三方良し”のビジネスモデルなのです。
ファルネーゼ傘下のワイナリーでは全てこの仕組みが適用されています。
ファルネーゼはサルデーニャ南部にある素晴らしい畑を持った栽培農家に対し、長い時間をかけてこのwin-winな関係を各所で構築してきました。素晴らしいサルデーニャワインを造る地盤をつくっていたのです。
いまや200を超える小規模の栽培農家から良質なブドウを「区画」で買い取っています。
アッツェイが南部に点在する良質な畑のブドウを使って手頃な価格のワインを造れるのは、この仕組みでブドウを買い取ることが可能だからです。
“フルーツ感”を追い求めるファルネーゼスタイル
アッツェイのもう一つのこだわりである“フルーツ感”の追求も、これまでイタリア6州のワイナリーで大成功を収めてきたファルネーゼのノウハウの結晶です。
彼らのこだわり。それは、「土着品種」を使うこと。そして「フルーティで熟した果実味・クリーンなアロマ・ジューシーで骨格のある味わい」を持つワイン造りであることです。
地元で飲まれるだけだった田舎ワイン。それを世界に通用する、誰にも真似できない個性と誰でも美味しいと感じる味わいに変える。その“ファルネーゼスタイル”は、ここサルデーニャで遺憾なく発揮したのがアッツェイです。世界中に広く認められるサルデーニャワインを生み出したのです。
これまで造ってきた数多くのワインが高評価を得ているファルネーゼスタイルのワインです。まだまだ始まったばかりのプロジェクトですが、すぐさま私たちは日本で飲むことができます。ファルネーゼの流通網を活かせるからです。
きっとアッツェイ自体はマーケティング費用をあまりかけなくてもいいのでしょう。それもワインを手ごろにしている要因です。
"ファルネーゼスタイル"を感じるアッツェイの最高級ワイン
先ほどのモニカを中心に、カンノナウやポヴァレといった土着品種でつくる、アッツェイの最高級ワイン。
「アル」というのが畑の名前。ファルネーゼがリサーチでこの島を訪れた際、アルの畑に植わる古いモニカの樹を見て、「これは素晴らしいブドウ、とんでもないワインができる!ファルネーゼの力で世界に届けなくては!」とほれ込んだといいます。
チャーミングで柔らかい雰囲気の「サーラガト」と違い、濃密で力強い「モニカの本気」「アッツェイの本気」を感じられるワインです。
イタリア+スペイン+ファルネーゼ=アッツェイ!
サルデーニャの土着品種はイタリアの他の州では見られない超固有な品種が目白押しです。それは元をたどれば多くが旨安の宝庫であるスペイン原産のブドウです。
そんな品種を、広く受け入れやすい丁寧な造り方で仕上げたファルネーゼ流のサルデーニャワイン。
イタリア・スペインが好きな方ならきっと「美味しさ」と「面白さ」を同時に体感できるはずです。
普段の晩酌ワイン、マンネリを打破する産地としてサルデーニャ島に注目してみては?