3000円以下のデイリーワインの価格帯において、ワインが高くなると味わいはどう違うか?一番わかりやすい基準は風味の凝縮感でしょう。簡単に言うと濃いワインは高い。
ワインを濃くつくる一番の方法が、ブドウの収量を制限して栄養を集中させること。それをするとできるワインの量が減るのでワインは高くなります。
しかしこのアシュトンワイナリーにおいては、その「高くなる」が2000円台前半なのです。
《生産者について》
アシュトン・ワイナリーは1962年に設立。複数の栽培農家が出資した協同組合で、ロバートソン地区の中心部にあります。
協同組合のワインは手ごろなことが多いです。醸造設備を効率よく使えるからでしょう。ただしその品質は必ずしもすべて高いわけではありませんが、アシュトンは非常に優秀。
「親しみやすく美味しいワインをお手頃価格で」をモットーに、価格の割に凝縮感のあるワインを生産しています。
《テイスティングノート》
このワインは色合いからして恋です。アメリカンチェリーやブラックチェリーなどのよく熟したフルーツの香り。その奥にミントやローズマリーのような少しすっとするような香りも感じます。口に含めば濃厚な果実味がしっかりと舌を覆い、重量感を感じさせます。余韻にはチョコレートやコーヒーのような香ばしい風味が残ります。
1000円前後でもなかなかのワインをつくる生産者だからこそ、2000円ちょっとで表現できる高級感です。