《バルベラらしくない!》
バルベーラという品種は本来熟しにくい品種だそうです。1本の樹に実る房の数を制限し、栄養を集中させないと酸味が高すぎるワインになりがちなのです。
だからこそ、このワインを1口飲んだら「本当にバルベーラ?」と思ってしまいます。それほどジューシーで柔らかい酸味。飲みごたえのあるワインだからです。
かといってプリミティーヴォみたいかというと、そうではありません。果実味を支えるちょうどいい酸味で、味わいのキレがいいのです。
恐らく抜栓後2、3日は平気で持つので1人で開けてもいいのでしょうが、このボリューム感はどうせなら数名で飲みたい。友人を家に招いて飲む3、4本のうちの1本としてちょうどいいワイン。ちょっと濃い目の味付けなパーティー料理に負けない濃厚さです。
《生産者について》
「ワインづくりは生活そのもの。販売することではなく、ブドウを育て、ワインをつくることに楽しみを感じているんだ」
グラッソ・フラテッリのアルフレードとルイジの兄弟はそう話します。1900年から続く家族経営の生産者で、まだ3代目です。
クラシックなスタイルのバルバレスコをつくる生産者で、販売に力を入れていないため知名度は高くありません。長年の経験にもとづいた素朴でありながら進化をつづけるワインづくりは、ワイン雑誌でひっそりと高い評価を得ています。
《このワインについて》
樽熟成に向く良質なブドウがとれたときにしたか「マチネ」はつくりません。この名前は方言で「早起きする人」を指しているといいます。いいワインをつくるためには、早起きして畑に行く真面目な仕事が大切だという意図です。
ブラックベリーやブルーベリーなどのよく熟したアロマ。白コショウのニュアンスも感じます。口当たりが驚くほどスムースで厚みがあり、熟した果実味を感じます。バルベーラとは思えない飲みごたえのあるワインで、これまでは少し固い印象のあるワインでしたが、2020年ヴィンテージは驚くほど親しみやすくなったといいます。
Grasso Barbera d’Alba Matine