《シュペートブルグンダーのスタイル》
「シュペートブルグンダー」とはピノ・ノワールのドイツ名。ドイツワインをちょっとお好きな方ならみなご存知でしょう。ではこの2つが別の意味を持つ場合もあることはご存知でしょうか?
生産者によっては特に使い分けしていない場合もあります。むしろその方が多いです。
でも「昔ながらの製法でつくるドイツの赤ワイン」という意図で、あえて「ピノ・ノワール」ではなく「シュペートブルグンダー」と使う生産者もいます。
ではその「昔ながらの製法」とはどのようなものか。決して共通認識ではありませんが、
・樽香をきかせず、小樽ではなく大樽で熟成
・4g/L程度のほんの少しの残糖
・ブルゴーニュのように洗練されていない、どこか田舎っぽい香り
このあたりが共通点です。その特徴が分かりやすいのがこの「ローター・ハーン」です。
《このワインについて》
ミッテルラインのバハラッハー村は緯度が50度を超え、冷涼な地域です。すぐ近くにあるラッツェンベルガーがつくるシュペートブルグンダーは、それほど日照豊かではないことを感じさせる、陰の雰囲気がある赤ワイン。でもこの「ローター・ハーン」は全然違います。
畑はこの生産者自慢の「イム・ハーン」。VDPが定めるグローセ・ラーゲ(特級畑)です。そこから赤ワインをつくるので「ローター・ハーン」。その言葉の意味は「赤い鶏」なのでそれがエチケットに描かれています。
北の産地だとは思えないほど甘やかな果実味。というより甘いんです。イチゴやベリージャムのような風味がなめらかに広がり、優しい酸味でまとめられています。
ピノ・ノワールのイメージとも違うし、最近のシュペートブルグンダーのイメージとも違う。一昔前のカリフォルニア産ピノ・ノワール好きが気に入りそうな親しみやすい味わいです。
《生産者について》
トニー・ヨーストはバハラッハ村にある家族経営のワイナリー。現在は7代目のセリシア・ヨースト氏がケラー・マイスターをつとめます。ミッテルラインだけでなく、ライン川対岸のラインガウにも畑を持ち、自社畑は合計15ha。VDP加盟ワイナリーです。
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