《テイスティングノート》
インクのような詰まった香りと鼻の奥を刺激するような清涼感にはあまり甘いニュアンスを感じません。少し古いヴィンテージですが熟成香はなく、派手さは控えめ。果実味の凝縮感、タンニン、酸味に関しては標準的なジゴンダスで、特徴は余韻の広がりとうま味感です。
バルサミコのような奥行を感じさせるうま味感が広がり、余韻には様々なスパイスが表れる鼻を抜けていく香りに圧倒され、一度飲んだら記憶に残る味わいです。
「フルボディな赤ワインに赤身肉」なんて今更な組み合わせですが、このワインはやっぱりうまい。しかも手頃な塊肉がおすすめです。上質な和牛ではなく、歯ごたえがあるが風味には乏しい輸入牛肉。それをかぶりつくようにして食べるとき、このワインのうま味感があれば、味わいの複雑さが1段グレードアップしそうです。
《生産者について》
ドメーヌ・デュ・ケロンは一貫して「古典的なスタイルのジゴンダス」をつくり続ける生産者。決して手頃なワインではありませんが、この1銘柄しかつくっていないそうです。それで1840年に設立してから家族経営でやってこれているのですから、それだけ品質を信頼して飲み続ける人がいるということです。
Gigondas Domaine du Cayron