ドイツワインケナーの試験、特に上級の試験や対策講座でよく出題されるのがベルヒャーのワイン。純粋に品質が高く、ドイツらしい・バーデンらしい特徴をよく表しているところが、題材を選ぶ専門家の心をつかむのでしょう。安心して試験に使える味わいの安定感もその材料です。
《生産者について》
ベルヒャーはドイツ南部バーデンにて、1756年から続く名門ワイナリー。27haの畑ではブルゴーニュ系品種が多く栽培されていますが、あくまで「ドイツの土着品種」としてです。
バーデン地方はドイツで唯一「温和」に分類される気候で、ブルゴーニュに似ていると言われています。それもあって何百年も前からブルゴーニュに起源を持つ品種が盛んに栽培されてきました。地球温暖化によりブドウの成熟に困る年がほとんどなくなり、赤ワインの品質向上が著しい地域です。若手の生産者を中心にブルゴーニュで修行してから故郷でワインづくりを行うケースもよく見られます。
ブルゴーニュワインの高騰、そして品薄により、ブルゴーニュと代わりとなるようなピノ・ノワールをつくる生産者も多くみられます。
その一方で昔ながらの「シュペートブルグンダー」(ピノ・ノワールのドイツ名)のスタイルを貫く生産者もいて、ベルヒャーはその後者のタイプです。
《テイスティングノート》
チェリーや赤いベリーの香りに森林のような複雑な香り。十分な果実の凝縮感があり、なめらかでボリュームのある口当たり。バリックで熟成されていますが、10年以上使った古樽なので、ヴァニラなどの甘い樽香はほとんど感じません。
派手さがなく滋味深い。どこかあか抜けない味わいに「バーデンらしさ」を感じます。
Bercher Spatburgunder Trocken