《生産者について》
ジルヴァーナー種を使った辛口白ワインが著名な産地フランケン地方。その中でも西側に位置し、マイン川の支流、エルフ川に面した産地ビュルクシュタットにフュルスト醸造所はあります。
ジャンシス・ロビンソン女史やシュチュワート・ピゴット氏などの著名なワインジャーナリスト達が絶賛し、「フュルストはドイツのピノマジシャン」、「ブルゴーニュはビュルクシュタットにあり」と評され、今や世界のピノ・ノワール好きの間では知らぬ者はいない存在となりました。
フュルスト醸造所前当主パウル・フュルストさんは、1971年に若干16歳でラインガウ地域の名門シュロス ヨハニスベルクにて研修を終了。21歳の頃、当時2ha規模のフュルスト醸造所の当主であった父を亡くし、急遽、醸造所の後継ぎになり、独学でワイン造りを学びました。今では畑は22haまで拡大し、フランケンきっての名門生産者となりました。
ゴー・ミヨ誌5つ房評価の生産者であり、現当主パウルさんは2003年度最優秀醸造家受賞。息子セバスチャンさんは2019年度のファルスタッフ誌、2022年度のヴィヌム誌において最優秀醸造家受賞。ドイツのワイン誌3冠に輝いた、異例のつくり手です。
《このワインについて》
マイン川沿いにあるクリンゲンベルガー村。街の上部に広がる南西向きの畑は、この地の基盤土壌である赤色砂岩のレンガでテラス状の畑に組み上げられています。急斜面の畑ゆえに、高緯度で日差しの弱いフランケンでも効率的に日照を得られること。さらに砂岩でできたレンガが昼間あったまった熱を夜間に放出することで、ブドウの成熟を助けます。結果、寒冷地域において例外的なほどブドウがよく熟し、ワインに驚くべきしなやかさをもたらしています。
フュルストの「シュロスベルク」の畑は、VDPが定めるグローセス・ゲヴェックスであり、醸造所の2枚看板のひとつ。「フンツリュック」と比べるとよりしなやかで凝縮感があります。
《2020年ヴィンテージの特徴》
2018年、2019年同様暑く乾燥した年でした。ブドウの粒が小さく収量は少ないが、とてもきれいで凝縮された良い状態のブドウが採れた年です。今まででも一番といっていいほどの力強さをもった2019年と、繊細で閉じた印象を持った2019年のちょうど間くらいのイメージです。
2018年のような黒い果実のニュアンスがあり、繊細さと力強さを兼ね備えた年と言えるでしょう。
Furst Schlossberg Spatburgunder