スリーについて、より詳しく
スリーの自慢はジンファンデルだけじゃない!
『3』種類の補助ブドウは助演男優賞!
「みんなスリーの美味しさを知らなすぎる!」そう声を大にして叫びたい。
ワイナリーがある「コントラコスタ」という地域が、ブドウ栽培としては忘れられた地だからでしょうか。単一品種のワインが多いカリフォルニアにおいて、ブレンドのワインを作るからでしょうか。
彼らのワインの素晴らしさを、ワイナリーの名にちなんで『3』つ、当主マット・クライン氏のお話から抜粋してご紹介します。
奇跡的に残っていた樹齢130年のブドウの樹 それを守る土壌
スリーが所有する畑に植わる、1880年代植樹のジンファンデルやカリニャン、プティ・シラー、マタロ(ムールヴェードル)。 これはアメリカ大陸を横断する鉄道ができ、ゴールドラッシュで人口が増え、盛んにブドウが植えられるようになった時期のものが、そのまま残っているということ。当時カリフォルニア州に推薦されたブドウが、ジンファンデルを始めとしたこれらのブドウです。 これほどの高樹齢になると、木の幹に穴ができることがあり、それがワインのエチケットにイラストで描かれています。 ブドウの樹が長く生き続けたのは、自根のブドウだから。 現在、ブドウの樹はほぼすべてランブルスカ種の上にヴィニフェラ種を接ぎ木されています。これは「フィロキセラ」と呼ばれるブドウの根に住み着いて樹を枯らしてしまうアブラムシの被害を避けるため。 しかし接ぎ木をすると100年も生きられないと、マットは言います。 ではどうしてスリーでは自根の栽培ができるのか。 それは畑の土壌がフィロキセラが住むことができない砂の土壌だから。 上記の写真のように白く栄養分や保水力に乏しい砂質土壌が地下1mまであり、その下に粘土質の土壌があります。このあたりは川によって運ばれてくる土砂が堆積してできた土壌なのです。 こんな土壌になるのは、コントラコスタカウンティ、オークレーの立地ゆえ。
オークレーより東、さらに内陸側には、セントラルバレーと呼ばれる砂漠地帯、非常に暑いエリアがあります。
暑いエリアでは空気が温められ、上昇気流が生まれます。これがサンフランシスコ湾、そして太平洋から冷たい風を引っ張るため、オークレーには常に西から東へと風が吹きます。
その風がもつ湿った空気も、オークランドやリッチモンドの東に連なる山脈を超える際に、湿気を落として乾いた空気だけがオークランドに入ってきます。
その風があまりに強いため、ブドウの樹は背が高くならず、自然と収穫量も抑えられるのです。
砂質土壌で雨もかなり少ないため、非常に乾燥していますが、川が近いため地下には水分があります。
ブドウの樹は水分や栄養を求めて地下深くに根を伸ばすので、無灌漑、水をやらない栽培でも樹が枯れることはありません。
ブレンドだからこそ表現できる味がある
スリーで一番重要なブドウはジンファンデル。カリフォルニアでメジャーなブドウです。 それを支えるように加えられる、カリニャン、プティ・シラー、マタロというブドウが、いい仕事をするのです。 ジンファンデルは実はあまり濃くない品種なのです。 というのもジンファンデルは果皮が薄いため通常はそれほど色が濃くなりません。成熟期になるとその薄い果皮から水分が蒸発するため、ブドウの成分が凝縮しアルコール度数が上がりやすい性質があります。
カリニャンは逆に暑い果皮から豊富なポリフェノールが抽出されます。
砂質土壌のカリニャンは特に、黒いベリーの香りが強く立ち上り、土っぽいアロマが時間とともにスミレのような香りに変わります。
プティ・シラーは他のブドウに比べてpHが低く、黒に近い濃い色合いのブドウ。
マタロ、フランス名ムールヴェードルからは、しっかりとした口当たりとタンニンが供給されます。
ジンファンデルに足りないところを、他の品種で補ってバランスを整えるからこそ、スリーのワインは濃いだけではない深みを感じるのです。
大切なのは『天・地・人』
オーナーのマット・クラインは、兄フレッドとともに当店でも人気のクラインセラーズの基礎を築きました。
その後奥様のエリンとともに2006年に"Three Wine Company" を設立。
彼は『3』という数字を非常に大切にしています。
ワインを作るうえで大切なのは『天・地・人』。
その土地・その年の気候・気象
テロワール、土壌やブドウ
そして栽培・醸造にかける労力
どれが欠けても素晴らしいワインはできない。
そんな彼のワインだからこそ、『3』日目も美味しい。
これは開けてすぐ香りがたつジンファンデルだけでなく、時間がたってその真価を発揮するカリニャンやマタロというブドウをブレンドしているから。
そんな彼らのワインを、ぜひゆっくりと時間をかけてお楽しみください。