《有名で安い赤ワインは意外と少ない?》
「誰でも知っているようなワイン」といえば何を思い浮かべますか?
モエ・エ・シャンドン、ドン・ペリニヨン、ヴーヴ・クリコ・・・まずはシャンパンのいくつかの銘柄が出てくるでしょう。続いて「ロマネ・コンティ」や「オーパス・ワン」「ボルドー五大シャトー」のような高級赤ワイン。モエやヴーヴは1万円以下で手に入りますが、そのほかはみな高級ワインです。
デイリーワインの価格で楽しめる有名赤ワインって、実は結構希少なんです。なぜなら膨大な銘柄が流通しているから。
2000円の赤ワインなんて山ほどあるなか、この「ムートン・カデ」が有名なのは理由があります。「五大シャトー」がつくる「セカンドワインの先駆け」だからです。
《ムートン・カデのはじまり》
ボルドーは収穫期に雨が降ってしまうことも多い、ブドウ栽培が難しい土地です。なのでメドック地区のトップの一角に君臨する「シャトー・ムートン・ロートシルト」といえども、満足のいくワインがつくれない、いいブドウが穫れなかった年もあります。このブドウでは、いつもムートンを楽しみにしている顧客を満足させられない。
そこで考えたのが、弟分(=カデ)のグレードのワインをつくること。「ムートン」の看板ブランドを守るため、その基準に達しないワインを安く販売したのです。これが「セカンドワイン」の先駆けだと言われます。
現在は「ムートンのチームがつくるデイリーワイン」という位置づけに変わり、正式なセカンドワインは別銘柄となりました。それでもムートンのブランドを冠したワインの一つであり、知名度も入手性も抜群です。
《テイスティングノート》
ラズベリーやブルーベリーの香りに、ハーブやバニラのニュアンス。スムースな果実感に程よい酸味と控えめに主張するタンニン。ボルドーの赤ワインとして教科書的な、安心感のある味わいです。
自分の好みを表すとき、「ムートン・カデみたいなワインが好き」と言えば、殆どのワイン好きにはきちんと伝わることでしょう。
Mouton Cadet Rouge Classique