《約4000円のカベルネとして》
カベルネ・ソーヴィニヨンは世界最大の栽培面積を誇る品種なので、それこそ世界中でつくられています。「4000円くらいの美味しいワイン」と限ってみても数えきれないほどの種類が流通しているでしょう。
その中で人気なのはナパ・ヴァレー産。この価格帯なら、甘濃くて香ばしい風味を持ち、渋みや酸味が穏やかなタイプです。
次いで代表的なのはボルドーの左岸タイプでしょう。「ポイヤック」などの人気の村名にはちょっと届かず、「オー・メドック」などの地域名クラス。カベルネ・ソーヴィニヨンらしいグリーンノートが清涼感をもたらし、酸味も渋みもしっかりと感じるエレガントなタイプが一般的です。
このハーテンバーグのワインはどちらとも違います。ブドウの熟度が高いのでグリーンノートはあまりなく、ナパ・ヴァレー産よりのパワフルさがあります。しかし甘いニュアンスは控えめであり、ボルドーほどではないにせよ高めな酸味を持ちます。
熟度が高い明るい風味と引き締まった力強さ。価格に対して2ランクほど高く感じさせてくれる味わいです。
《テイスティングノート》
カシスやプラム、ブラックベリーなどのフルーツの香りに、トリュフや森の土、タバコ、鉛筆の芯のような複雑なニュアンスが混ざります。熟度の高い果実味は適度な酸味で上品にまとめられており、しっかりと渋みが続きます。さらに20年程度の熟成に耐えうるポテンシャルを持つでしょう。
《生産者について》
ハーテンバーグは1692年に南アフリカ・ステレンボッシュに設立されたワイナリー。カベルネやメルローといったボルドー品種のほかシラーズにも力を入れており、南アフリカのワイナリーとして最も早く単一畑のシラーズをリリースしました。
歴史あるワイナリーだけあって資金面で余裕があるのでしょう。ワインのヴィンテージが他に比べて2、3年古いものがいくつかあるのは、ワイナリーで飲み頃を待ってリリースするからです。
敷地内の畑で高いところと低いところでは280mも高低差があり、リースリングなども栽培しています。
環境保護や社会貢献活動にも熱心で、売上の一部が慈善団体に寄付されます。
Hartenberg Cabernet Sauvignon