《生産者について》
「ドイツのピノ・ノワールは上品で熟成能力もあって美味しい!」
10年前と比べるなら、日本においてドイツピノの地位はずいぶん向上しました。その原動力となった生産者の一人。「きつねラベル」はその1本と言っても過言ではないでしょう。
南ファルツで300年続く実家から独立し、フリードリッヒ・ベッカー醸造所を設立したのが1973年。最初の畑「カマーベルク」が、ブルゴーニュを旅行した際に見たクロ・ド・ヴージョの畑と土が似ていたことから、「ここで素晴らしいピノ・ノワールができる」と確信。ゴーミヨ誌にて2001年から2009年まで8年連続最優秀赤ワイン賞を受賞して、その実力に世界が驚きました。
設立当初はドイツで甘口ワインが大流行していたころ。「ベッカーのブドウは酸が強く、酸っぱくて不味い」と言われていましたが、そのブドウを信じて世界に認められたのです。だからこそイソップ童話の「すっぱいブドウときつね」の話を題材に、今のエチケットとなったのです。
現在は代替わりをすすめており、ベッカー・ジュニアがワイナリー運営全般を担っています。ジュニアの代になり白ワインの評判も急上昇。多種多様な白ブドウからつくる品種の個性が表れたワインや、レベルの高いシャルドネも秀逸です。
《このワインについて》
以前から販売されていた「ピノ・ノワール[B]」というワインが終売。その代わりとして入荷したのが「シュペートブルグンダー・トラディション」です。
この名前のとおり、「ファルツ地方の素朴な、それでいてレベルの高い赤ワイン」のイメージ。オーク樽熟成の風味が豊に広がる派手な風味ではなく、森の下草や苔むした土を思わせる滋味深い味わいを目指しています。
しかしながらタンニンやコクもしっかり力強く持ち、スタンダードクラスの「ピノ・ノワール」や「シュペートブルグンダー・ドッペルシュトゥック」と比べて飲みごたえは1段階、2段階上。普段飲みクラスのピノ・ノワールにはないスケール感を持ちます。
大人数で1本を分けて飲んで、一口目から感じる華やかさはありません。むしろ1人で2時間かけて飲むことで、だんだんと魅力が増してきます。何かいいことあったとき、翌週に気合を入れたいときの週末に、自分へのご褒美として楽しんではいかがでしょうか。
Becker Spatburgunder Tradition