ワインの選び方

【ソムリエが選ぶ】1000円台おすすめ赤ワイン 8選!

2022年6月10日

【ソムリエが選ぶ】1000円台おすすめ赤ワイン 8選!
 
 
1000円台で普段飲み用に選ぶ赤ワイン、あなたはどう選びますか?
ワインをおすすめする人は無数にいます。大事になのは自分のためになる情報を取捨選択すること。
そのためには「なぜこのワインが自分におすすめなのか?」を見極める必要があります。
今回は品種・産地特性にこだわるか否かを軸におすすめの赤ワインを8本ご紹介します。

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品種・産地特性の現れたワインを選ぶ

 
品種・産地特性の現れたワインとは、簡単にいうと「らしい」ワインです。
「カベルネ・ソーヴィニヨンらしい香り」「ブルゴーニュらしい上品さ」そういったものです。
 
 

メリットは味わいを想像できる安心感

 
カリフォルニア産の2000円のカベルネ・ソーヴィニヨン、味わいを予想してください。
割と多くの方ができるんじゃないでしょうか。
 
それは「カリフォルニア産カベルネ・ソーヴィニヨン」というスタイルがある程度確立しているからです。
「California」「Cabernet Sauvignon」これをエチケットに分かりやすく書いているワインは、概ねこの典型的なスタイルを踏襲していると考えて構いません。
 
 
もしあなたがこのスタイルが好きなら、初めての銘柄でも買ってがっかりすることはほぼありません
「これは値段の割にいいじゃん!」「これよりは先週飲んだものの方が安くて美味しかったな」多少の当たりはずれはあります。でも1本飲み切れないほどの苦手な味わいはまずないといっていいでしょう。
 
産地や品種の好みで買って失敗しないのが、その特性の現れたワインのメリットです。
だからこそ、次の1本が探しやすい。気に入った1本と同じ地域・同じ品種のワインなら、好みから大きく外れることはそうそうありません。
「好きそうなワインをいろいろな銘柄飲んでみる」という選び方をしやすいんです。
 
 

デメリットは必ず高くて美味しいワインがあること

 
品種・産地特性の現れたワインのデメリットは、どうしてももっと美味しいワインと比べてしまうことです。
 
その品種・産地として典型的な味わいなら、1000円台のワインだけでなく2000円台、3000円台にも似たタイプのワインがあります。やはり高いワインの方が美味しいことが多い。あなたの好きなタイプなら、その高くて美味しいワインを飲んだ経験があるのではないでしょうか。
 
ブルゴーニュの広域ピノ・ノワールを飲んだとき、美味しかったとしても心からの満足がないのは、「村名や1級畑はもっと美味しいだろうな~」という確信があるから。例えるならそういうことです。
 
 
心の中にある、「今日は平日だから安いワインで我慢」という気持ちがぬぐい切れないかもしれません。
 
 

品種・産地特性の現れた1000円台赤ワイン4選

 
特性の現れたワインのいいところは安心感。
「10本の中にある1本の大当たり」より「10本すべてハズレではない」ことを優先するのが、多くの方にとってのワインの買い方でしょう。
だからこそまずは特性の現れたワインのおすすめをご紹介します。
 
 

「カリフォルニア産カベルネ」らしい味わい

 
先ほど例に挙げた「カリフォルニア産カベルネ・ソーヴィニヨン」のイメージ。その通りといってもいいカベルネがこちらです。
 
カリフォルニアにおいてスケールメリットを活かした安くて美味しいワインをつくる。そのために重要なことは、自社畑のブドウにこだわらず買いブドウでワインをつくることです。それも1地域で調達するのではなく、ある程度離れた複数個所の畑と契約すること。
 
 
カリフォルニアでは数年に1回のペースで大きな山火事が起こっています。小さなものならほぼ毎年です。
「ブドウが煙をかぶってしまったから、今年は赤ワインをつくらない。全量バルクワイン用に安く売り払う」そんなプレミアムワインもよく目にします。
だからこそブドウの供給元を分散させてリスクヘッジをする。このファイヤーストーンはカリフォルニア南部のワイナリーですが、北部の地域のブドウも使っています。だから今のところこの価格で安定供給できているのです。
 
 

南イタリアらしいジューシーな果実感

 
1000円台のワインで手っ取り早く「美味しい」を感じたければ、濃いワインを選ぶのが正解かもしれません。
異論はあるでしょう。でも1000円台は濃い・薄いの差が出やすいのも事実です。
 
その点南イタリアのワインはなかなか優秀。温暖な気候のもとよく熟したブドウを使う、果実感が凝縮したワインが多いのです。
中でも2台巨頭といえるブドウ品種がプリミティーヴォとこのネグロアマーロ。ともに甘やかな果実味と低めの酸味、プルーンのような濃いベリーの風味が特徴です。
 
 
その果実感を活かすべく、あえて樽熟成をしていないのがこのロッカモラ。
3000円の味がするとは申しません。しかし「フルーティーで渋味や酸味の控えめなワインが好き」という方が飲んで、がっかりすることはまずないでしょう。
 
 

生産者の名刺代わりの1本

 
誰だってワイン選びには失敗したくないし、失敗するとしてもがっかりを小さくしたいもの。
初めて飲む生産者のワインなら、一番安いものをまず飲んでみるというのは普通の考え方です。
 
だからこそ一流生産者はその最も安いワインにも手を抜かないもの
このキリカヌーンという南オーストラリアの生産者は、定価45000円のシラーズが最高級ワインです。
 
 
それと比べるなら、そりゃあ香りのボリュームもなければ複雑さも余韻の広がりもありません。でも価格はおよそ30分の1です。
このワインをとおして45000円のワインの片鱗が感じられるか。私には感じられませんでした。それでも全く違うタイプのワインというわけではありません。まずはこの安いワインを気に入ってもらう。そしてその信頼をもとに高いワインも飲んでもらう。それを生産者も願っているはずなのですから。
 
価格1/30ワインにも、その品種らしさ・生産地らしさ・生産者らしさは表現されています。
 
 

この品種らしい渋みの少なさと軽やかさ

 
濃厚なワインが好きという方も多い一方で、「軽いワインがいいわ」という方もたくさんいます。私のイメージでは、ワイン初心者よりもむしろ、普段からワインを飲んでいてなおかつ飲む量が多めの方に多いように感じます。
 
しかし1000円台で「軽めの口当たり」で美味しいワインって、とっても難しいんですよね。単に薄いワインになってしまいがち。
「軽やかで美味しい」か「薄くて物足りない」のジャッジは、あなたが普段どんなワインを飲んでおられるかによります。私が約束できるものではありません。でもこのピノ・ノワールの果実味なら「薄い」ととられることは少ないでしょう。
 
 
ラングドックはフランスの中では少ない、「品種名表記のワイン」が多い産地。そこで「Pinot Noir」と書いたワインとして売れ続けているということは、多くの人の期待を満たしているということです。
誰とでもどこでも楽しんでほしいという願いを込めてつくられている1本です。
 
 

「美味しい」の定義があるワインを選ぶ

 
では上記の反対、「品種・産地特性の現れていないワイン」とはどういうものなのか。
それは作り手の意思が大きく味わいにあらわれたワインです。
作り手が目指す味わい、ワインのイメージがある。そのためにブドウの収穫時期や醸造方法などワインメーカーがコントロールできる部分で工夫を凝らす。その効果が大きく出ており、産地や品種の味わいより強く現れているワインです。
 
 
言い換えるなら「美味しい」の定義があるワインのことです。
 
複数品種をブレンドしたワインなどその最たるものでしょう。
単一品種でワインをつくるより、いろいろな品種を混ぜた方が「美味しい」と考える。だからブレンドするのです。
 
その目指すものはワインブランドの伝統の味であったり、ワインメーカーの嗜好であったり様々。でも目標ありきなのは間違いないです。
 
 

「美味しい」定義のあるワインのメリット

 
そのワインの目指す「美味しい」の目標があなたの嗜好とピッタリはまれば、価格帯を1,2ランク飛び越えるくらいの満足がえられる。すぐにまた飲みたくなる。
それがコンセプトワインのメリットです。
 
どんなワインもおおよそ「完璧」ということはありません。特に低価格帯のワインならなおさらです。
 
「香りが単調だな」
「酸味が少し尖っているな」
「渋味がもう少しなめらかならいいのに」
「余韻が物足りないな」
「ちょっと好ましくない風味がある」
 
それと同時に、ワインに重視するポイントは飲み手によって違います
 
「香りがハッキリしてボリュームのあるワインが好き」
「大事なのは余韻。飲み込んだ後も味わいたい」
「樽香バッチリのリッチなワインしか飲みたくない」
 
 
そのワインがあなたの好みに合わせたアピールポイントを持っているならば、あなたが重視しない欠点をもっていたとしてもある程度は問題ないんです。
「美味しい」定義のあるワインは、そのアピールポイントを狙ってつくりあげています。ただし、価格が安ければそりゃあ欠点もあります。でも、その傾向が飲み手の嗜好に合うなら、「高いワインじゃないけど、私はこのワインが好き!」となるのです。
 
 

「美味しい」定義のあるワインのデメリット

 
コンセプトワインのデメリットは、最初の1本が多くの場合冒険になってしまうという点です。
 
分かりやすいのが手ごろな熟成ワイン。10年20年まえのワインと聞くと数万円くらいのものと想像するかもしれませんが、稀に1000円台で入荷することもあります。
なぜ10年20年保管したにも関わらずこんなに安いのか。若いうちに売れなかったからです。だから無理に売り払うのではなく「熟成もの」という付加価値をつけて販売を狙ったわけです。「熟成の美味しさを目指す」これもある意味コンセプトワインといえるでしょう。
 
 
こういう1000円台の熟成ワインを試飲なしで仕入れることはまずありません。熟成して美味しくなっているのか、枯れてひ弱な味になっているのか、想像がつかないからです。つまりそれを販売しているということは、少なくとも仕入れ担当者は美味しいと感じたということ。
それでも買ってみてハズレはあり得ます。一つには仕入れ担当者の「バランス」の評価基準があなたと違う場合。もう一つは熟成ワインだけにボトル差が大きく存在する可能性があります。
 
また、次の1本を探すのが困難です。
1本気に入った銘柄に出会ったとします。その生産者がつくる他のワインもきっと気に入るでしょう。
でも、同じ地域・同じ品種のワインが気に入るかどうかは全くの未知数。だって「らしくないワイン」を気に入ってしまったのだから。
なので「好き嫌いはあるけどいろいろなワインを飲みたい」という方より「自分にピッタリのワインが見つかったら、我が家の定番としてリピートする」という方にこそ向いています。
 
 

作り手の意思の現れた1000円台赤ワイン4選

 
「目指すワインのスタイルがある」
「醸造法に特徴がある」
「ブレンドによって目指す味をつくり上げる」
 
このような醸造家・オーナーの意思を反映してつくられる赤ワインをご紹介します。
 
 

ボルドーワインに比肩するものをブルガリアで

 
ベッサ・ヴァレー・ワイナリーのオーナーは、ナイペルグ伯爵。ボルドー、サン・テミリオン地区の「ラ・モンドット」や「カノン・ラ・ガフリエール」という一流シャトーのオーナーです。
単に所有するだけでなく、購入してから短期間で品質を引き上げたと言われています。きちんとワインに理解のあるオーナーなのです。
 
 
そのナイペルグ伯爵がブルガリアの旅行時に畑を見て、「ここは素晴らしいワインが生まれるぞ!」と出資を開始。本家サン・テミリオンの高級ワインを目指し、ボルドーの技術とブルガリアの安い人件費を活かしたワインをつくります。
樽使いによる口当たりのなめらかさはボルドーらしさを感じます。一方、価格に合わせてあまり熟成させずとも楽しめる味わいには調整しているようです。
 
飲みごたえと口当たりの滑らかさを重視する方には、ピッタリのワインでしょう。
 
 

新樽熟成のリッチな味わいこそ最高!

 
オーク樽熟成を行えばワインにヴァニラやココナッツのような香りが付与され、香りの複雑さが増します。それはワインをリッチな印象にします
その効果は新しいオーク樽で熟成させた方がより強く現れますが、毎回新樽を購入するのはコストがかかります。なので1000円台のワインで新樽100%熟成は稀です。
 
 
理由はコストの面ももちろんあります。しかしそれだけではないのです。
樽の風味は強ければいいというものではありません。ブドウの質にたいして強く樽を効かせすぎると、「樽負け」と言って樽の風味しか感じないワインが出来上がります。
1000円台のワインはそれほどブドウの風味が強くないので、バランスを取るために新樽をつかう比率も調整するのです。
 
しかし、「樽と果実の風味のバランスがちょうどいい」は人によって異なります。そのバランスポイントがかなり樽の風味寄りの方もいるでしょう。
 
このワインは、そのような好みを持つ方にとってなかなか替えのきかないワインになるはずです。
 
 

「甘濃い」風味を目標に

 
高温で乾燥した気候ではない地域で、フルボディのワインがつくれるほどブドウを完熟させるのは簡単ではありません。特に収穫量が多くて糖度が上がりにくい品種においては。
夏の間にグリーンハーベスト、いわゆる間引きを行って収穫量を調整するなどの畑仕事が大切なのです。
 
それより簡単にワインのアルコール度数を上げて甘濃い味わいにする方法があります。「アパッシメント」「パッシート」などと呼ばれる方法で、収穫したブドウを乾燥させてからワインにするのです。
イタリア、ヴェネト州の高級ワイン「アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ」につかわれる手法です。
レーズンほどではないにせよ、少し水分量が減って糖度や風味が凝縮したブドウを使います。ワインにはレーズンっぽい甘濃い風味が現れます。
 
 
今回紹介するワインは、バルベーラというブドウ品種です。
これも完熟が難しいブドウで、酸味が高い傾向があります。バランスのよいワインに仕上げるには、栽培から手間をかける必要があります。
そこにアパッシメント。ピエモンテ州ではあまり一般的でないこの手法を導入することで、手頃でありながら甘濃く飲みごたえのワインに仕上げました。
 
醸造家の頭の中に「アマローネ」があったのは間違いないでしょう。
 
 

伝統の味を守る!

 
ローヌ地方の「ギガル」に関しても、先に紹介したキリカヌーンと同様のことが言えるでしょう。
高級ワインをつくっている一流生産者だからこそ、一番安いワインにも手を抜かない。名刺代わりの1本であると。
 
キリカヌーンのある南オーストラリアは、気候が安定しています。というよりブドウの生育期に非常に雨が少ないので、「雨が多くてブドウの生育が悪い」ヴィンテージというものがありません。
そういう意味で、手頃なワインでも味を安定させやすいのです。
 
 
それと比べると、ギガルのあるローヌ地方はそれなりにヴィンテージ差はあります。
しかし大量に流通させるワインが、年によって味わいが大きく変わっては、ワイン専門店以外が扱いにくいでしょう。
 
ギガルのような大規模な生産者は、地方全域からブドウを調達することと、長年培ったブレンド技術でそれを解決します
涼しい年なら暖かい畑のブドウを増やす。温かい年なら糖度が上がりやすいグルナッシュの割合を減らすなど。
畑も品種も使い分けることで目指す味わいにするのです。それが高いレベルで毎年安定している。だからこそ名門たりえるのです。
 
 

1000円台の赤ワインを選ぶポイント

 
普段の晩酌で飲む1000円台の赤ワインを、例えば6本まとめて注文するとしましょう。
あなたは次のどちらのタイプですか?
 
○飲んだことのないもので6本バラバラの銘柄を選ぶ
○お気に入りの銘柄を6本、たまに1、2本冒険してみる
 
バラバラに選ぶ方で失敗をしたくないのであれば、前半でご紹介した「~らしい」ワインを選ぶことをおすすめします
自分の好みどおりで全体としては似ているワインでも、やっぱり細かな違いがあり楽しめるでしょう。
 
同じものをリピートする方は、冒険の1、2本にはぜひ「美味しいの定義がある」ワインを選んでみてください
買い占めたくなるようなお気に入りに出会えるかもしれません。
 
予算に合わせてワインを選ぶ場合、「ブドウ品種で」とか「好きな産地は・・・」という選び方をされる方が多いでしょう。
そこにもう一つ、「~らしい」かどうかというポイントを加えてみてはいかがでしょうか。
 
 





※投稿に記載しているワインのヴィンテージ・価格は執筆時のものです。現在販売しているものと異なる場合があります。
購入の際は必ず商品ページにてご確認ください。




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