寒い時期にぴったりで、親しい仲間とつつきたくなるおしゃれ料理、チーズフォンデュ。
お店で楽しんだり、既製品のソースを買ってくるものって思っていませんか?
別に特殊な技術など必要なく、おうちでも簡単に作れちゃいます。
チーズフォンデュにピッタリの白ワインとあわせてご紹介します。
チーズフォンデュとは
チーズフォンデュはスイスを中心として、フランスのサヴォワ地方やイタリアのピエモンテ、ヴァッレ・ダオスタ州にかけてに見られる郷土料理。
ワインにチーズを溶かして、具材にそのソースを絡めて食べます。
チーズ好きにはたまらない料理のひとつで、パーティー料理としてもばっちりです。
チーズフォンデュのレシピ
私が実際につくったチーズフォンデュがこちらです。
あわせてアレンジのポイントもご紹介していきます。
材料(4~6人前)
グリュイエールチーズ(@成城石井 スイス産 599円/100g 266g)
ゴーダチーズ(@成城石井 オランダ産 479円/235g)
白ワイン(余り物)250g
コーンスターチ(片栗粉で代用)適量
にんにく 1かけ
チーズについて
理想はグリュイエールチーズとエメンタールチーズを同量ずつブレンドするのが基本です。
どちらも熟成をかけてないものの方がいいです。
エメンタールチーズの12か月熟成を使ってみたこともあるのですが、クセが強すぎて素材を覆い隠しすぎました。というか美味しくなかったです。
今回はエメンタールチーズの手ごろなのが手に入らなかったので、ゴーダチーズで代用しました。
他にもモッツァレラチーズ、マリボーチーズ、ラクレットチーズなどで代用可能です。
ただ、モッツァレラチーズは伸びはいいのですが、チーズだけで塊になりやすいのでおすすめしません。
スーパーなどで売っているシュレッドチーズ(とろけるチーズ的なもの)だとやはり物足りません。
輸入チーズは高価ですが、ここはお金をかけるべきところです。
そのほかの食材について
一方で白ワインは適当でいいです。
飲み切れないまま劣化してしまったものでもいいですし、スーパーで500円程度の料理用白ワインで十分です。
分量はチーズの総量に対して半分が基本です。
アレンジについて
チーズソースの味が物足りなければ塩を加えますが、チーズ自体に十分塩味があるので、出来上がりの具合を見てからがいいです。
こしょうやナツメグ、キルシュ(ベリー類からつくるリキュール)を加えるというアレンジもあります。
作り方
にんにくひとかけらの皮をむき、断面を鍋肌にこすりつけます。
そのにんにくをソースに入れるわけではありません。
最初このレシピを見た時は、「こんなの意味あるの?」と思ったのですが、これくらいがちょうどいいんです。
チーズフォンデュソースは、なぜかニンニクの風味がもの凄くよく現れます。小指の先ほどのひとかけらでも多すぎるんです。
かといって入れないのもやや物足りない。
にんにくオイルがあるなら、それを1,2滴垂らす程度でもいいでしょう。
鍋はテフロン鍋がおすすめです。
チーズフォンデュの専用鍋やホーロー鍋があれば理想ですが、アルミ鍋はおすすめしません。調理後の洗浄が非常に大変です。
鍋に白ワインを入れて強火にかけます。
その間にチーズを1cm角くらいで賽の目切りにします。
これをボウルに入れて、コーンスターチをまぶしておきます。
ワインに溶かしたときに分離しなようにです。
チーズは切れ味のいい包丁を使っても、結構切るのに力がいります。
こういうギザギザの刃がついたチーズナイフがあると、女性でもカットが楽です。
ワインが沸騰してきたら、香りをかいでアルコール臭さが飛んだらチーズを入れます。
あまりグツグツしすぎたり、沸騰させるまでの火が弱かったりすると、ワインが蒸発して減り出来上がりが固くなってしまいます。「飛ばしすぎたかな」と思ったら、ワインを少し継ぎ足しましょう。
チーズは3回くらいに分けて入れ、しっかり混ぜて溶かします。
木べらで混ぜているレシピが多いのですが、断然耐熱ゴムベラの方が洗浄が楽なのでおすすめです。
チーズの塊がなくなったらOK。
味見をして適宜塩を加え、固い場合は牛乳を足して、ちょうどいい感じになったらチーズソース完成です。
つける具材はなんでもお好きなものでOK!
もともとは固くなったパンを美味しく食べるための料理だという説もあるので、バケットは用意したいですね。
私はほかに塩ゆでしたブロッコリーとウインナー、オーブンで火を通したナスとマッシュルーム、一口サイズのがんもどき(!)を用意しました。
チーズフォンデュができたら、ワインを開けましょう。
マリアージュの近道
料理とワインの美味しい関係のことを「マリアージュ」と呼びます。
ぴったりのマリアージュを見つけるコツのひとつが、ワインと料理の故郷をあわせること。
郷土料理にはその土地のワインがよく合うということです。
長い年月をかけて、その土地の人がより美味しいと感じるようにワインと料理が歩み寄っていったと考えると、相性がいいのも納得です。
チーズフォンデュの故郷のワインは?
チーズフォンデュの郷、スイスのワインと言えば、代表的な品種は白ブドウのシャスラです。
しかしソムリエやワインエキスパートの勉強をしていない方にとって、あまり聞いたことのない品種でしょう。
なぜならスイスワインが出回っていないから。
やまきゅういちスイスワイン様のHPによれば、スイスワインの輸出比率はわずかに2%。
もともと生産量の少ないスイスワインが、ほとんど自国内消費されてしまうのですから、そりゃあ見かけないはずです。
スイスワインが希少なわけ
それはひとえにスイスが豊かな国だからでしょう。
一人当たりのGDPは5.4万ドルを越えます。日本の4万ドルと比べても随分高い値。
つまり人件費が高いのです。
結果として国内に十分消費するだけの市場があり、また輸出しても国際市場のなかで価格競争力を持ちえないのです。
当店もいずれスイスワインを扱いたいと考えていますが、エントリークラスで4000円台とかしてしまうので、二の足を踏んでいるところです。
シャスラの産地
スイスワインが手に入らないのであれば、他の地域に似たワインはないのでしょうか。
スイスで最も栽培されている白ブドウが先述のシャスラ。
シャスラは国境を挟んでドイツのバーデン地方で「グートエーテル」と名前を変え栽培されているほか、フランスのサヴォワ地方でも栽培されています。
その一つが今回ご紹介する「クレピィ」です。
クレピィ ラ ペルシェット 2020 ドメーヌ メルシエ
昔から大きな山や川、湖などは国境となってきました。
フランスとスイス国境にあるレ・マン湖もそのひとつ。
湖の北側はスイス、南側がフランス領です。
この湖はミネラルウォーターとして有名な「evian」の取水地であるほどきれい。
その湖畔からほど近いところにあるのが、ドメーヌ・メルシエです。
ドメーヌ・メルシエについて
レマン湖にほど近いシャン・シェル・レマンという地区にワイナリーがあります。
設立は1988年とさほど古くはないのですが、ワイナリーが所有する畑は13世紀から知られている歴史あるもの。
今回ご紹介するクレピィ・ラ・ペルシェットはシャスラ100%。すべてステンレスタンクで醸造されます。
テイスティングノート
ポイント
レモンやはっさく、熟しかけの白桃のような、非常に控えめな香り。
風味も穏やかで酸味はやや高いが丸みがあり、同じサヴォワの品種ジャケールのような突き抜ける爽やかさはない。
アルコール11.5%なだけあって口当たりは軽く、余韻も短い。
私が知る限り最も水に近いワインといっていいでしょう。(もちろんいい意味で)
実食!チーズフォンデュのマリアージュ
チーズフォンデュはまずまず味の濃い料理です。
そりゃあべったりチーズをつけて食べるのですから。
そこに味の薄い白ワインでは負けちゃうんじゃ、と思いきや。
ちゃんと味を感じます!
むしろ味が濃くなって、アミノ酸的な旨味を中盤に感じ、その後も余韻が3倍くらい長く感じます。
あれ?このワイン余韻長かったっけ?
そう思ってもう一口飲むと、ちゃんと(?)ストンと落ちるように短く消える。
チーズフォンデュだけでいいかというと、それも違う。
チーズフォンデュだけで食べた時、よっぽどべったりとチーズソースをつけない限り、後味に残るのは具材の味です。
まあそれは別に悪いわけじゃない。
しかし結構なコストがかかっているチーズソースです。
チーズの自己分解による旨味を感じたい。
チーズフォンデュが口にあるうちにワインを飲むと(口内調味)あとに残るのは素材の味よりもチーズの旨味なのです。
推測するに、ワインの酸味が乳脂肪を流し去り、旨味の元であるアミノ酸を感じやすくなるのではないかと。
ワインが美味しく感じるだけでも、料理が進むだけでもマリアージュとは言えません。
手作りチーズソースのチーズフォンデュとクレピイの関係は、まさにマリアージュと言えるでしょう。
チーズフォンデュソースは手作り必須?
先述のとおり、チーズフォンデュソースを作るのはややめんどくさいですし、コストがかかります。
300g800円くらいで市販されているチーズフォンデュソースじゃだめなの?というのが正直なところでしょう。
検証の結果、私はダメだと感じました。
ワインを飲んだ時に旨味がつづく代わりに、苦味を感じました。
ただ、これは個人差があるようです。
前職の時にアルバイトスタッフにも試してもらったのですが、結果はおよそ半々。
苦味を感じるという子もいれば、よくわからないという子もいました。
個人の食体験によるものと推測します。
当ブログでは幾度か「化学調味料や食品添加物はマリアージュの邪魔をするかもしれない」と述べております。
同時にこれは、確かなソースがないことも申し上げております。
よって『私の意見としては』せっかくワインと合わせるならチーズフォンデュソースを手作りしていただきたいと考えております。
まとめ
チーズフォンデュはシャスラを使った白ワインと合わせることで、その旨味と余韻が向上することがわかりました。
おそらく他のシャスラを使ったワインでもよく合うと推測します。
私も機会があるなら、本場スイスのシャスラと合わせてみたいです。
調べる限りはシャスラ100%で日本で手に入るワインは、こちらがほぼ最安レベル。
チーズ好きがチーズを120%楽しむためのワインとして、非常に有用であると言えます。
寒い夜、家族と友人と、なんなら一人で、チーズをフーフーしながら食べてシャスラを飲むのはいかがでしょうか。