《生産者について》
アルフレッド・グラシアンは主に購入したブドウからシャンパンをつくるNM(ネゴシアン・マニピュラン)です。しかしその味筋は、最近評価の高いRM(レコルタン・マニピュラン 自社畑のみからシャンパンをつくる)のような雰囲気を持ちます。
その大きな理由の一つが、全てのベースワインを樽で発酵させること。樽香をつけることを目的としていないので、シャブリの生産者から5年以上使った樽を購入し、メンテナンスしているといいます。発酵後に6か月間シュール・リーで熟成させますが、マロラクティック発酵はさせず、バトナージュも行いません。なので過剰なコクを感じることもなく、旨みのあるシャープな酸味をもったシャンパンが出来上がります。万人受けを狙ったありきたりの味じゃない。シャンパン好きも思わずうなります。
《2012年ヴィンテージについて》
シャンパーニュの2012年ヴィンテージは、瑞々しさと凝縮感を兼ね備えた、素晴らしい成熟度のブドウが生まれた偉大な年となりました。
歴史に残る記録的な寒気に見舞われた冬で、4月-5月中旬にかけても霜が続き、雹の被害を受けたブドウ畑もありました。しかし、7月から9月の収穫までの間は非常に暑く晴天が続いたおかげで、強烈な太陽の日差しをたっぷり浴びたブドウの収穫に成功。収量は少ないものの、しっかりと熟成したブドウからワインを造ることができました。
完璧なヴィンテージと評された2008年に匹敵するグレートヴィンテージです。
《テイスティングノート》
ビスケットなどの酵母由来の香りをしっかり感じますが、それは決して支配的ではなく、桃、洋ナシ、春の花のようなアロマもしっかり感じます。ブリオッシュやトーストの風味に交じって、ジンジャーブレッドのような刺激的なニュアンス。長期熟成しているだけありもちろん泡は細かくクリーミーなのですが、酸の質がずば抜けています。幅広く味わいを下支えするような心地よい酸味により、全体としてはフレッシュ感につつまれています。フレッシュなのに熟成の風味も感じる。その不思議を体感してみませんか。
Alfred Gratien Brut Millesime