《生産者について》
ベルンハルト・フーバー醸造所は、ドイツの南部、バーデン地方のマルターディンゲン村に居を構えています。その地がかつてピノ・ノワールの名産地であったことを知った故ベルンハルト・フーバー氏は1987年に醸造所を立ち上げ、2011年にはゴーミヨ氏で赤ワイン賞3冠に輝きました。
ベルンハルト氏の代で既にドイツの頂点に立っていたので、息子ユリアンが20代で引き継いだ時はワイナリーの行く末を心配されたものです。ところがユリアンはもっとすごい!よりピノ・ノワールとシャルドネへの注力を強め、樽熟成の風味を抑えた純粋さにあふれるつくりへとシフトしています。
《このワインについて》
醸造所のすぐ近くにあるビーネンベルクの畑からつくられるピノ・ノワール。もっとも基本と言える特級畑で、樹齢が50年以上と高いのが特徴です。
2018年は特に凶作という年ではなかったのですが、このヴィンテージ、グラン・クリュクラスのリリースは極少量です。というのも、ユリアンの選別が非常に厳しく、この畑のワインでもどんどん「アルテ・レーベン」などの中級・下級ワインに格下げしてしまうから。『たくさんつくらない』のです。それだけ「フーバーブランド」が世界で認められてきたということ。
今年から年に1回限りの入荷。それも限られた酒販店にだけ一度に出荷して輸入元完売。次回は翌年という販売法になりました。まるでブルゴーニュの人気生産者と同じ扱いです。
5年前なら年中いつでも手に入ったフーバーの特級畑。今年からは事情が違ってくると思ってください。
《片山によるテイスティングノート》
ビーネンベルクはフーバーのスタンダードとなる味わい。ゾンマーハルデとシュロスベルクを飲んで戻ってくると、それが本当によくわかります。
果実感と酸味のバランスは、まさに他の2つの中間。加えて口当たりのしなやかさ。柔らかい包容力のようなものを感じます。それでいてピュアな石灰質土壌に由来するのか、チョークのようなミネラル感。色に例えるなら朱色。はっきりしていないがゆえの温かみがあり、近づきやすさがある。そんなイメージです。
Malterdinger Bienenberg Spatburgunder Bernhard Huber