1987年の設立からわずか20年でスターダムを駆け上がった赤ワインの生産者。
2008年、ゴーミヨ誌にて最優秀醸造家賞を受賞。
日本に入って20年あまり、着々とフーバーファンが増加中。
その魅力をご紹介します。
ある古文書との出会い ピノ・ノワールの復興
現当主であるユリアン・フーバー氏の父、ベルンハルト・フーバー氏。
13世紀に書かれた1冊の古文書との出会いから、フーバー醸造所の歴史は始まります。
フーバー醸造所のあるマルターディンゲン村。
フランスから布教に来たシトー派の修道士が、この地にピノ・ノワールを持ち込んだとの記載があったのです。
彼らは700年も前から、この地が故郷ブルゴーニュの風土と酷似していることを見抜いていたのです。
マルターディンガーは、ピノ・ノワール(ドイツ名:シュペートブルグンダー)の約束された土地だったのです。
1987年、ベルンハルト氏は所属していた協同組合を脱退し、独立します。
ピノ・ノワールの栽培に命を懸ける彼に、当時甘口ワイン全盛期であったまわりの反応は冷ややかなものでした。
フーバー醸造所 輝かしい受賞歴
ドイツで最も権威あるワイン誌は「ゴーミヨ」誌です。
ゴーミヨはワイナリーを5段階(ブドウの房の数で5つ房が最高)で評価しています。
日本にフーバーが入ってきた当初、フーバー醸造所は1つ房評価でした。
輸入元の社長も、当時どうしてフーバーが目に留まって訪ねようと決意したのか、わからないと首をかしげます。
ところがスタート当初からピノ・ノワールやシャルドネといったブルゴーニュ品種で多くの賞を受賞。
1990年の「VINUM」誌を皮切りに、2002年は「ニューズウィーク」誌で紹介などなど。
2008年はゴーミヨ誌にて最優秀醸造家賞を受賞。
同時にゴーミヨ評価は、バーデン地方で唯一の5つ房に昇格しました。
2013年にはゴーミヨ誌にて2010年のヴィルデンシュタインが
「最優秀赤ワイン」
「10年後に飲んで美味しい赤ワイン」
「コストパフォーマンスに優れた赤ワイン」
前代未聞の3冠を達成しました。
安定して美味しいフーバー その秘訣は栽培チーム
フーバーのワインは、どんなヴィンテージ、どのワインでも美味しい。
フーバーファンが増え続ける理由の一つは、その安定感です。
ゲルマン魂を発揮する栽培チーム。
その安定感の陰には、彼らの完璧な仕事があります。
ピノ・ノワールを栽培するに際し、ブドウの房を半分ほどにカットして、小さな房に栄養を凝縮させます。
1本の樹になる房の数は6、1房当たり70g、合計420gになるように。とてつもない手間をかけて収量制限することで、凝縮した味わいのワインになります。
収穫の際、「悪夢のようなヴィンテージだよ」と言いながらも、完璧なブドウだけを醸造所に持ち込む。
フーバーブランドは彼らの畑仕事によって支えられています。
若き現当主
ユリアン・フーバー氏
2014年にベルンハルト・フーバー氏が亡くなってからは、息子のユリアン・フーバー氏が陣頭指揮をとっています。
父の志を受け継ぎ、ピノ・ノワールとシャルドネといったブルゴーニュ品種へ一層注力。
リースリングやミュラートゥルガウといったドイツ品種は減らす・取りやめて、ブルゴーニュに真っ向勝負できるワインをつくりつづけています。
近年ブドウをより優しく圧搾するべく、旧式のプレスを導入。
ワインの味わいがよりピュアになったと評判です。
3つの特級畑と最上級の区画
本拠地マルターディンゲン村のビーネンベルクを始めとして、3つの特級畑を所有しています。
ゲルマン魂を発揮する栽培チーム。
その安定感の陰には、彼らの完璧な仕事があります。
3か所の畑はVDP(ドイツ・プレディカーツワイン生産者協会)が定めるところのグローセ・ラーゲ(特級畑)です。
ビーネンベルク:マルターディンゲン村
フーバーの本拠地であり、15haの畑を所有。うち10ha余りが特級区画。
畑の名前の由来は「蜂の丘」であり、日当たりが良くいろいろな花が咲くので、養蜂が盛んだったことから。
他の畑に比べて樹齢が高く、複雑で優しいワインが出来上がります。
ゾンマーハルデ:ボンバッハ村
この畑の北東には、シュヴァルツヴァルト(黒い森)が広がります。
標高が高く、森から流れてくる冷たい風の影響を受けて、3つの畑の中で一番生育期間が長くなります。
そのため香り高く、酸と果実味のバランスが素晴らしいワインが生まれます。
シュロスベルク:ヘックリンゲン村
シュロスベルク(城山)の名の通り、城跡を仰ぎ見る急斜面の畑。
表土が薄く水はけも良いため、ブドウの粒は小さくなります。
石灰質土壌の影響を反映して、硬質なミネラルを感じる果実味とタンニン豊かなワインとなります。
ヴィルデンシュタイン
ビーネンベルクの畑にある最上級区画。まだ特級区画として認められていないため、現在申請中です。
こここそが、13世紀シトー派の修道士たちが、「ブルゴーニュにあるミュジニーの畑にそっくりだ!」とブドウ栽培を始めた土地だと言われています。
南西向きの日当たりのいい斜面にあり、複雑で壮大、長命なワインに仕上がります。
数多のワインラヴァ―の心を掴んで離さないフーバーのワインを、ぜひご賞味あれ。