《テイスティングノート》
カヴァにありがちな柑橘系フルーツや花の香りを抑えて、最初に出てくる香りがバナナ。それも中身というよりはシュガースポットのできた皮の香りです。
嫌いな人もいる類のものですが、さすがに実物ほど強烈ではないです。香りが理由で避ける必要はありません。
瓶内二次発酵の製法による細かな泡感は、シャルマ方式などのものとはやはりクリーミーさが違います。辛口の範囲内でやや甘味を感じる果実味はつややか。その滑らかさは1000円台前半の価格に見合わぬものです。
あらゆるワインが値上がりしていっている現在。まだ新入荷ゆえに知れ渡っていないこのカバも、遠からず広くレストランで採用されていくことは間違いなし。今のうちに味を知っておいて損はありません。
《生産者について》
トレ・オリアは地域で最も歴史あるワイナリーの一つ。1897年にワイナリーとして創業して以来120年を超えます。特に2012年から急成長しており、2022年までの10年間で売り上げは10倍になったそうです。その原動力はずばり「消費者が飲みたいと思うワインをつくること」。それを目指してトレ・オリアは小さな変化の積み重ねが大きな結果を生むと信じ「KAIZEN」を哲学としているといいます。
この価格を実現するためには、なかなか丁寧なブドウ栽培などできません。にもかかわらずこの品質の高さは、単に醸造の技術が高いだけでなく、ワインづくりのあらゆる工程で改善を積み重ねてきた結果でしょう。
Torre Oria Cava Brut