《レッツィーナとは》
4000年前から栽培されているというサヴァティアノ種には、伝統のワインがあります。
ガラス瓶とコルクが一般的になるはるか前、オーク樽よりも前の時代には、ワインはアンフォラと呼ばれる土器に入れて保管されていました。密閉度を上げてワインを長持ちさせるべく、口と蓋の間に松脂を塗ったそうです。その松脂がわずかにワインに混ざり、独特な風味を持ったワインが生まれました。これが首都アテネのあるアッティカ地方の特産であるレッツィーナと呼ばれるワインです。
この松脂が混ざったサヴァティアノ種の風味を説明するのは難しいのですが、薬っぽさとミントのようなグリーンハーブが近いでしょうか。少しだけウイスキーのピート香に似ているかもしれません。結構クセのある風味で、ハマる人にはハマるというものです。
現代的なレッツィーナはティーバックのようなものに入れてワインに漬けるそうです。このワインはその松脂をほんの少しだけ加えたもの。「プティ・レッツィーナ」とでも言いましょうか。この生産者がつくるレッツィーナほどのクセはなく、「香りが少し変わった白ワイン」として楽しめます。
《テイスティングノート》
アプリコットやジンジャー、ローズマリーのような香りに、ほのかな松脂由来の薬っぽさ。香りは変わっていますが、果実味や酸味はそれほど突飛なものではなく、スッキリとした余韻です。
あえて近いものを上げるならフランス/ジュラ地方のサヴァニャンでつくる白ワインでしょうか。
《生産者について》
アオトン・ワイナリーがあるのはアテネ近郊のパイアニア村。現在はアテネ農業学校を卒業したギニス・ソティリス氏が当主をつとめます。
乾燥した海風が吹く恵まれた地中海性気候を活かし、オーガニックでの栽培を実践しています。
Aoton Winery Savatiano