《このワインについて》
このワインの大きな特徴は2つ。高い樹齢と製法です。
ワイン名に書かれている「1945」とはブドウの樹の植樹年。一般に樹齢は高いほどワインの品質が高くなると言われます。樹齢およそ80年はかなり高いほうであり、ましてトロンテスという品種でこれほどの樹齢というのはかなり希少でしょう。カファジャテの乾燥して病気の少ない環境がそれを助けたと考えられます。
続いて製法。アルコール発酵のうち最初の1/3くらいまでは、ブドウの房ごとタンクに入れて行います。これはオレンジワインと同じ手法です。発酵の途中でプレスしてジュースを分離し、白ワインと同様ジュースのみで発酵を完了させます。その際も卵型のコンクリートタンクを使うので、ワインが自然と循環し澱(おり)との接触が増えます。そのためワインの味わいにコクが増します。
トロンテスはアロマティックな香りを持つ品種特性の強い品種ですが、この品種とは思えないちょっと不思議な風味に仕上がっています。
《生産者について》
ボデガス・エル・エステコはアルゼンチンの北部、カルチャキ・ヴァレーを本拠地とする大規模な生産者。カルチャキ・ヴァレーは緯度が低く日照は強いものの、標高が高いために程よく冷涼。特に昼夜の寒暖差があることで、ブドウは十分な酸味を蓄えます。
雨がほとんど降らない乾燥した環境であるため、アンデス山脈の雪解け水を利用した灌漑を行っています。そのためヴィンテージ差がかなり少なく、病気のリスクもほとんどありません。それゆえ安く安定した美味しさのワインを提供してくれます。
《テイスティングノート》
みかんの皮やジャスミン、白い花などの複雑で繊細な香り。マスカットのようなフルーツの香りと、酵母のようなニュアンスも感じます。
ジューシーなかんきつ系の果実味と適度な酸味。しっかり舌の上に味わいが乗っかるようなグリップ感があり、余韻にほのかなタンニンが残ります。
変わった製法により、オレンジワインのような風味をちょっとだけ備えた、不思議な風味の白ワインです。
Old Vines Torrontes El Esteco