F.X.ピヒラーはヴァッハウのみならずオーストリアでNo.1といってもいい評価を受ける生産者。1928年に3haからスタートした畑は、いまや20haまで拡大しています。この地らしいテラス状の急斜面の畑で、グリューナー・フェルトリーナー、リースリング、それから少量のソーヴィニヨン・ブランを栽培しています。
ワインの味わいの傾向としては、ふくよかでボリューミーで力強いといったもの。同地域で同じく評価の高いプラーガーと比べると、硬さや厳しさはあまりなくて、早くに開くのが特徴です。一時期はアルコール度数が高く酸味がひくくなりすぎる傾向にあったそうですが、今はしっかり修正してきていて、ふくよかな味わいでありながら上品な酸味が支えています。
ヴァッハウ独自のアルコール度数による格付けに反対し、協会を脱退してしまいました。「フェーダーシュピール」や「スマラクト」などの表記がないのはそのためです。
【パーカーポイント95+点】
[ワインアドヴォケイト誌 2022年12月のレビュー]
2021年のこのワインは、深く澄んだ、複雑でありながら洗練された爽やかな、驚くほど涼しげでハーブのような「森」のブーケと濡れた石や砕いた緑の葉のニュアンスがある。果実のアロマは、この早い段階では、黄色いストーンフルーツではなく、濃い森のベリー(カシス)だ。味わいは、フルボディでありながら、驚くほどピュアでフレッシュ、結晶のような塩味と非常にエレガントなケラーベルクで、実質的でよく効いたパワーと塩味とフェノールの緊張感の余韻がある。このワインは、大きくボリュームがあるわけではなく、むしろ無駄のない、エレガントで洗練された、しかししっかりと織り込まれた非常に余韻の長いワインであり、長い瓶熟成によってさらに多くの風味の層が開いていくだろう。
[Stephan Reinhardtによる試飲 飲み頃予想2027-2055年]
Durnsteiner Kellerberg Gruner Veltliner F.X.Pichler