《銘醸地ヴァッハウとウィーン》
グリューナー・フェルトリーナー(GV)はオーストリアを代表する白ブドウとして"位置付けられて"います。当然この首都ウィーン周辺にも多くの畑があります。
しかしグリューナー・フェルトリーナーの銘醸地としては、誰もがウィーンではなくヴァッハウを挙げるでしょう。実際、このワインもヴァッハウの高級ワインと比べるなら、いろいろな点で劣ります。ただし、3000円という価格で比較するなら、それは優劣ではなく個性の違い。その違いを一言で表すなら、「ウィーンのGVの方がフレンドリー」です。
ヴァッハウはウィーンより冷涼なため、ブドウを完熟させるべく急斜面にテラス式の畑を拓き、効率的に日照を得られるようにしています。ゆえにしっかり果実の熟度がありつつ、洗練された酸味を備えて、力強くスケール感のあるGVが出来ます。しかしそのスケール感は、「気軽に飲めるフレンドリーなワイン」とは相反するものです。
それに対してウィーンでは急斜面に植えられているわけではありません。だからなのか、「スッキリとした白ワインなんだけど、リースリングのようなシャープさはない」という中途半端な味わい。でもその中途半端は「バランスがいい」ということもできます。柔らかい酸味と口当たりが、親しみやすさをもたらしてくれるのです。
《生産者について》
2013年に認められた「ゲミシュター・サッツDAC」の原産地呼称。その制定に尽力したのが、当主フリッツ・ヴィーニンガー氏です。
カリフォルニアなどで修行をつんで、「ミスター・シャルドネ」と呼ばれるほどシャルドネ&ピノ・ノワールにおいて実績を残して帰郷。先代から譲り受けた畑も当初は植え替えるつもりだったそうですが、「せっかくブドウがもうすぐ穫れるなら」と仕込んだゲミシュター・サッツ(混植混醸でつくるワイン)に感動。伝統あるこのウィーンならではのワインを、多くの人に知ってもらおうと、精力的な活動をしています。
Wiener Gruner Veltliner Wieninger