《ナーエについて》
ドイツに13ある生産地域の中でもナーエは小さい方。にも関わらず愛好家を惹きつける産地であり続けるのは、土壌の多様性ゆえです。
他の産地はある程度地域ごとに典型的な土壌の種類があるのに対し、ナーエは火山岩や斑岩、スレート、ローム、砂など様々な土壌が複雑に入り組んでいます。自分好みのリースリングを選ぶとなるとなかなか難易度の高い産地ではありますが、同じ生産者の畑違いを楽しむという点では最も面白い産地であるとも言えます。
《生産者について》
そのナーエにおいて1800年代からワインをつくり続けているのが、このデーンホーフ。まぎれもなくナーエのトップ生産者で、WINEREPORTの山本昭彦さんは「ドイツ全体でも5指に入る」と語ります。
ブルゴーニュのように畑ごとに醸造し個性的なワインをつくるのは、今では珍しくなくなりました。しかしデーンホーフはそれを約100年前の1920年代に始めたのです。それだけ畑毎にワインの味わいが違うことを、はるか昔からしっかり知っていたのです。
VDP(ドイツ高級ワイン生産者連盟)が認定するグローセ・ラーゼ(特級畑)を9つも所有し、非常に緊張感のある卓越した白ワインをつくっています。
《このワインについて》
このリースリングは、火山土壌や斑岩、黒ひん岩、それにスレートや珪岩といった様々な土壌の畑からブドウをブレンドしてつくります。一つの土壌の味が突出していないからこそ、「ナーエのリースリング」の味が表現できているというもの。
火打石のような奥行きのあるドライな香り。アルコール度数は抑えめで、細身ながらもファルツの石灰質系リースリングよりはグリップ感があります。酸味は高いものの滑らかで、ラインガウのものよりは一段丸い印象です。
Donnhoff Nahe Riesling