《生産者について》
アルフレッド・グラシアンは主に購入したブドウからシャンパンをつくるNM(ネゴシアン・マニピュラン)です。しかしその味筋は、最近評価の高いRM(レコルタン・マニピュラン 自社畑のみからシャンパンをつくる)のような雰囲気を持ちます。
その大きな理由の一つが、全てのベースワインを樽で発酵させること。樽香をつけることを目的としていないので、シャブリの生産者から5年以上使った樽を購入し、メンテナンスしているといいます。発酵後に6か月間シュール・リーで熟成させますが、マロラクティック発酵はさせず、バトナージュも行いません。なので過剰なコクを感じることもなく、旨みのあるシャープな酸味をもったシャンパンが出来上がります。万人受けを狙ったありきたりの味じゃない。シャンパン好きも思わずうなります。
《このワインについて》
何を飲んでも美味しい。2008年のシャンパーニュはそれほど完璧なヴィンテージです。アルフレッド・グラシアンがつくるものも、当然ながら格別。欠点のない均整の取れた姿、そんなイメージを受けます。
他のキュヴェと同じく旧樽熟成したベースワインを瓶内2次発酵96~108か月の長期熟成。焼き菓子のような香りにその効果が現れています。
《テイスティングノート》
ビスケットなどの酵母由来の香りをしっかり感じますが、それは決して支配的ではなく、桃、洋ナシ、春の花のようなアロマもしっかり感じます。ブリオッシュやトーストの風味に交じって、ジンジャーブレッドのような刺激的なニュアンス。長期熟成しているだけありもちろん泡は細かくクリーミーなのですが、酸の質がずば抜けています。幅広く味わいを下支えするような心地よい酸味により、全体としてはフレッシュ感につつまれています。フレッシュなのに熟成の風味も感じる。その不思議を体感してみませんか。
Alfred Gratien Brut Millesime