2020年の2月、南アフリカのワイナリーをめぐるツアーに参加した際に、スワートランドで初めてお会いした佐藤圭史さん。日々の農作業で荒れた彼の手を見て、「彼がつくるワインが飲みたいな」そう感じたものです。今回、ようやくご紹介することができます。
《生産者について》
南アフリカ、スワートランドの著名生産者であるバーデンホースト。そこで働きながら自らのワインをつくるのが、佐藤圭史さんです。
もともとはオレゴンワインからこの世界に没頭し、サラリーマンをした後、ワインバーを開業。その後南アフリカワインに衝撃を受けて、ワインをつくる側に回ります。バーデンホーストのアディと親交を深め、彼のワイナリーを手伝いながら、2017年に自らのワインをつくり始めました。
ワインの名前「Cage」は、留学時代の圭史さんの相性であるとともに、「C=Cape」「A=Adi」「G=Greeting」「E=Earth」という意味も込められています。南アフリカで出会った人々と大地への感謝の名前なのです。
《このワインについて》
2021年が初ヴィンテージとなる、ワインを発酵中に瓶詰めして泡を閉じ込めるペティアン・ナチュレル。
エチケットの「373」という数字には、3=「3つの品種」、7=「僕にとって大切な7人」、3=「3つめのキュヴェ」という意味が込められています。
シュナン・ブラン、セミヨン、クレレット・ブランシュを別々に手摘み収穫し、それぞれ開放式タンクで発酵をスタート。3日目に全てをブレンドして発酵を続け、8日目に瓶詰します。その後も発酵を続けるので、泡感の穏やかなスパークリングワインとなり、澱が残ります。
スワートランドの寒暖差があり乾燥した大地を思わせるような、透明感のある上品な香り。ワインは極めて健全で、瓶の上の方では研ぎ澄まされたようなキレのいい味わいを強く感じます。きっと澱の混ざるボトルの底の方になると、また違った旨みがあるのでしょう。
Cage Petillant Naturel