《マロラクティック発酵とは》
大半のワインは醸造においてマロラクティック発酵の工程があります。
酵母によってブドウの糖分をアルコールに変える反応のあとに続けて、リンゴ酸を乳酸に変える発酵。それがマロラクティック発酵です。
リンゴ酸の強く鋭い酸味が少し穏やかになり、ワインの味に奥行きが生まれるといいます。
赤ワインならほぼ100%。シャンパンでもたいていのものはマロラクティック発酵を行っています。
そのなかでダヴィド・クートラはあえてマロラクティック発酵を行わない生産者です。
《出来上がるワインは?》
まるでフレッシュなリンゴをまるかじりするようなはつらつとした風味が、マロラクティック発酵なしでつくるシャンパンの特徴です。
飲むと気分が明るくなるようなワインです。
地球温暖化により、シャンパンでも酸の低下が危惧されます。その対策として、マロラクティック発酵なしの醸造は若干ながら増えているようです。
《生産者について》
エペルネ近郊のヴィレ・スー・シャティヨンという地にて、1813年からつづく歴史ある生産者です。
現当主のダヴィド・クートラは、同じレコルタン・マニピュラン(RM)のエグリ・ウーリエやアグラ・パールなどとも交流があるのだとか。ともに「昔の本来のシャンパンづくりを取り戻すこと」を目指しています。
《畑・栽培法について》
ブジー、アンボネイ、アヴィズなどに7.5haの畑を所有しており、栽培法はビオに移行中です。
下草としてクローバーをぎっしりはやすことで、他の雑草が生えないようにしています。
《醸造について》
5-20年使用したブルゴーニュのオーク樽で発酵を行います。これはワインに適度な酸素を取り込むことを目的としており、シャンパーニュ地方の冬の寒気を利用して自然な形でワインを安定させます。
搾ったブドウ果汁はいいところのみを使い、雑味が出やすい部分はモエ・エ・シャンドンやポメリーに売却しているといいます。
《このワインについて》
スタンダードクラスながら、ダヴィド・クートラの哲学が詰まったこだわりのキュベ。
ピノ・ムニエをベースにピノ・ノワール、シャルドネをブレンドし、60か月の瓶内2次発酵。ドサージュ8g/L。
David Coutelas Cuvee Tradition