《このワインについて》
ピノ・ノワールから果汁の色を付けずにつくる白ワイン、いわゆる「ブラン・ド・ノワール」です。純粋にこの製法で美味しいワインができるからだけでなく、赤ワインの品質にも影響しています。
雨が多いなどで水分供給が多い年は、ブドウの粒が大きくなる傾向があります。それで果汁が薄まって品質が落ちるというのは、セントラル・オタゴではあまり心配しなくていいでしょう。しかし果汁に対して果皮の割合が落ちるというのは、赤ワインの品質面でマイナスです。
そこで赤ワインの醸造の初期、まだ果汁に色がついていない段階でちょっとだけ果汁を抜き取り、スキンコンタクトなしのフリーランジュースでつくったのがこの「ヴァングリ」なのです。
上記のように果粒が大きな年にしか必要ないので、毎年つくられるわけではありません。また果皮と果汁の割合を微調整するだけなので、そう多くの量もつくれません。結果としてフェルトンロードの中でもかなり希少なワインです。
《テイスティングノート》
黒ブドウからつくられるので、白ワインなのにラズベリーのような赤いフルーツの香り。そこにアーモンドのようなニュアンスも加わります。まったりと滑らかな口当たりで、驚くほど複雑。しっかり長い余韻を持ちます。
《生産者について》
1997年にピノ・ノワールをリリースするなり世界中を驚かせ、「セントラル・オタゴ」という地区を世界に知らしめたフェルトン・ロード。
早期よりバイオダイナミック農法、重力に配慮した醸造所設計、天然酵母による発酵、人的介入を最小限に抑える手法などを導入。今日のセントラル・オタゴのピノ・ノワールの基本ともいえるスタイルを築き上げた生産者です。
Felton Road Vin Gris