《それぞれのいいところを合体》
かつてヨーロッパからワインづくりが伝わった際、南北アメリカ大陸や南アフリカ、オセアニアなどではブドウの栽培条件がいいところが産地に選ばれました。乾季と雨季がはっきりしており、生育期の日照が豊かでブドウがよく熟す土地。それもあってニューワールドのワインは、よく熟したフルーツの風味を持つ明るい印象を持つものが多いです。そして同じ価格で比較したとき、凝縮度でヨーロッパのワインに勝る場合が多いです。
一方でヨーロッパのワインが勝るところもたくさんあります。ボルドーワインにおいては醸造技術がその一つでしょう。
ブルガリアの安い人件費とボルドーのノウハウが融合したとき、フィナンシャル・タイムズ誌が「欧州におけるチリのような役割を果たすだろう」と評するワインが誕生しました。
《生産者について》
2001年にこのベッサ・ヴァレー・ワイナリーと265haの土地を購入したのは、フランス人のステファン・フォン・ナイペルグ伯爵。名門ハプスブルク家の末裔です。サン・テミリオンのラ・モンドットやカノン・ラ・ガフリエールを購入後、短期間でそのワインの品質を世界最高レベルに引き上げた功績で知られます。
2009年時点の話では、「ブルガリアで掛る人件費はボルドーの1/10なので、その分、醸造設備等にも力を入れられる」とのこと。ボルドーの醸造技術を持ってリーズナブルなワインをつくる「エニーラ」が安くておいしいのは、これが理由です。
樽熟成の風味と口当たりがしっかりとワインに現れているのが特徴の一つ。シルクのようにしっとりなめらかで厚みのある舌ざわりが共通しています。
《テイスティングノート》
アメリカンチェリーやブラックベリーのようなよく熟したフルーツの香りに、チョコレートやココアのような香ばしさ。エキス分の濃厚さを舌で感じるような緻密な果実味。よくこなれた丸みのあるタンニンと適度な酸味が高いレベルで調和しています。
昔に比べ値上がりしているとはいえ、今なお旨安ワインの先頭を走るような「エニーラ」ブランドの主力商品です。
Enira Bessa Valley Winery