初めてワインセラーを買うなら、失敗したくなくて慎重になるもの。
まずはセラーにワインを保管する目的を整理して、ご自身のワインの楽しみ方に当てはめることが大切です。
なるべく手ごろなもので済ませつつ、後悔のないお買い物をするために。
購入前に考えるべきポイントと選び方のコツをご紹介します。
※当店ではワインセラーの取り扱いがないため、今回は他社のリンクをご紹介しております。商品に関する問い合わせにはお答えできません。
※詳しい機種比較をするわけではないので、2台目3台目を検討の方には必要ない内容です。
そもそもワインセラーってなに?
ワインセラーとはワインの収納庫のこと。
一般家庭で考えるなら、ワイン専用の冷蔵庫のことです。
ワインショップでも扱っていることがありますが、家電量販店の方が品ぞろえ豊かです。
例えば家の地下室をまるごとワインの収納庫にしているなら、そこを「ワインセラー」と呼ぶこともあるでしょう。
まあそんなものがあるのはヨーロッパの豪邸や映画の世界のなかくらいじゃないかと。
ちなみにワイナリーにあるような巨大な地下の保管庫は「カーヴ(洞窟の意味)」と呼ばれることもあります。
大事なのはワインを一定の温度で保つことです。
ワインセラーの目的は3つ
あまり意識されることはありませんが、ワインセラーにワインを保管する目的は3つあります。
1.ワインの品質保持
2.ワインを飲み頃温度に保つ
3.ワインの熟成
この目的を理解し、自分のワインの楽しみ方に当てはめることが、ワインセラー選びに非常に重要です。
詳しくご説明します。
ワインの品質保持
ワインは温度にデリケートな飲み物です。
夏場など、室温が30度近くになるような環境で長時間放置すると風味が悪い方に変わってしまいます。
ブルゴーニュワインや古酒、手ごろな白ワインなど繊細なものは、25℃くらいから危ないと思った方がいいでしょう。
これをワインの熱劣化と言います。
具体的には、ワインからシェリーのような臭いや酸化したニュアンスを感じたり、果実味が減退するなどです。
この熱劣化に関しては、輸入元のフィラディス様が実験されていますので、あわせてご覧ください。
ワインセラーの目的の一つは、この熱劣化でワインをだめにしないよう低温に保つことです。
ワインを飲み頃温度に保つ
「なら冷蔵庫に入れておけばいいじゃないの?」と思われるかもしれません。
あながち不可ではありませんが、別の問題が生じます。
冷蔵庫の中は赤ワインが美味しい温度には低すぎるのです。
冷蔵庫でよく冷えたワインは5~7℃ほど。
濃いめのワインが美味しい15℃前後に上がるまでは、時間がかかります。
ワインセラーは7~18℃などで温度が自由に設定できます。
(※機種によります)
保管していたワインを出してすぐ美味しく飲めるのです。
この点に関していえば、白ワインやスパークリングワインは冷蔵庫で構わないということになります。
※ワインの冷蔵庫補完に関しては後ほど
ワインを熟成させる
何十年も前のヴィンテージワインが高額で取引されるのをご存知のことでしょう。
それは単純に数が少なくなり希少価値が上がるからだけではなく、熟成によってワインが美味しくなるから。
(※一部のワインに限り起こる変化です。詳しくはここでは触れません)
熟成はほぼ一定温度で行う必要があります。
そうでないとそのワインに起きるのは、単なる『劣化』です。
たまに「娘のバースデーヴィンテージのワインを寝かせるんだ」という方がいます。
ワインセラーなしでは意味がありません。ワインより先にセラーを購入しましょう。
でないと二十歳になったとたんワインが嫌いになってしまうかもしれません。
目的をはっきりさせる
上記のうち品質保持・温度管理だけでいいのか、熟成まで考えるのか。
それによりワインセラー選びが変ってきます。
ワインを熟成させるということは、5年10年先に楽しむために、今お金を払っておくということ。
自分がそんな飲み方をできるか、考えてみましょう。
別にワインセラーは1台しか持てない決まりはありません。
「今は割とすぐ飲むワインばかり買ってるから」というなら、別に後から買い足したらいいのです。
ワインセラーの冷却構造に2タイプ
ワインセラーの冷却方法は2タイプあり、それぞれメリット・デメリットがあります。
コンプレッサー方式とペルチェ方式です。
※他にも実はあるのですが、あまり流通していません。
コンプレッサー方式
冷蔵庫と同じ冷却方法です。
違いは細かく温度設定できることくらい。
ペルチェ方式より高価になりますが、冷却パワーがあるので中級クラス以上のワインセラーはほぼコンプレッサー式です。
ペルチェ方式
ペルチェ素子というものを使って電気で温度差をつくり、冷却する方法です。
コンプレッサー方式と比べると安価で、振動が少ないというメリットがあります。
この注意点は冷却性能の限界です。
たいていのものが「外気温マイナス15℃」と表記されています。
室温が30度なら、15℃までしか冷やせない。
白ワインを冷やす用に8℃設定などはできない、と言うことです。
熟成目的ならコンプレッサー式を
ペルチェ方式だと、日本の夏場はどうしても冷却性能がネックになります。
15℃設定していたとしても、昼と夜で3℃程度の違いは出てくるでしょう。
かといって日中外出中も冷房かけっぱなしは現実的ではないでしょうし。
3年、5年程度の保管ならペルチェ方式でもいいでしょう。
しかし10年以上腰を据えて熟成させるつもりがあるなら、そんな大事なワインを入れるなら、コンプレッサー式の方が信頼が置けます。
冷やすだけでなく温める
また、コンプレッサー方式のものの多くには、加温機能がついています。
これは冬場に設定温度以下になったときのためです。
熟成目的の場合や、冬場に家の中が冷え込む寒冷地にお住いの方などは、加温機能の付いたものを選ぶといいでしょう。
ワインセラーの収納本数
ワインセラーの容量は本当に様々で、6本程度の小さなものから180本入りの巨大なものまで市販されています。
どれくらいあれば足りるのでしょうか。
どれだけあっても足りません!
ワインセラーを購入すると、ワインをしまうのが楽しくて、ついつい買いあさってしまいます。
そしてワインセラーがパンパンになっているのを眺めて安心するのです。
セラーに隙間ができるとソワソワして、何を買おうか考えてしまうものなのです。
ワインセラーがいっぱいになって、数本溢れて冷蔵庫に入れる状態に落ち着きます。
何本入りを買うかはあまり問題ではありません。
予算と設置場所で決めて頂いて結構です。
ワインのボトル形状にも注意
ワインセラーの収納本数を考える際に注意すべきが、自分がどこのワインが好きかということです。
というのもワインのボトル形状はいろいろあるからです。
収納本数の考え方
ボルドーやイタリア好きならあまり問題ありません。
ワインセラーの「〇本収納可能」は、ボルドー型の細くて背の高くないボトルを基準に考えられています。
この産地好きは気を付けて
スパークリングワインはご存知のように太いボトルが多いです。
ブルゴーニュ型のボトルですら、ちょっと太いので規定の本数は入りません。
特に注意すべきがドイツワイン好きの方。
ワインセラーの奥行きがあまりなく1本分だけ並ぶセラーに、次のワインのような背の高いボトルを入れると扉が閉まりません。
冷蔵庫行きです。
アルザスやオーストリアにも背の高いものがあります。
熟成能力は抜群なのに、「邪魔だからそろそろ飲んじゃおうか」ということになります。
いろいろなワインボトルのサイズをこちらに一覧として記載しておりますので、良ければご覧ください。
商品画像をよく見て購入を
非常にコストパフォーマンスもよく、日本製なので信頼も置けます。
知人も使っていて、勧められたこともありました。
しかし商品画像をよく見て頂くと、コノスルのヴァラエタルシリーズを入れて奥行きぴったりくらい。
高さは余裕があるのでよほど太いスパークリングワインボトルでもない限り入るでしょうが、高さは要注意です。
マグナムボトルのワインを時々購入される方は、大型のセラーを使うべきでしょうね。
まとめ 飲み方別のおすすめセラー
以上の考察から導かれる、1台目としておすすめのワインセラーはどんなものでしょうか。
ワインセラーの要らない方
いきなり逆説的ですが、ワインセラーが必要ない方もいます。
まず赤ワインは飲まない。
ワインはこまめに購入して、割とすぐ飲む。
(頻繁にネット通販を利用する方や、家の近くにワインショップのある方)
そういう場合はワインは冷蔵庫保管で十分。
わざわざワインセラーを購入する必要はないでしょう。
ペルチェ方式の手ごろなセラーがおすすめ
ワイン初心者の方は、基本的にはこれでいいと思っています。
具体的には、ワインは赤白泡いろいろ飲む。
買ったワインは長くとも3年以内に飲む。
割と頻繁にワインを購入する。
そんな方には約2万円と手ごろで18本入りとまずます入るこのワインセラー。
背の高いボトルは入らないので、冷蔵庫へ。
加温機能はないので、冬場の赤ワインは手で温めながら飲む。
ちょっとの不便を我慢すれば、十分実用に耐えます。
コンプレッサー式でロングボトルも収納可能
コンプレッサー式になるとやはり価格は倍以上になります。
しかしリースリングボトルも収納可能で、温度管理も信頼がおけます。
いろいろなタイプのワインを飲む。
ワインは送料がお得になるように12本くらいをまとめて注文する。
手ごろですぐ飲むもの中心だが、数本とっておきのワインがある。
そんな方におすすめです。
ワインを熟成させたい!そして人を呼んで見せびらかしたい!
通常のワインセラーはワインを縦に寝かせて入れます。
だから扉を開けてもキャップシールか底しか見えません。
自分がワインを探しにくくなるというのも少しありますが、何が入ってるか来客の人にわかってもらえない!
そんな自慢したがりな人のためのワインセラーがこちら。
ワインを横向きに並べるので、エチケットが見えます。
「お!〇〇持ってるんだ」と気付いてもらえます。
頻繁に友人を招いてワイン会をするような人は、このセラーで鼻高々でしょう。
ワインの冷蔵庫保管について
「ワインの熱劣化が心配なら、冷蔵庫い入れておけばいいじゃん」と思われるかもしれません。
実際のところははたしてどうなのでしょうか。
冷蔵庫内で劣化する原因
もし冷蔵庫内でワインが劣化するとしたら、つぎの3つの原因が考えられます。
- 低温
- 振動
- 乾燥
低温
通常ワインセラーでの保管温度は12~15℃くらいに設定します。
しかし冷蔵庫に入れておくと、3~5℃くらいで保管されることになります。
しかしこれくらいの低温で保管したときに味が劣化すると言う人もいますが、ある程度は問題ないという意見が大半です。
とはいえ冷気の吹き出し口に置いて凍結するのはもちろん厳禁です。
振動
ワインは振動にも弱い飲み物だと言われています。
実際、3か月船に揺られて輸入されてきたばかりのワインは、あまり美味しくないことが多いです。
なのでコンプレッサーやファンの振動がある機械的なワインセラーよりも、生産国にあるような地下の洞窟の方がよりいいと言われています。
絶えず動いているわけでないコンプレッサーが、そこまで影響を与えるか、私は疑問です。
乾燥
これが一番の問題でして、冷蔵庫は乾燥します。
乾燥するとコルクが縮んでしまいます。
するとコルクによる密閉が不完全になり、空気が入ってワインが酸化してしまうことがあります。
ワインを寝かせて、コルクがワインに触れるようにして保管すればまだましですが、それでも長期保管には向かないと言えるでしょう。
この点に関していえば、ワインがコルクでなくスクリューキャップなら問題ありません。
実際はどうなの?
これに関してもフィラディスさまが実験されています。
冷蔵庫での1週間、および3か月の保管でワインが変化するかどうか。
結果だけかいつまんでご紹介すると、「3か月では変化はするけど、劣化とは必ずしも言えない」
つまり冷蔵庫保管は、ワインセラーを持ってない方やワインセラー故障時などに十分つかえるということです。
ワインを楽しむならワインセラーは必須
ここまで説明した通り、ワインセラーが必要ない方はかなり限定的です。ワインを楽しむうえでほぼ必須といっていいでしょう。
しかしやたら高価なものはいきなりは必要なく、まずは最低限の機能を備えた手ごろなもので、というのが私の持論です。その最低限の機能とは、あなたがどんなワインをよく飲むかで変わります。
ワインセラーはきっとあなたのワインライフを豊かにしてくれます。ボーナスの時期などに検討してみてはいかがでしょうか。