ワインの法律

世界一高価なワイン!?ロマネ・コンティとは《初心者向けに丁寧に解説》

世界一高価なワイン!?ロマネ・コンティとは 
映画やドラマなどで高価なワインの象徴として名前を目にする「ロマネ・コンティ」。
ボトル1本購入して飲むのはもはや現実的ではありませんが、その言葉の意味を知っておいて損はありません。
実はここ数年でロマネ・コンティは世界一高価なワインではなくなりました。
名前は聞くけど飲んだことはない、憧れのワインについて解説します。
 
 

「ロマネ・コンティ」はいくら?

 
2024年初頭現在、私の調べによると「ロマネ・コンティ」750ml1本の価格は、およそ360万円です
ただインターネット上での流通が非常に少なく、価格差が非常に大きいワインです。
 
 

参考価格の調べ方は?

 
ワインの値段を調べる場合、Googleで検索するか、楽天市場やAmazonなどのモールで検索すると思います。
そこでは400万円~800万円の値がついていました。ずいぶん差があります。
その理由の一つはヴィンテージ。生産年が違えば価格は当然異なります。
もう一つの理由は後述します。
 
 
先ほどの「360万円」という価格の根拠はWine Searcherというサイトです。
 
ここは世界中のワインショップが価格を登録しているサイトです。ヴィンテージによる価格差を平均化したうえで、為替レートに基づいた日本円の価格を表示してくれます。
 
これは決して「ロマネ・コンティを日本で買うのは高い」ということではありません。この価格差を理解するには、ワインの流通の仕組みを知る必要があります。
 
 

そもそも「ロマネ・コンティ」とは

 
「ロマネ・コンティ」とはフランス、ブルゴーニュ地方のヴォーヌ・ロマネ村にあある特級格付けの銘醸畑の名前。およびそこのブドウからつくられる赤ワインを指します
ロマネ・コンティが特別なのはモノポール、単独所有畑である点です。
 

参考記事

 

ブルゴーニュワインは畑名+生産者名

 
ブルゴーニュでは一つの畑をいくつもの生産者が分割所有しているのが普通です。
 
有名な特級畑として、例えば「ナポレオンが愛したワイン」として有名な「シャンベルタン」という畑があります。
シャンベルタンは分割所有されています。栽培農家がブドウを販売して、別の生産者の名前でワインをつくることもあります。だから何十種類もの「シャンベルタン」というワインが存在します。
 
 
ブルゴーニュワインは畑名と生産者名をセットにしないと1種類のワインに定まらないのです。
 
 

モノポールは単純で覚えやすい

 
それに対して「ロマネ・コンティ」の畑はモノポール、単独所有されています。だから「だれがつくるロマネコンティ?」という話にはなりません。
これがワインにあまり詳しくない方でも名前を知っている大きな理由でしょう。単純で覚えやすいのです。
 
 

生産者も「ロマネ・コンティ」?

 
ロマネ・コンティの生産者は「ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ Domaine de la Romanee Conti」といいます。名前にも「ロマネ・コンティ」と入っているのです。
 
通常は「ロマネ・コンティ」といえばそのワインを指します。しかし生産者名のことを言っているのかもしれない。
それを分かりやすくするため、生産者名を言いたいときは「DRC ディー・アール・シー」という略称を用いることが多いです。
 
ヴィンテージやサイズの違いはあるものの、「ロマネ・コンティ」といえば1種類だけ。もしもロマネ・コンティの種類についての話が出たとすると、それはDRCがつくる他のワインという意味だと推測されます。
 
 

DRCは「ロマネ・コンティ」だけじゃない

 
DRCがつくるワインは他にもあります。どれもかなり高価ですが、もちろん「ロマネ・コンティ」ほどではありません。
これら他のワインを「ロマネ・コンティ」とごっちゃにしてしまうと少し恥ずかしいので、ワインなのか生産者なのか区別できるようにしましょう。
その一覧は次の通り。
 

DRCのワイン一覧

赤ワイン:ラ・ターシュ、リシュブール、ロマネ・サン・ヴィヴァン、グラン・エシェゾー、エシェゾー、コルトン
白ワイン:モンラッシェ、コルトン・シャルルマーニュ(2019VTより)
 
 
上記は全てグラン・クリュのワイン。しかし例外的に「ヴォーヌ・ロマネ・プルミエ・クリュ キュヴェ・デヴォー・ブロシェ」という赤ワインもつくられています。毎年つくられるわけではないため、非常にレアです。
 
 

「ロマネ・コンティ」の歴史

 
「ロマネ・コンティ」の「ロマネ」の部分は、この地にブドウの樹を植えた古代ローマ時代のローマ人に由来します。
「コンティ」の部分は18世紀フランス、ブルボン朝のコンティ公に由来します。コンティ公のルイ・フランソワ1世が1760年にこの畑を手に入れたときから、畑の名前が「ロマネ・コンティ」となりました。
 
 
ブルゴーニュを旅したワイン好きが必ずといっていいほど記念写真を撮るのが、このロマネ・コンティの畑近くにある十字架。ブルゴーニュの象徴となるフォトスポットです。
一方でDRCのドメーヌ自体は観光客の受け入れはしておらず、ワインが飲めるわけでもなく、行っても何も楽しくないと聞きます。
 
 

「ロマネ・コンティ」は最高の畑

 
ブルゴーニュには特級畑が33か所あります。面積にしてブルゴーニュ全体の1%程度。特級畑のワインはそんな最高級品です。
その中でも地形要因により栽培環境に恵まれ、土壌も素晴らしく、出来上がるワインも最高の評価を受けるのが「ロマネ・コンティ」なのです。
 
 
その畑の面積は1.814ha。サッカーコート4面分くらいです。
そこから毎年6000本前後の「ロマネ・コンティ」が生産されています
 
 

『ロマネ・コンティ」の価格を左右する正規品と並行品

 
ワインの流通ルートは正規品と並行品に分けられます。
DRCのような高級ワインについては、そこに「転売品」もあり得ます。
 
 

正規品と並行品とは

 
消費国の輸入業者がワイナリーと直接代理店契約を結び、輸入・卸販売されるもの。それが正規品です。
 
それ以外の輸入業者が輸入・販売する場合は「並行品」と呼ばれます。第3国のワイン業者などから日本で需要の高いワインを購入して輸入します。
 
 
品質に関しては、並行輸入してくる業者に対する信頼で判断するしかありません。その先は不透明です。
また間に業者が入るので、基本的に並行品の方が高価です。
  
正規品か並行品かはボトル裏面にある輸入者シールを見れば分かります。「ロマネ・コンティ」の場合はファインズ様が正規輸入者です。
 
正規品と並行品について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
 
 

インターネットで買えない正規品「ロマネ・コンティ」

  
目当てのワインを安く買う上で楽天市場などのモールは便利です。
しかし「ロマネ・コンティ」に関しては、基本インターネットの方が割高です。正規品は通販に出回らないからです。あるとすれば正規品を業者が購入して転売しているものです。
 

以前当店で販売していたものは、カリフォルニアのインポーターを経由して日本に届いた並行品でした。

 
これにはワイナリー側の意向で、不特定多数が価格を見れる状態で販売してほしくないという理由があるようです。
ロマネ・コンティは正規品の方が安いです。正規品を販売しているショップに問い合わせれば価格を教えてもらえるでしょう。
なお当店COCOSはファインズ様と取引がないため、DRCの正規品が入荷することはありません。
 
 

誰でもは買えない「割り当て」

 
今やブルゴーニュの高級ワインはほぼすべて「割り当て」制です
輸入した業者がレストランや酒販店に対して、「このワインは最大で〇本購入できます」という限定数を提示し、その範囲内で仕入れるのです。
その割り当て数の決め方は業者によりけりですが、昨年までの購入実績や取引金額などで主に判断されます。
 
DRCのワインなどは「割り当て」制の最たるもの。正規品を販売できれば大きな利益を生むため、割り当てをもらうために酒販店は販売実績作りに励みます。
そういう商品であるため、販売店も上顧客を選んで販売しようとするのは自然の道理。正規品のロマネ・コンティは「お金を出せば買える」というものではありません
 
 

転売される「ロマネ・コンティ」

 
インターネット上で正規品の相場というものがないため、楽天市場やAmazonで見つかるのは並行品か、もしくは転売品です。
転売すること自体は違法でもなんでもないです。ただ購入は慎重になることをおすすめします。
 
一つは正規品よりずっと高価なこと。もう一つは入手経路が不透明であるため、偽物のリスクが無視できないからです。
供給を需要が大きく上回っているゆえに、入手の難しいワインです。
 
 

「ロマネ・コンティ」を超えた!世界一高価なワインとは

 
Wine Searcherよると、2023年におけるもっとも高価に取引されたワインは、ドメーヌ・ルロワがつくる「ミュジニー・グラン・クリュ」。なんと$48,616だそうです。1本700万円近く!?(1$=142円計算)
「ロマネ・コンティ」は第2位に挙げられていましたが、$27,053と開きがあります。それでもかなり高価ですが。
実は近年、「ロマネ・コンティ」は世界で最も高価なワインではないのです。
 
 

ルロワのミュジニーが高価なのは希少性

 
ドメーヌ・ルロワが所有しているミュジニーの畑は、0.27ha。これはロマネ・コンティの6~7分の1です。
つまり年間生産量は1000本に届かない程度だということ。
需要が高く供給が極端に少ないので、ここまで値段が吊り上がるのです。
 

ルロワのワインはとてつもなく高価ですが、それでも完売しました。

 
これは「ルロワ」という生産者の評価や人気が非常に高いから。「ドメーヌ・ルロワ」「メゾン・ルロワ」「ドメーヌ・ドーヴネ」3つの名義でワインをつくっていますが、全てとんでもなく高価です。
百貨店の高島屋さんが輸入元であり株主なので、デパートに行けば幅広く入手できます。
 
2023年の最も高価なワインベスト10のうち、5本がルロワがつくるものでした。
 
でも「ロマネ・コンティ」ほどのわかりやすさはありません。それゆえかワイン好きなら知っている名前ですが、「ワインを飲まない人も聞いたことがある」というほどではないのです。
ロマネ・コンティが超高級ワインの象徴であることは今後も変わらないでしょう
 
 

ロマネ・コンティは一度は飲んでみるべきワイン?

 
「ロマネ・コンティを飲まずしてワインは語れない」
そんなことは決してありません。
金額相応の期待値に対する満足を得られるのは、私はごく一部の人だと考えます
 
 

ごく少量でその味わいを掴めるか

 
ロマネ・コンティをごく少量のグラスワインとして楽しむことができるワインイベントもたまに見かけます。
例えば10mlで飲めるとしましょう。1本360万円だと仮定すると、単純計算で1杯48,000円です。
10mlは結構少ないです。小さ目の一口。それだけの量でしっかり味わいを捉えられる人もいますが、経験や訓練が必要です
 
有名だから飲んでみたけど、期待してたほどではなかったな
 
約5万円に対して「それもまた経験だ」と流せる方なら試してみてもいいでしょう。
そうでないなら「ロマネ・コンティを飲んだことがある」と自慢するために大金を払ったと感じてしまうかも。
 
私は無理して飲むものではないと考えています。
 
 

筆者のDRC経験値

 
そうは言うものの、筆者はロマネ・コンティを飲んだことはありません。
 
DRCのワインということなら、ラ・ターシュとエシェゾーの2011年。リリース間もないタイミングでした。
それからロマネ・サン・ヴィヴァンの2009年。試飲の機械で10mlだけです。
香りのボリュームは素晴らしく華やかで複雑なのですが、口に含むと梅っぽい酸味が支配的で、イマイチその価値は理解できませんでした。
 

10mlは写真の通りごく少量です。

 
1970年代のエチケットが激しく傷んでいるモンラッシェも飲んだことがあります。それもごく少量です。
シェリーのような酸化熟成の香りの奥に独特な風味がりましたが、素直に「美味しい」と言えるものではありませんでした。
 
写真は6年ほど前の価格です。あれから私の収入は上がりましたが、DRCの値段はそれ以上のペースで上がっています。
経験を積んだ今、もう一度飲んでみたい気持ちもありますが、前よりさらに価格にしり込みしてしまいます。
 
 

憧れは憧れのままでいいかも?

 
決して「DRCのワインは価格の割に大したことない」というつもりはありません。
ただこれだけは断言できます。100人飲んで100人が美味しいという味ではない
 
 
「ロマネ・コンティ」はある意味ワインの頂点であり憧れです。しかしながらべらぼうに高い値段に無理してお金を積んでも、100%期待に応えてくれるとは限りません。
世界には一生かかっても飲み切れないほどの多様なワインがあります。憧れは憧れとしておいておいて、自分の好きなワインを無理しない範囲で楽しむ方が、きっと満足度は高いでしょう





※投稿に記載しているワインのヴィンテージ・価格は執筆時のものです。現在販売しているものと異なる場合があります。
購入の際は必ず商品ページにてご確認ください。




YouTubeバナー

-ワインの法律
-, ,