《自分のワインをつくる夢》
ワインの味わいや多様性などにひかれて、違う業種からワイン業界に入る人は少なくありません。彼らはみな「自分のワインをつくる夢」を持ってワイナリーを立ち上げるのでしょう。その方法には大きく2つあります。
どちらかといえば自らの腕でつくりたいと考える人が多いでしょう。醸造学校に通って一から栽培と醸造を学び、ワイナリーで経験を積んで独立するのが主なルートです。
もう一つの方法は既に実力のあるワインメーカーを雇って任せてしまう方法です。オーナーの意向を取り入れながら、経験に基づく間違いのない方法でワインをつくってくれます。

シックスティーン・バイ・トゥウェンティはまさにその後者のタイプ。醸造責任者はポール・ホブス氏。彼のつくるワインの味わいがしっかり感じられます。ロバート・モンダヴィ・ワイナリーでキャリアをスタートし、オーパス・ワンに初期から関わり、1991年に自身の名前を冠したワイナリーを設立した天才醸造家です。

《生産者について》
オーナーのデイヴィッド・ダンフィ氏と妻カレンはもともと歯科医。およそ30年間あたためてきた夢を実現すべく、2004年にワイナリーを取得。2005年のファーストヴィンテージをリリースします。
当初から2つのブランドで展開。その一つは「ブラック・コルドン」（おそらく日本未入荷）で、もう一つがこのシックスティーン・バイ・トゥウェンティです。
名前の由来は一般的なキャンバスサイズから。16×20という比率が油絵のキャンパスとして最も一般的で完璧なバランスであることから、ワインの味わいにおいていかにバランスを大事にしているかが現れています。

ポール・ホブス氏自身のブランドもバランス感を重視した味わいですが、シックスティーン・バイ・トゥウェンティはさらにそれが顕著。高い凝縮感と豪華な風味に加えて、極めてシルキーな口当たりとそれを美しい印象にまとめる酸味が魅力です。

《テイスティングノート》
熟したベリー系のアロマにドライハーブやカカオ、スミレのようなニュアンス。丸くリッチな口当たりは緻密で力強く、風味が複層的に感じます。この品種らしくタンニンは豊富に含むのですが、非常にきめ細かく心地よい質感。余韻にまで長く続きます。

Sixteen by Twenty Cabernet Sauvignon Napa Valley