オーストラリアで最もプレミアムなワインといえば、大多数の人がペンフォールズがつくる「グランジ」を挙げるでしょう。一つの産地にこだわらず、マルチリージョンブレンドとして最高のワインを求めた結果であり、10万円オーバーで取引されます。
ペンフォールズはオーストラリアのワインショップならどこにでも置いているような巨大ワイナリー。リーズナブルなワインからプレミアムワインまで幅広く提供します。
それに対してプレミアムワインしかつくらないため知名度では圧倒的に劣りながら、専門誌の評価では全く負けていないもう一つの頂点があります。それがこの「ヒル・オブ・グレース」です。
《生産者について》
ヘンチキは1862年の歴史あるワイナリー。オーストラリアで酒精強化ワインが多くつくられていた時代に、あえて様々な品種の単一畑のワインをリリースしました。
現在は5代目から6代目へとバトンを渡しつつあります。オーガニックやバイオダイナミックの栽培を取り入れることで、先祖が残した畑をより豊かな状態で後世へ引き継ごうとしています。
《このワインについて》
60年余りにわたって作り続けている、ヘンチキのトップキュヴェ。ワインアドヴォケイト誌には、このワインの1958年?2017年まで、実に56ものレビューがついています。ヒル・オブ・グレイスがつくられなかった2000年のような年もあるので、実質的に毎ヴィンテージレビューがついている稀有なワインといえます。
点数としても100点はないものの2012、2010、2005年で99点を獲得しており、オーストラリアの2トップとして恥じない評価です。
【パーカーポイント96点】
[ワインアドヴォケイト誌 2022年5月のレビュー]
2017年のヒル・オブ・グレース・シラーズは、ブルーベリーの皮、砕いた花崗岩、カシスのエッセンス、ブラックカラントのキャンディー、紅茶、吊るし切り肉、白トリュフ、キノコなどの香りが感じられる。黒く濃厚で、果てしなく続くような余韻がありる。口に含むと、最初は甘く、タンニンには「鍋の底」のようなジャスミンティーの苦味があるが、これは香ばしさとは無縁である。古木はヴィンテージのコンディションによって輝きを放ち、Stephenの手によって輝きを放ち、若い木ではあまり達成できない密度やしっかりとしたテクスチャーを示すことが明らかである。このワインは、おそらく予想以上に肉付きがよく(がっしりではなく、文字通り肉/パストラミ/デリの肉を指している)、香ばしい感じだった。しかしその味筋、余韻の長さ、複雑性が雷のように印象的であることに変わりはない。
[Erin Larkinによる試飲 飲み頃予想2022-2047年]
Henschke Hill of Grace