《リースリングのぺトロール香》
ぺトロール香とはTDN(トリメチルジヒドロナフタレン)という成分により感じる、灯油のような香りのことです。どのワインにも多少は含まれますが、特にリースリングに表れやすいのが特徴。なので一昔前は「リースリングといえばぺトロール香を感じるもの!」という認識がありました。
しかしその生成メカニズムが研究によりわかってきたことと、テロワール由来の香りを隠してしまうことから、近年では強すぎるぺトロール香は欠陥臭とみなされます。
ただしそれは若いワインの話。熟成してから出てくるぺトロール香については、ワインに深みを与えるポジティブなものと考えられます。このワインはまさに熟成によってぺトロール香がハッキリしてきた段階です。
《テイスティングノート》
モーゼルの銘醸畑「ヴェーレナー・ゾンネンウーア」の甘口ワインからは、共通して上品な白桃の香りを感じます。青色粘板岩土壌に由来するものだと言われます。
若いうちはもっとピュアでシンプルだったのでしょう。しかし程よい熟成の段階に入り、ぺトロールの香りを入り混じって非常に複雑な印象。中程度の甘味は実際よりも控えめに感じ、美しい余韻とともに消えていきます。少し熟成したリースリングの入り口として、手頃な選択肢です。
《生産者について》
1600年よりワイン造りを続けているモーゼルの名門。それがゼルバッハ家です。
単に伝統を踏襲するだけではありません。現オーナーのヨハネス氏は、モーゼルで醸造の基礎を学んだうえでアメリカでビジネスコンサルタントの経験も積んでから、この地に帰ってきました。そうして国際的な視点を養うことで、より一層ベルンカステル地区の魅力を明らかにしているのです。
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