《生産者について》
アルザスの中には自然任せのつくりで個性を出そうという生産者が近年少なくありませんが、ドメーヌ・ジンクは違います。流行に流されるのではなく、品種の個性を忠実に表現するワイン。ともすれば「ありきたりでつまらない」と捉えられかねませんが、それは教科書通りの味わいでいつ飲んでも期待通りの味である安心感の裏がえしです。
ジンクでも有機栽培を行っておりビオディナミに転換中。それは「偉大なワインは台地から生まれる」という信念に基づくから。同時に「醸造には最新の注意が必要」とも考えており、不介入主義とは一線を画しています。
味わいの方向性としては同地域のトリンバックやヒューゲルと似ているかもしれませんが、14haの決して大きくない畑で大手生産者と同等のコストパフォーマンスを実現しているのは称賛に値します。
《テイスティングノート》
個人的にドメーヌ・ジンクの入り口、最初に飲んでほしい1本に考えるのがこのゲヴュルツトラミネール。
この品種に慣れ親しんだ方には驚きはないかもしれません。ライチやバラと例えられる華やかで甘い香りが豊かに広がります。丸みのあるやさしい甘味が舌の上に広がり、まろやかな酸味とともに消えていきます。
アルザスのこの価格帯のワインとして、ケチのつけどころがないでしょう。
Domaine Zinck Gewurztraminer