《生産者について》
現在ドイツにおいて最も高価に取引されるワインをつくる生産者。それがモーゼルのエゴン・ミュラーです。「シャルツホフベルガー・トロッケンベーレンアウスレーゼ」を日本で見かけることはほとんどありませんが、もし入荷するとしたら1本100万円は楽に超えていくでしょう。それほど評価の高い生産者なのです。
その歴史は1797年、ミュラー家が修道院から畑を買い取ったのが始まりです。
エゴン・ミュラーを象徴するのが、「シャルツホフベルガー」という畑。ドイツでは「ヴィルテンガー・ブラウネクップ」のように、「村名+畑名」を併記する決まりです。その例外として畑名のみの表記を許される5つの著名畑「オルツタイルラーゲ」の1つが、このシャルツホフベルガーなのです。エゴン・ミュラーはそれを8.5ha持っており、最大所有者です。
エゴン・ミュラーは辛口ワインをつくりません。モーゼル伝統の甘味と酸とミネラルが調和したスタイルこそ至高。その考えのもと、クリスタルのように研ぎ澄まされたワインをつくります。その熟成能力は驚異的に高く、上級クラスになると100年の熟成に耐えうると言われます。
【パーカーポイント96点】
[ワインアドヴォケイト 2024年8月]
2023年産のシャルツホフベルガー・カビネットは、エゴン・ミュラーが誰よりも多くのブドウ畑を所有し、間違いなく最高の区画を擁するこのやや冷涼なクリュの魅力を存分に表現した素晴らしいワインです。通常のカビネットは、スレート土壌由来の、まだ少し距離感のある香りを持ち、濃厚で洗練され、エレガントな印象を与えます。口に含んだ瞬間は旨味とフレッシュさが広がり、キレのある酸味を伴い、熟した濃縮感のある果実味を備えた、引き締まった、まだ若々しいリースリングです。昨年の8月は比較的涼しかったため、このカビネットは際立った酸味を持ち、エゴン・ミュラーが表現するように「ベルベットの手袋をはめていない拳」のような印象を与えます。現段階では、ヴィルティンガー・ブラウネ・クップ・カビネットよりも残糖感が口当たり良く感じられますが、このシャルツホフベルガーはゆっくりと熟成を進めており、少なくともあと6年以上はセラーで寝かせるべきでしょう。
[Stephan Reinhardtによる試飲 飲み頃予想2030-2060年]
Scharzhofberger Kabinett Egon Muller