《生産者について》
フレート・プリンツ氏はまず醸造家として名をはせた人物。21歳の時にワインづくりをはじめ、25歳の時にはドイツを代表する名門「クロスター・エーバーバッハ」で働き始めます。12世紀からワインづくりが続く、「老舗」どころじゃない重要ワイナリーです。
当時勢いを失っていたそこのワインについて、スタイルを変更することを提案。畑の個性を引き出してミネラル感のある特別なワインに仕上げるべく改革を行ったのです。その功績が認められて2002年には醸造責任者に就任。しかし自身のワイナリーに専念すべく、2004年に惜しまれつつ退社しました。
200軒程度しか加盟者のいない、審査が厳しいVDP(ドイツ高級ワイン生産者連盟)に、なんと独立の翌年に加入が認められています。それだけ彼の醸造家としての腕に、同業者からの信頼があったのです。
しかし彼は「畑仕事が何より大切だ」と語り、2009年にはオーガニックに転換してユーロリーフ認証を取得。2018年からはビオディナミを採用しています。それも品質向上のためだといいます。
《このワインについて》
フレート氏が「スタートライン、入り口のようなもの」と語る、ワイナリーの名刺代わりの1本。彼のワインを飲むならまずこれからという銘柄です。
特徴としてはラインガウのリースリングとして口当たりが軽いこと。スレート土壌がもたらす舌の中心を刺激するような重量感があまりありません。土壌の違いによるものでしょう。軽いパウダー状の土、ローム層、砂、丸石、粘土質土壌だと言います。このいい意味での軽快さは、フレート氏が狙ってのことだといいます。
柑橘や白桃の繊細な香り。硬質でありながら鋭すぎないミネラルと、いきいきとした美しい酸味。飲み飽きずに1本無くなり、またリピートしたくなるような味わいです。
Prinz Riesling Trocken