《このワインについて》
ファルツはドイツの銘醸地の一つですが、どちらかというと手頃なワインを大量につくっている産地。栽培面積はラインヘッセンに続いて第2位です。赤ワインではシュペートブルグンダー(ピノ・ノワール)が人気で、地球温暖化がむしろ追い風となり、薄さや変な酸っぱさのない上質なワインがたくさん輸入されるようになってきました。
気候としてはブルゴーニュに近いのでしょうが、違いを述べるとしたら香りの方向性。ブルゴーニュほどは洗練されていない、ちょっとあか抜けない香りを持つものが多い印象です。特に自然酵母で醸造されたものに顕著です。私は森の下草のように感じるのですが、キノコと表現されることも多いです。
その代わりにというべきか、若いうちからじわっとうま味感のあるものが多い印象です。このワインもそうで、熟したベリー系果実やザクロなどの果実味に、繊細な口当たり。主張しすぎない味わいは、普段の夕食のおかずに対しても邪魔をしにくいでしょう。マグロの刺身なども好相性です。
《生産者について》
フォン・ウィニングが居を構えるファルツ。ドイツで2番目に広く畑があり、そして一番多くリースリングを栽培している産地です。
ただし最高品質ではありません。ラインガウやモーゼルのような南向きの急斜面に広がるスレート土壌の畑というものはファルツにはなく、石灰質や砂岩、玄武岩などの土壌。
質より量のワインも多く作られてはいますが、このフォン・ウィニング醸造所の品質追及は別格です。
Von Winning Spatburgunder Friedrich 1849 Weingut Von Winning