《熟成ミュスカデについて》
「ミュスカデ・セーヴル・エ・メーヌ」というワインは、驚くような美味しさを持つワインではないと言っていいでしょう。繊細な花のような風味で軽快な味わい、やや高めの美しい酸味が特徴です。幅広い料理にあう便利な食中酒ですが、裏を返せば個性が穏やかでぱっとしないワインであるということです。
ところが熟成をすればまるで別物です。香りも口当たりも重厚さが増して、濃厚で飲みごたえのある味わいに。このワインもとろんと粘性を帯びたような質感が非常に面白く、他の品種では味わえないものです。
《テイスティングノート》
香りは控えめです。みかんのような柑橘に白い花のアロマ。ほぼ10年熟成ですが、熟成香はありません。口に含んで驚くのが質感。シロップのように厚みがあってつややかに舌を覆います。塩味を思わせるようなミネラル感がじわっと広がり、その味わいが余韻に長く続きます。
この質感とミネラル感なら、揚げた白身魚や厚揚げの和風あんかけなどによくあうでしょう。
《生産者について》
「レ・ベット・キュリウーズ」というのはプロジェクト名で、ジェレミー・ユシュ氏とジェレミー・ムーラ氏が共同で設立しました。その目的はミュスカデ・セーヴル・エ・メーヌの多様性にスポットを当てることで、モザイク状に様々な土壌が混じるこのあたりの畑を、単一区画のワインで表現しようとしています。ミュスカデ(ムロン・ド・ブルゴーニュ)はニュートラルな品種だからこそ、テロワールをよく表現できると彼らは考えているのです。
Muscadet Sevre et Maine Monnieres Saint Fiacre Les Betes Curieuses