《テイスティングノート》
ボルドーワインの優雅な上品さ。それが過不足なく詰め込まれたようなワインです。
鼻の奥にすっと入ってくるような、赤いベリーや赤い花のアロマ。ミントやピーマンなどのグリーンノートもわずかに感じ、それが清涼感を与えています。どちらかといえばフルボディでしょうが、スマートな味わいで上品さが際立ちます。引っかかりのないスムースな口当たりは力強さとは無縁で、美しい余韻へと続きます。
洗練された高級感のある味わいで、カジュアルな雰囲気はありません。自宅でちょっといいディナーに合わせる場合も、普段の部屋着ではなく余所行きの恰好で飲みたい。そんなワインです。
《パーカー100点の醸造家》
このワインの2021VTまでを担当していたはアギーレ・ジェローム氏。彼はペトリュスで経験を積んだあと、ラ・ヴィオレットでパーカーポイント100点を獲得した経歴を持ちます。今はバロン・フィリップ・ド・ロートシルトでムートン・カデを担当しています。超大量生産されるリーズナブルな銘柄の品質を保つのは、ある意味高級ワインよりも大変。それだけの腕前なのです。
2022VTからは、シャトー・アンジェリュスで25年間醸造を担当し、グラン・クリュ・クラッセ シャトーAへの昇格に貢献した、エマニュエル・フルチ氏を招へい。これからも楽しみなワイナリーです。
《低価格の理由》
このワインがつくられるのは「ラランド・ポムロール」という、ポムロールに隣接した地区。「ポムロールらしさ」を生むと言われる「クラス・ド・フェール(酸化鉄)」を含む土壌は共通しているのに、土地の価格は5分の1以下なんだとか。名のある醸造家が手掛けるのにこの価格で収まっているのは、この土地の安さのおかげです。
Enclos de Viaud