《「安くて濃い」がモンプルじゃない!》
日本市場において「モンテプルチャーノ・ダブルッツォ」は、20年ほど前に一気に広がりしっかりと定着したワインではないでしょうか。その特徴は手ごろな価格ながら果実味に凝縮感があり、それでいて渋味は控えめ。その急先鋒といえるのが、ファンティーニがつくる「カサーレ・ヴェッキオ」でしょう。
1000円台でもたくさんのワインが見つかり、2000円台なら一層濃くて飲みごたえがあります。しかし3000円以上のお金を積んだところで、これ以上はあまり濃くならないように感じています。その代わりに風味の複雑さと味わいのバランス感が変わります。
一番の違いは酸味とタンニンの強さでしょう。どちらも平均からしたら弱めなのですが、明確に感じる程度にはあります。それゆえ「甘濃い」という印象は控えめで引き締まった風味。また熟成ポテンシャルがあるので、少し古めのヴィンテージとあわせて風味の複雑さを発揮しています。
「安くて濃くて渋くない、フルーティーな赤ワイン」がモンテプルチャーノ・ダブルッツォだと思っていると、いい意味で裏切られるでしょう。
《テイスティングノート》
ブルーベリーやラズベリーのようなフルーツの香りに、アニスやリコリスといったスパイス香。腐葉土やタバコのような複雑さも持ちます。しっかりと熟した果実味は粗さがなく上質がゆえにあまり重量感は感じず、シルキーなタンニンとともに滑らかな余韻へと続いていきます。
《生産者について》
アブルッツォ州の地で400年以上もワイン造りをしている生産者。ナポリ王国よりバローネ(男爵)を与えられた貴族の家柄で、所有している広大な土地の中からDOCGエリア内のブドウ栽培に適した丘陵地帯の一部を畑にしています。彼らの栽培するブドウは他の生産者であればトップキュヴェにあたる品質を持っているのにもかかわらず、価格設定は非常に良心的。今ではおなじみの「モンテプルチャーノ ダブルッツォ」を日本に広めたパイオニア的な存在です。
Vizzarro Colline Teramane Montepulciano d'Abruzzo Riserva Barone Cornacchia