《レバノンってどこ?》
シャトー・ミュザールがあるレバノンは、地中海の東端に面した国。イスラエルの北側でシリアなどに国境を接します。
ワイン産地としてご存知の方は少ないでしょうが、ワインづくりの歴史は6千年以上に及ぶと言われています。緯度は低めなのですが、標高1000m以上に畑があるので、寒暖差が大きくレベルの高いワインを生み出します。
1975年から断続的に内戦や隣国との武力衝突が続き、2020年には人類史に残る爆発事故が起こるなど、まだまだ不安定な情勢の中でワインをつくる生産者たちを取りあげたのが、2022年冬公開の映画です。現在公開できる情報は少ないのですが、その映画の中で非常に大きく取り上げられているのが、このシャトー・ミュザールです。
《生産者について》
シャトー・ミュザールは1930年、ガストン・ホシャールにより設立されました。レバノンで初めてオーガニック認証を得たワイナリーで、この「シャトー・ミュザール・レッド」が世界で高い評価を受けています。現当主で2代目のセルジュ・ホシャールは、イギリスのデキャンター誌から最初にマン・オブ・ザ・イヤーに選ばれました。
「ワインは実に偉大な師だ。人々の心を通わせるのだからね。心が通えば平和になる。戦争はしない。」平和を願う彼の言葉が多くの人に伝わって欲しいものです。
《このワインについて》
カベルネ・ソーヴィニヨン、サンソー、カリニャンを1/3ずつブレンド。珍しい組み合わせです。非常に力強いタンニンを持つ長熟のワインで、瓶詰から3~4年待ってリリースされます。
ろ過や清澄をしていないため、熟成してくると澱が大量に溜まります。ワイナリーもデキャンタして提供することを強く推奨しています。
スモーキーな香りにつつまれて、ブラックフルーツやダークチョコレートのアロマ。骨格がしっかりとした味わいで、ボルドーの上級シャトーとコート・ロティを足して2で割ったような風格を感じます。
レバノンというあまり聞かない産地にも、こんなグラン・ヴァンがあったのかと驚かせてくれるでしょう。
Chateau Musar Red