《生産者について》
フーバー、ベッカーと並んで、「ドイツでピノ・ノワールといえばこの人!」と言われるのが、フランケンにあるフュルスト醸造所です。
フランケンは決して赤ワインの産地ではありません。バーデンやファルツはドイツの中でもフランス国境にある比較的温和な産地ですが、フランケンはしっかり冷涼な産地。そのためブルゴーニュ系品種の栽培には、霜害のリスクがついてまわります。全体でもまだ200ha前後であり、決してピノ・ノワールが有名な産地ではないのですが、そこで一人飛びぬけているのがフュルスト。
前当主のパウル・フュルストさん、現当主のセバスチャン・フュルストさんの腕前は専門家が認めるところであり、ワイン誌ファルスタッフの最優秀醸造家賞をそれぞれ受賞しました。親子2代にわたってこの賞を得るのはとても稀なことです。
《このワインについて》
高級志向であるフュルストにとって、この「トラディション」がもっともお手頃なエントリーワイン。
その位置づけ故か、決して高級感を与えよう、一口のインパクトを強くしようという意図は感じられません。ワインの色合いも非常に薄く、優しい抽出をしていることが伺えます。
しかし一口飲んでビックリ!繊細なアタックから上品な風味がふわっと広がっていきます!
《テイスティングノート》
赤い果実やサワーチェリーのような香り。ほのかに鉄分のようなニュアンスもあります。
ともかく上品かつしなやかで、料理なしでずっと飲んでいられるような味のまとまり。16℃くらいがベストな温度ですが、22℃くらいまで上がってもほぼバランスが崩れないので、グラスの中で開くのを待ちながらゆっくり飲むのに向いています。
Furst Tradition Spatburgunder