《ヴィンヤードの特徴について》
デントン・ヴューヒル・ヴィンヤードはヤラ・ヴァレーの西側中部、だだっ広く開けた平野の中にポツンと盛り上がる小高い丘にあります。ある程度内陸部ではありますが、海からの冷たい風が常に吹き抜ける地形で、これがワインの香り高さにつながっていると語ります。
土壌はヤラ・ヴァレーにあまり見られない花崗岩質。この土壌の特異性と地形が、銘醸地ヤラ・ヴァレーのなかでデントンを特徴づけています。
《醸造家について》
醸造家はオーストラリアのみならずイタリアやニュージーランドでも修行を積んだルーク・ランバート氏。彼自身の名前を冠したワインもつくる傍らで、デントンの醸造も請け負っています。6000円台からのなかなか高価なワインをつくっており、その傾向は自然酵母発酵&亜硫酸添加を抑えた、いわゆる「ヴァン・ナチュール」。しかしその傾向はデントンのワインには全く見られません。
というのもオーナーであるサイモン・デントン氏はそれほど「自然なつくりがいい」というような考え方はもっていないから。お会いした際も「ヴァン・ナチュールって時々飲めないものあるよね-」と語っていました。サイモン氏はイタリアワインが大好きで、ブルーノ・ジャコーザのバローロがお気に入りなんだとか。余談ですがサイモン氏は大の日本好きで、メルボルン市内に日本料理のレストランを所有しています。
自然酵母発酵ながら適切にコントロールされた、きちんと土地や品種の個性が現れたワインです。
《テイスティングノート》
赤いチェリーのような果実味もさることながら、マッシュルームのような土のニュアンス、シナモンのような茶色いスパイスのアロマがが複雑に絡み合って立ち上ります。シンプルに「フルーティー」なだけのワインではありません。全房発酵に由来するフレッシュな口当たりで、それほど酸味は高くないものの上品に締めくくられます。
Denton Shed Pinot Noir