《「ケープブレンド」について》
ピノタージュはピノ・ノワールとサンソーの交配品種で、ほとんど南アフリカでのみ栽培されています。そのピノタージュとボルドー品種をブレンドしたものは「ケープブレンド」と呼ばれ、西ケープ州で盛んにつくられてきた赤ワインです。
国際市場にはやはり単一品種の方が高く売りやすいためか、それほど多くの高級ワインがあるわけではありません。にもかかわらず作り続けられるのは、手ごろな価格で美味しいワインをつくりやすいから。
南アフリカにはいろいろな気候の産地があり、栽培品種も多様です。だから「南アフリカで一番おいしいワイン」なんて決められません。でも「南アフリカでしか飲めないタイプのワイン」としては、このケープブレンドは有力候補です。
《生産者について》
ステレンボッシュのシモンスバーグ山脈のふもとに100haの畑を構えるカノンコップ。1910年設立となかなか歴史の長い大御所的な生産者です。
名前とエチケットの由来たる大砲は、昔ケープ湾に船が入港したのを知らせるために使用していたものだといいます。1990年代から多くの国際的なコンクールで受賞を重ね、南アフリカワインを世界に知らしめたパイオニア的な存在。
ティム・アトキンMWは自身のワイナリー格付けで1級に選び続けています。
《製法の特徴》
カノンコップの畑の50%にはピノタージュが植えられており最重要品種。ブッシュヴァイン(ワイヤーや支柱を用いず低く剪定する手法)で栽培します。特徴的なのが発酵中のパンチングダウン。発酵の進行中、果帽(果皮などの塊)が浮いてきます。そうすると果皮と果汁が分離されてあまり抽出が進みません。櫂(かい)でその果帽をワインの中に押して沈めるのがパンチングダウン(ピジャージュ)です。
カノンコップではコンクリートタンクでの発酵中、そのパンチングダウンを2時間に1回、24時間体制で行うそうです。その結果しっかりと色が濃く、力強いタンニンを持ち、樽熟成の風味との相性がよいボルドー的な赤ワインに仕上がるのです。
《このワインについて》
「カデット」とは「士官候補生」という意味で、カノンコップの中では手ごろなエントリークラスであることを示します。熟したラズベリーやモカ、プラムなどのフルーツ香。樽香はやや控えめで、凝縮した果実感を持ち、上級クラスと比べるとボディ感はやや軽めです。ダークチョコレートのような風味と心地よい酸味が余韻に続いていきます。
Kanonkop Kadette Cape Blend