《プーリアのプリミティーヴォといえば・・・》
「完熟」という言葉すら足りないほど、火を通したような印象さえ受ける濃厚で甘いベリーの香り。渋味や酸味はほとんど感じず、まったり厚みのある滑らかな口当たり。
その親しみやすさゆえにプーリア産プリミティーヴォでつくる赤ワインは非常に人気です。
ボリュームゾーンは1000円台であり、「手ごろな価格なのに濃厚」というのがその特徴。手ごろで満足できるものが多いイメージが強いタイプです。だからあまり高級ワインは見かけません。
そのイメージが全く当てはまらない。濃厚なベリー香や口当たりの滑らかさはあるのに、同じスタイルのワインと脳が認識しない。型破りではないはずなのに独自のインパクトを持つのが「エス」です。
《生産者について》
元々オリーブオイルの専門家として活躍していたジャンフランコ・フィノがプーリアでワインを造り始めたのは2004年。自社畑はプリミティーヴォ9haとネグロアマーロ1haと、決して大きくはありません。しかしそこに植わっているのは樹齢55年以上、高いものになると100年以上の古木。何もしなくてもいいブドウができますが、さらに狂気じみた収量制限を行っています。
1本の樹の新梢を4本に制限、1本の枝に2房しかブドウをつけず、そのブドウも6~7月に房の半分を切り落とします。最終的に1本の樹からわずか400gのブドウしかとれないそうです。この収量制限が爆発的な風味を生みます。
《テイスティングノート》
黒系ベリーやレーズンのようなフルーツのアロマに加え、スミレや鉄分のような複雑なニュアンスを含む香りがグラスから爆発的に飛び出します。口に含めば紅茶やドライハーブの風味が鼻を抜けていき、素晴らしく厚みのある口当たりはどこまでも緻密です。余韻の長さと広がりを他のワインと比べるなら、この価格は決して高くありません。
オアジ・デリ・アンジェリがつくるモンスターワイン「クルニ」が好きな方にはドンピシャにはまるはずです。
《ドクター・ワインの評価》
「好きなワインは数あれど、自分の体に染み渡り、ワインに対する愛情がよく伝わってくるのがクルニとエスです。2つのワインは異なりますが、いくつか共通点もあります。2人ともユニークでオリジナルなワインを目指し、勉強熱心であり、明確な目的を持ち、素晴らしい結果を得ています。また畑や醸造所でマニアックとも言えるほど細かい作業を行います。」
Es Gianfranco Fino